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米国人材マネジメント協会 年次大会に参加してー6ー

米国人材マネジメント協会 年次大会に参加して(6) 

 こんにちは。コンサルタントの田中博志です。

 今回は、Robert J. Greene氏の「報酬の基礎」という講演をもとに、報酬において重要な3つにポイントについて考えます。

ポイント1 社員の仕事の特徴に合っていること
ポイント2 社員のニーズに合っていること
ポイント3 「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」のバランスがとれていること

 なお、報酬には人件費コントロールという観点も重要ですが、ここでは働く人の動機を支えることに焦点を当てることにします。

 みなさんの会社では、報酬体系や報酬を決めるときの評価の視点は全員共通ですか? それとも職種や階層によって違いを設けていますか?

 制度の公平感や人事異動のやりやすさを考えると共通の方がいいですが、社員の立場で考えるとそうとは言い切れません。例えば、営業職と研究開発職では、仕事の進め方、成果、成果が出るまでの期間に違いがあります。

 また、それぞれの報酬観(どのように報いてもらいたいか)にも 違いがあります。報酬を効果的に支払うには、これらの特徴を踏まえることが大切です。ではどのように考えていけばよいでしょうか?

1.仕事の特徴に応じて貢献を評価し適切に報酬を決定する

 まず大切なことは、仕事の特徴に応じて貢献を評価することです。
 これが、ポイント1の「社員の仕事の特徴に合っている」報酬につながります。

 いろいろな仕事がありますが、会社業績につながる成果の出し方で分類すると、概ね4つのタイプに分かれます。
 それぞれのタイプに応じて、評価の視点を使い分けると、報酬の根拠を説明しやすくなります。
 わかりやすいように、「研究開発から製造・販売まで営むメーカー」を例に考えてみましょう。

【1】組織を動かして成果を出す仕事-象徴的には「組織責任者」
・特徴:メンバーを指揮することで組織全体の成果を実現します。将来にわたって成果を出し続ける体制づくりも重要です。自らの意思決定のインパクトが大きいという特徴があります。
・評価の視点:個人ではなく、組織としての成果に着目し、内容に応じて定量的指標、定性的指標を使い分けます。将来の成果につながる業務プロセスの整備や人材育成の視点も忘れずに入れましょう。期間は、経営計画との関係を踏まえ、半年~1年とするのが一般的です。

【2】個人が中心となって成果を出す仕事-象徴的には「営業職」
・特徴:各人が自立的に働いて自己完結的に成果を出します。成果は比較的短期間の定量的な結果として把握しやすいという特徴があります。
・評価の視点:個人の定量的な結果に重点をおき、短期間(半年など)の成果に着目します。ただし、結果のみだと精神的に疲弊したり、成果を出す過程がおろそかになる恐れがありますので、成果実現の施策など、プロセスの視点も入れることがお奨めです。

【3】チームで協力して成果を出す仕事-象徴的には「研究開発職」
・特徴:知識集約型の仕事で、仲間と協力し、連携プレーで成果を出します。個人へのタスクの分担はありますが、臨機応変に相互協力や分担の調整が必要となります。成果が出るまでに時間がかかったり、最終的な形を定量的に定めにくいという特徴があります。
・評価の視点:チームとしての結果に着目することが重要です。個々の分担タスクも大事ですが、こちらに偏重すると相互協力を妨げかねないので注意が必要です。期間は仕事のテーマ次第ですが、比較的長期サイクル(1年など)になることが多いでしょう。

【4】定型業務を処理して成果に貢献する仕事-象徴的には「オペレーター、一般事務職」
・特徴:仕事のやり方の多くは上司やスタッフが決定します。自分で結果をコントロールすることはできず、任された仕事を高い品質で処理することをとおして成果に貢献します。
・評価の視点:結果は問いにくいので、仕事のプロセスで肝心なポイントを押さえているかどうかに着目します。期間は半年とし、その間の日常の仕事ぶりを確認するとよいでしょう。

 4つのタイプをイメージできたでしょうか?
 なお、例示した職種はあくまで象徴ですので機械的に当てはめず、必ず貴社での仕事の実態を確認してください。

 例えば、営業職でも連携プレーで販売するときは、チーム成果に着目する方が合っています。
 また、仕事が複雑化している現代では自己完結型は減る傾向にあります。
 相互連携で成果を出しているにもかかわらず、無理に細分化して個々人の貢献を区別しようとすると、自分本位な動きを助長しかねないので注意してください。

 ここまで会社業績への貢献について述べてきましたが、もう一つ大事な視点として行動面の貢献があります。

 例えば、「お客様を大切にする」「互いに協調・連携する」などの行動は、仕事の内容に関わらず、ぜひとも実践してほしいものです。
 これらの行動は健全な組織風土をつくる上で重要な貢献ですので、行動評価として積極的に取り上げることで、報酬の説明性を高めましょう。

 社員の貢献を適切に評価したら、次は、納得いく形で報酬に反映させることが課題となります。

 まずは基本給と賞与に反映することを考えます。
 評価の視点が適切であれば、基本給や賞与のルールは全社共通でも特に問題は起きません。

 ただ、必要があれば職種によって基本給表や賞与配分基準を変えたり、別の報酬項目を設けても構わないと思います。
 その際、社員の仕事の特徴に即して、違いを説明できるようにしておいてください。

シカゴの街並み

2.社員のニーズに合った報酬を考える

 前述の「別の報酬項目」は金銭報酬とは限りません。

 例えば、プロフェッショナルとしてのキャリアアップに関心が強い「研究開発職」タイプにはスキルアップを支援する「教育訓練の機会」を、裏方として他の人を支えることに熱心な「一般事務職」タイプには組織の感謝を示す「表彰」などを与えることも有効です。

 このように「本人がもらって嬉しいもの」を考えることが、ポイント2「社員のニーズに合っている」報酬につながります。

3.「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」のベストバランスを実現する

 ここまで会社が与える報酬を中心に考えてきました。
 これらは「外発的動機づけ」といって外側からの作用で社員の動機(モチベーション)を高めようというものです。

 動機に関するもう一つ重要な視点として「内発的動機づけ」があります。

 仕事のやりがい・面白さ、自分の成長、仲間との関係などです。
 これらを無視して、外発的動機づけ(特に経済的報酬)さえあれば社員が活き活き働けると考えてしまうと行き詰まります。

 最近は逆に、内発的動機づけの重要性をクローズアップするあまり、外発的動機づけは逆効果だと主張する人も出てきました。

 これについてGreen氏は「外発的動機づけが内発的動機を消し去ってしまう」という見解は極論であり、両方が必要だと断言しました。
 全くそのとおりです。
 仕事が面白ければ賃金は支離滅裂でもいいなどということはありません。

 社員は、生活者として一定の納得性が得られて初めて、面白い仕事に没頭できるようになるのです。
 「外」と「内」の両方の動機づけが人の活力を支えていることを忘れてはなりません。
 大切なことは、「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」の特徴と意義、限界と可能性を理解した上で両者のベストバランスを実現することです。

 以上、報酬を考える際の3つのポイントを見てきました。

 一言でまとめると「一人ひとりの社員の人間性を尊重して報酬を組み立てる」ということになります。

 社員はこのように敬意をもって丁寧に扱われることによって「エンゲージメント」(強い思い入れをともなった参加・貢献)が高まって活き活きと働くことができ、そのような社員どうしのつながりが会社の持続的な成長を支えていくのです。

 ところで今日はクリスマスイブですね。
 ささやかですが、シカゴの名所の一つ、バッキンガム噴水の写真をプレゼントしたいと思います。

Merry Christmas!

 

バッキンガム噴水

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