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中堅・中小企業におけるこれからの管理職のあり方ー28ー

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中堅・中小企業におけるこれからの管理職のあり方ー28ー

第28回 管理職の成長を支援する効果的な管理職研修とは?(2)

 こんにちは。人事コンサルタント・CDA・中小企業診断士の渡辺俊です。
 前回は、「管理職研修基本プログラム」の概要と、研修の1回目に行っている「共感・発見ミーティング」を紹介しました。この「共感・発見ミーティング」は、幹部としての自覚を促し、管理職研修に臨む心がまえを整えてもらう効果がありました。
 今回から研修の具体的な学習内容を見ていきます。まず初めに「キャリアを振り返る」を取り上げます。

1.プログラムの概要

 「キャリアを振り返る」は、次のような内容で進めます。

①これまでの歩みを振り返る
 まず、ライフラインチャートというツールを使い、社会人になってからこれまでの自身の歩みを振り返ります。これは、主なできごと・転機や、影響を受けた事・人・もの、成功体験や失敗体験などを時系列に書き出し、その頃の自分が何を感じ、考えていたかを思い起こし、できごとにまつわる感情の浮き沈みを図化する個人ワークです。

②キャリアを語る
 次に、ライフラインチャートをもとに、これまでの職業人生を、グループのメンバーに語ります。そして、グループメンバーからの問いかけを受けて、経験の中に見え隠れする「自分らしさ」=自分自身の特徴的なものの見方や考え方、大切にしている思いや価値観、ありたい自分を探求します。

③未来を思い描く
 さらに、見えてきた「自分らしさ」「ありたい自分」を軸にして、自分はこれからどんな人生を歩んでいきたいのかを考えます。また、組織の一員として、わが社の中で何をしていきたいかを考えます。

 一見、「管理職とどういう関係があるの?」と思われるかもしれませんが、そこにはとても深い意味があります。

2.プログラムの意味とねらい

 このプログラムには、2つの目的があります。
 第一の目的は、自身のキャリアを振り返ることを通して、「今なぜ、自分はこの会社でこの仕事をしているのか、どういう経緯があって今、管理職という立場にいるのか。そして、そのことを自分はどう受けとめているのか」を、立ち止まってあらためて考えてもらうことです。

 この連載の1回目でも述べましたが、中堅・中小企業の管理職登用は、本来の必要性や存在意義とは関係のない、以下のような理由で行われることが少なくないように思います。

◆O君は、わが社のトップ営業マン。だから営業部長にふさわしい。
◆同期のP君も去年課長になったことだし、Q君もそろそろだな。課長の肩書がないとお客さんにも世間にも見くびられるし。家族の手前もあるしな...。
◆課長にすれば時間外・休日手当を払わなくてすむんだろう? だったら、Rくんも、課長にしたほうがいいよ。

 形はどうあれ登用されれば、その時は嬉しく感じるのが人情です。しかし、このようにして登用された管理職は、自分に何が求められているかを考える機会もないまま、また、管理職になっていくための動機づけや教育もないままに、これまでの延長線上で、複雑で多岐にわたる「管理職」という役割を担うことになるのですから、あとになって、戸惑い、苦しむことになりがちです。

 かく言う私自身も、30代の頃、そのような気持ちで管理職をやっていた時代がありました(余談ですが、時々、本人が、その責任が何なのかもわからないうちに、「取締役にしてしまっている」という会社に出会うこともあります!)。

 このプログラムは、さまざまな経緯で管理職になった方々に、いったん立ち止まって、自身について考える機会を提供しています。社会人になってから今までの自分の歩みを振り返ることで、その間にどんなことを経験し、何を考え、何を身に着け、どんな風に変化・成長してきたのかをあらためて確認し、それが今の自分とどのようにつながっているのかを俯瞰的に観てもらいます。

 そして、そもそも自分は、今の仕事や会社をどう思っているのか、これからどうなっていきたいのかを、考えてもらうのです。自身の仕事観、会社観、人生観と向き合ってもらうと言ってもいいでしょう。

 そうすることで、今自分がこの立場に立っていることに、自信や誇りといった肯定的な感情と、自分が主体的にこの立場を引き受けているのだという責任を自覚してもらうことができるのです。

 第二の目的は、自分のキャリアを振り返ることを通して、部下もそれぞれに大切なキャリアを歩んでいることに気づいてもらい、部下が、今この会社でこの仕事をしていることをどう受けとめ、これからどうなっていきたいと思っているのかを、しっかりと聴いていこうという気持ちを持ってもらうことです。

 どんな経緯であろうと管理職に登用されるような人材は、一般的に、一定の経験を積み、自分の仕事に対する責任感や、これまでの実績に対する自負を持っているものです。

 一方、経験の浅い非管理職の中には、自分はどうしたい、どうなっていきたいという考えや希望を持たないまま、日々の仕事を「なんとなくやっている」「やらされている」と感じている人も少なくありません。そのような部下をつい物足りなく感じ、頭ごなしに指示・指導してしまう上司もよく見受けられます。

 このプログラムは、そんな管理職に、「かつての自分はどうだったろうか・・・」ということを思い返し、部下一人ひとりに思いを馳せるよう促すものになっています。

 つい最近、ある会社の若手管理職研修でこのプログラムを実施したところ、事後の振り返りで、「働く目的や意義、仕事や会社に対して求めているものは、一人ひとり皆違うことに気づいた」と言う声が、数多く上がってきました。

 表面に現れるヤル気の有り無しや、仕事の結果は、本人が心の奥底で持っている仕事観、会社観、人生観から大きな影響を受けています。それを無視して、部下のさまざまな問題を、客観的な理論や合理的な指示や指導だけで修正しようとしても、うまくはいきません。部下の内面、内発的なものに目を向けることができるようになることで、「効果的な部下との関わりとは何か」「自らヤル気になってもらうための指示や指導とはどんなことなのか」が、わかってくるのです。

 このプログラムを一言で表すと、自己理解と他者理解に尽きるでしょう。そしてこれは、組織の責任者として、チームを創り、部下と関わり、部下を束ね、成果を出すための第一歩だと言えます。もちろん、たった数時間のプログラムで、大きな変容が生まれるわけではありません。それでも、自己理解と他者理解の必要性を自覚し、探求を始めるきっかけにはなっていると思います。

 次回は、この研修のもっとも重要なプログラムである「目標管理の運用」を取り上げます。
(今回の内容は、この連載の21回~23回で述べた「キャリア開発」と関連しています。)

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