1. 賃金・評価などの人事コンサルティングならプライムコンサルタント
  2. プライム Cメディア
  3. WEB連載記事
  4. 強い組織を作る!人材活用・評価・報酬の勘どころ
  5. 中堅・中小企業におけるこれからの管理職のあり方
  6. 中堅・中小企業におけるこれからの管理職のあり方ー4ー

プライムCメディア

中堅・中小企業におけるこれからの管理職のあり方ー4ー

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
中堅・中小企業におけるこれからの管理職のあり方ー4ー

第4回 『もしドラ』に見るマネジメントの役割(2)

 こんにちは。人事コンサルタント・CDA・中小企業診断士の渡辺俊です。
 前回は、『もしドラ』の主人公みなみの活動を通して、マネジメントの1つ目の役割「自らの組織に特有の役割を果たす」について考えました。今回は引き続き、2つ目の役割「仕事を通じて働く人たちを生かす」について考えていきたいと思います。

3.野球部員の個性を輝かせる

 (1)「お見舞い面談」という名のマーケティング

 みなみは、『マネジメント』を読み進める中で、自分が無意識にマーケティングを進めていたこと、だからこそ「顧客に感動を与えるための組織」という野球部の定義にたどり着いたことに気づきます。そして「マーケティング」という活動には、もっと深い意味や効果があると、直感的に感じとるのです。

 そこで彼女は、「お見舞い面談」なるものを企画します。目的は、部員・監督である先生・後輩マネージャーの考えや思いを引き出そうということでした。しかもインタビュアーであり、カウンセラーでもある面談者の役割を、病気療養のため入院中の夕紀に託します。みなみは、幼い頃からの夕紀との関係性の中で、誰もが心を開きたくなる夕紀の人柄を見抜き、その彼女の個性を尊敬していたのです。

 「お見舞い面談」は、部員一人ひとりが放課後に夕紀の病室を訪れることで実施され、みなみは部屋の片隅で二人のやりとりを聴いていきました。
 頭脳明晰故に優等生だと遠巻きに見られがちな1年女子マネ文乃は、それが嫌で、もっとみんなと仲良くしたい、誰かの役に立ちたいと思っている。

 そこそこの実力を持ちながら私立でプロを目指すまでの覚悟はなく、現実的な進路を選んだ純は、自分の実力を見極めたくて野球を続けており、キャプテンを任されたことを正直負担に感じている。
 打撃も守備も実力不足でありながら、俊足という理由だけでレギュラーになっていることに引け目を感じている文明。

 大事な試合でエラーをしたことがきっかけで、「何のために野球をやっているのかわからない。野球が楽しくない」と感じるようになった祐之助。
 監督である加地の采配に不満を持っているエースの慶一郎。

 夕紀の前では、皆素直に自分のことを語りました。皆に共通しているのは「自分をもっと知ってほしい」という思いでした。

 (2)「お見舞い面談」の成果と成功のカギ

 こうして「お見舞い面談」は、部員一人ひとりの思いもよらなかった一面を次々と引き出すこととなりました。そして見出された各部員の強みや特徴は、今後の野球部の活動において、役割分担やフォーメーション(配置)に大いに役立っていきました。

 文乃は、監督の加地とともに、「思わず参加したくなる、新しい、魅力的な練習メニューを考える」という役割を任されます。
 純は、補欠の正義をキャプテンに任命することを加地から告げられ喜んで同意、本番ではプレイだけに集中することができるようになります。

 文明は、ここ一番のピンチランナーとして自身の強みを最大限発揮する機会を得ます。
 祐之助、慶一郎、他のメンバーにも、そして監督の加地にも、それぞれの個性の生きる道が拓けていったのです。

 夕紀の強みを活かしたこの活動は、部員の強みや特徴を見出すこととなり、野球部の組織能力の把握と活用という大きな成果をもたらしました。
 もちろん、「お見舞い面談」が成功した最大の要因は、その役割を一生懸命に真摯に取り組んだ夕紀の個性とがんばりでした。しかし、それを引き出した陰には、みなみの夕紀に対する関わりがありました。

 みなみは夕紀に対して、

  • 「お見舞い面談」の意義を語り、その大切な仕事を一任することで、面談者としての責任を持たせました
  • 面談後には共に振り返りを行い、面談を受けた部員の声も率直にフィードバックしました
  • 「お見舞い面談の効果をより高めるためにはどうしたらよいか」を、自ら考え、学ぶように求めました

 ドラッカーは、「人は、責任・貢献・成果を欲する存在である」と言っています。責任ある仕事を任され、期待に応えて貢献し、成果を出せることを、人は働きがいと感じます。働きがいと責任は表裏一体のものなのです。
 みなみの夕紀への関わりが、夕紀の責任意識を高め、彼女の働きがいとなり、もともと彼女が持っていた資質と相まって、「お見舞い面談」の成功をもたらしたのです。

 (3)仕事を通じて人を生かす

 みなみのやったことは、マーケティングによって部員一人ひとりの強みや特徴をつかんでいくことでした。
 では、私たちはどうでしょうか?管理者として、部下一人ひとりの強みや特徴をつかんでいるでしょうか?

 それ以前にまず、部下との面談、コミュニケーションの機会を作っていますか?
 みなみの活動の成果を思えば、私たちの組織にも絶対的に必要な活動であるはず。なのに多くの会社では、年にたった一度や二度の、目標設定や評価という人事イベントに伴う面談すら、おろそかにされがちなのが現実ではないでしょうか。

 実は、みなみと夕紀がこの活動を成功に導いたのには、もう一つ、大きな要因があったと思うのです。それは、みなみや夕紀の、部員皆に対する「好意的な関心」です。いくら必要性があっても、一人ひとりの、人となり、本音や本心、個性や能力を、心から知りたいという思いがなければ、この活動をやり続けるモチベーションにはならなかったのではないでしょうか。

 部下に対する好意的関心を常に心の奥底に据えていられることは、管理者に求められる大切な資質です。そしてその資質があってはじめて、ドラッカーの言うマネジメントの第二の役割、「仕事を通じて働く人たちを生かす」ことができるのだと思うのです。

 さて、これから野球部は、さらに活躍の幅を広げていきます。次回は、マネジメントの3つ目の役割「自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する」について話を進めていきましょう。

プライムコンサルタントの
コンサルティング

コンサルティング会社と聞くと、「敷居が高い」「中小企業の当社には関係ない」といった考えをお持ちではありませんか?

当社のクライアントの大半は、従業員数が30~300名ほどの中堅・中小のお客様です。
これらのお客様からは「中小企業の実情を理解したうえで的確なアドバイスをくれる」「話をしっかり受け止めようとしてくれる」「いい意味でコンサル会社っぽくなく、何でも相談できる」といった声を多くいただきます。
担当コンサルタントの「親しみやすさ」も、当社の特長の一つです。

会社の規模に関わらず、一社一社のお客様と親身に対話をすることが当社の基本方針。
人事のご相談はもちろん、それに関連する専門知識を持ったコンサルタントがお客様の悩みをしっかり受け止め、人事にまつわるさまざまな課題を解決に導いてまいります。

ぜひ、お気軽にご相談ください。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリ