1. 賃金・評価などの人事コンサルティングならプライムコンサルタント
  2. プライム Cメディア
  3. WEB連載記事
  4. 人と組織の元気を探る「教えて!御社の工夫」
  5. 「部門の壁」取り払い100年企業を目指すー2ー

プライムCメディア

「部門の壁」取り払い100年企業を目指すー2ー

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「部門の壁」取り払い100年企業を目指すー2ー

 前回は、大島椿グループの岡田社長に、同社の創業の経緯やこれまでの歴史について語っていただきました。
 今回は、社員同士の仲間意識を高め、グループ内での部門間連携を強化するために行った、様々な全員参加型のプロジェクトを紹介していきます。中でも、社員共通の胃袋を持つための食育活動は、食用椿油を販売する同社ならではの独自の取り組みですので、ぜひご確認ください。(編集部)

大島椿株式会社の工夫(2)

全員参加型のプロジェクトで仲間意識を醸成

 岡田社長が以前から気になっていたという、製造部門と販売部門の連携の問題。研究開発も、製造も、販売も、すべてグループ内で行う体制にも関わらず、意思統一と一体化を改めて図る必要があったといいます。

 「だからといって、ビジネスライクに『我が社の企業理念はこれです』『ああしなさい、こうしなさい』といっても、マインドがついてこないでしょう。最初に必要なのは、もっとシンプルに仲間意識だと思いました。それが会社を1つにする」と岡田社長。

 会社を1つにする。これも掛け声だけで実現するものではありません。同社は全員参加型のプロジェクトを通じて、これを成し遂げました。

 大きな契機となったのは、2013年に伊豆大島で起きた土砂災害です。創業以来、伊豆大島に店を構えるグループ会社の大島椿製油所が被災するなか、同社は島に対して出来ることを模索しました。結果、たどり着いたのが観光復興支援です。

 グループ一丸となって急遽、寄付金付きの商品を製造・販売し、売上の一部を大島町へ観光復興支援金として寄付しました。また、60年近く続く「伊豆大島椿まつり」の開催が危ぶまれるなかで、出展を決定。開催中のおよそ2ヶ月間、展示ブースを現地に開き、販売部門である大島椿株式会社の社員および製造部門である大島椿本舗の社員を投入。二泊三日ずつ、大勢の社員が数珠つなぎに大島に足を運び、会場を盛り上げました。

 「普段、お客様に直接触れる機会のない社員も多くいました。それが、伊豆大島という場所でお客様の声を聞き、仲間と共に1つの仕事を成し遂げた、ということは大きな体験になりました」
 その2013年以降、同社は「伊豆大島応援プロジェクト」と題して全社をあげて伊豆大島椿まつりを支援しています。

「伊豆大島つばき座プロジェクト」も始動

 現在は、創業100周年に向け、伊豆大島で新たな活動を開始しています。「椿の植樹を行おうと考えているのですが、これがなかなか大変で」というのは、大島の山を開墾するところから始めているからです。場所は、伊豆大島の南の高台。同社が保有する3400坪の森です。

 「森には自生の椿も生えているのですが、つるが絡んでいたり、雷に打たれた木が倒れていたりと荒れ放題だったんですね。椿は成長の遅い植物なので、他の植物に負けて、花も全然咲かせていませんでした。まずは、これを何とかしようというわけです」

 名付けて「伊豆大島つばき座プロジェクト」。こちらは、毎月1回、社員3〜4人ずつが大島を訪れています。これには毎回、岡田社長も同行しています。

 「夜中の船で出発すると朝方に大島につくんです。そのままみんなで温泉に浸かって、仮眠をとる。朝食をとって、それから山へ出かけていきます。もうチェーンソーの使い方も覚えました。それでもまだ山を整備するのが先で、植樹するところまでたどり着きません。長期戦になると思います」

 社員に加えて、島の方々にも活動に参加していただいています。なかでも岡田社長が「恵まれていた」と語るのは、大島高校農林科の生徒と先生の協力を得られたこと。「いろいろ教えてもらいながら、皆でワイワイ作業を進めています。学校の皆さんにも、敷地を授業に使っていただいているんですよ」

 それにしても「大島椿」という押しも押されぬロングセラー商品を擁する同社です。「そんなことをしなくても経営は成立するのでは?」とは、誰もが疑問に思うところかもしれません。岡田社長は、こうした活動の意義をどう考えているのでしょう。

 「私たちは唯一無二の会社だと思っています。椿油専門メーカーであるということが理由の一つ。
 二つ目の理由としては、椿を咲かせて種を集めるところから、椿油の開発、製造、販売まで一貫していること。同規模の化粧品メーカーでは、ほかに聞いたことがありません。普通に考えれば、こんな面倒なことに誰も参入しようとは思わないでしょう。手間もかかるし、時間もかかるからです。

 しかし、そこで手を抜かないから私たちは唯一無二の存在になれたのだと思います。椿の畑から手がけていければ、トレーサビリティも確保できて、お客様にもより安心な商品をお届けすることにつながりますから」

 何より、創業以来の、大島の発展に貢献したいという思いがあります。
 「椿の里山をつくろうと思っているんですよ。大島には昔、たくさんの椿が咲いていましたが、いまでは荒れ放題になっていて、咲いていない椿もたくさんあります。しかし、たくさんの椿が咲けば人も集まるはず。里山をどんどん発展させて、どこにいってもたくさんの椿が見られるような島にしたい。

 創業者が感動した大島の姿は、きっとそういうものだったはず。何年かかるかわかりませんけれど、これを社員一丸となって進めていくのが、会社のミッションだと思っています」

「社員共通の胃袋」を持つための食育活動も

 また2015年にイタリアのミラノで食をテーマに万博が開催されました。なかでも日本食や日本の文化を伝える「日本館」が大好評を博しましたが、そのレストランに同社の食用油「椿の金ぷら油」が採用されたのです。
 イタリアといえばオリーブオイルの国。食分野にも椿油を広げようと考えていた同社は、「日本代表のオイルは椿だ」と経済産業省に直談判。料理人にも椿油の魅力をプレゼンテーションしました。

 『ぜひやらせてほしい』といっていただきました。現地のイタリア人も『この油はなんだ?」と興味津々。やっぱり、油の美味しさのわかる人たちなのかもしれませんね」

 イタリアで評判を呼んだ「椿の金ぷら油」は、椿油100%。古くは江戸時代から、椿油で揚げた黄金色の天ぷらは「金ぷら」と呼ばれ、高級料理として愛好されていたそうです。椿油は加熱に強い植物油とあって天ぷらにも最適だとか。

 そのとき、「油を売る社員一人ひとりが、自分の言葉で魅力を語れなければならない」と考えた岡田社長は、天ぷらの名店に社員全員を連れていく研修を行ったのです。

 「ミシュランで星をとっているような天ぷら屋さんに、椿の金ぷら油を採用していただいたんです。どうせなら超一流の料理人が揚げた天ぷらを食べさせたかった。
 『こんなにも美味しいものなのか』と皆感動していましたね。やっぱり食べてみないと何もわかりません(笑)。これで社員たちが共通の言葉ならぬ、共通の胃袋を持つことができました」

(次回へ続く)

大島椿株式会社様のホームページはこちら

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリ