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第28回 マネジメントと動機づけ(1) 動機づけのためには何が必要か

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第28回 マネジメントと動機づけ(1) 動機づけのためには何が必要か

前回までは、人に成果をあげさせるために必要な成果基準やプロセスなど、「仕事そのもの」についての考えを中心に解説してきました。
今回からは、「働く人」の側に焦点を当ててみたいと思います。

マネジメントと動機づけ(1) 動機づけのためには何が必要か

(1) 働く人を仕事の主人公にするために

 事業の成果をあげるためには、何よりも、働く人々が求められる成果を理解し、仕事のプロセスを自分でコントロールし、自分たちの力で成果を実現させる必要があります。

 仕事をしていれば、時にはうまくいかなかったり、お客様や上司にストレスを感じたりすることもあります。しかし、そんな状態がいつも続くようでは、よい成果をあげることはできません。

 働く人たちには、さまざまな仕事の問題や人間関係を上手に解決させて、成果をあげさせなければなりません。ただし、これは誰かに強制されたからといって、うまくいくものではありません。働く主体、成果を上げるのは彼ら自身なのです。

 仕事の成果とプロセスが客観的なものであるのに対し、働く人は自身の意思や感情、能力を持っています。実際に仕事をするうえでは、働く人が主人公であり成果をあげる主体なのです。
 ではどのようにすれば、働く人は自ら仕事の主人公として振る舞い、成果に向かって内的動機を持って進むようになるのでしょうか。

 この問題については、アメリカの心理学者ダグラス・マグレガーのX理論とY理論が有名です。
 人は怠惰な存在であり、アメとムチでしか動かない未熟な存在であるとするのがX理論、これに対して、人は本源的な働く欲求を持ち、適切に取り扱いさえすれば、仕事を通じて自己実現を求め、進んで責任を引き受ける。成熟を求める存在であるとするのがY理論です。

 この議論が登場したのはいまから50年以上も昔ですが、今日ではX理論とY理論のどちらが正しいかということではなく、Y理論へ近づけるためにはどのようにすればよいのかということに焦点が移っています。

 現在ではむしろ、仕事への動機づけは、仕事を取り巻く外部的な環境要因(衛生要因)と、仕事に意欲を持たせる満足要因(動機づけ要因)とがお互いに関係しあっていることがわかってきました。さらに、その組み合わせや状況によって、同じ人間でも仕事に対する責任の引き受け方、動機が大きく変化することが明らかになっています。

 つまり、性善説や性悪説のような人そのものの本性が問題なのではなく、仕事の与え方や動機づけ、マネジメントこそが課題であることがはっきりしてきたのです。

(2) 衛生要因と動機づけ要因の関係

 アメリカの臨床心理学者ハーズバーグによれば、衛生要因とは仕事をするうえで当然必要とされるものであり、ないと不満足を引き起こすものとされています。しかし、あったとしても、それ自体が満足の要因にはなりません。

 例えば、雇用・身分・給料の保障、職場環境、休憩時間、権限の明確化、組織方針などがこれにあたります。仕事そのものではなく、仕事の外側に存在し、ないと不満ですが、あったとしても満足度が上がるわけではありません。

 一方、動機づけ要因とは、仕事の満足に関わるもので、その行動そのものを通して喜びや感動、満足感をもたらすものの総称です。

 例えば、共感、承認、評価、他人の期待、自己成長などがあげられます。これらがあると、仕事に対して満足感を覚えますが、ないからといって、仕事そのものに対して不満足を引き起こすわけではありません。ただし満足が得られなければ、動機づけにはなりません。

 そして、この衛生要因と動機づけ要因は同時に満たされる必要があります。

 衛生要因だけ満たされても、仕事を通じて動機づけ要因が満たされていない人は満足できません。仕事に対する充足感や達成感は得られず、空しく感じます。

 反対に、動機づけ要因だけ満たされても、衛生要因が満たされていないと強い不満を覚えます。仕事に満足したとしても不満にかき消されてしまい、仕事に対する満足すらも存在しないように感じられます。

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(3) 動機づけにおいて重視すべきもの

 社員の動機づけを図るうえで第一に重視しなければならないことは、仕事そのもののやりがい、仕事に対する責任です。相手からの明確な期待と言い換えることもできます。

 達成すべき組織の成果が明確であること、自分の果たすべき役割がはっきりしていること、仕事が相手に対して意味のあるものであること、相手の期待や要求に応えられるものであること、がんばれば感謝されることなども含まれます。

 2番目に重要なことは、仕事がより生産的になされることです。
 つまり、仕事のプロセスが明確であり、ツールが揃い、効率的に成果があがることです。自分の描いたプラン通りに仕事が進めば、誰だって気持ちがいいものです。ですから、行き詰まっている部下がいたら、上司は解決策を示唆したり、一緒に考えるなどして積極的に支援する必要があります。

 3番目は、仕事の自己管理、セルフコントロールが可能になることです。
 例えば、仕事の成果が情報としてフィードバックされること、自分の仕事ぶりが自分でわかること、仕事のやり方を自分で改善・修正できることなどが挙げられます。いちいち上司に言われるのではなく、自分で問題の所在に気づくように仕向けるのです。また、部下には自分の気づきと工夫で仕事を改善できる裁量幅と権限を与えるようにします。

 4番目は、組織的な継続学習と仕事の自己組織化を進めることです。
 具体的には、何か問題が起こったときに、その場限りの「処理」をするのではなく、今後同じ問題が起こっても対応できるように、もしくは同じ問題が起きないように「解決」する方法を見つけさせるのです。

 そのために、仕事そのものの編制や組織化、現場の改善についても積極的に取り組ませます。他部署との交流を通して、自分たちの仕事の進め方に対する課題を見つける機会を与えることも重要です。

 5番目は、全員の参加です。
 上記の1番目から4番目までについて、上司や人事の専門家が一方的に進めるのではなく、実際に仕事をしている従業員の経験や現場感覚、専門知識、ニーズを引き出し、活用する必要があります。組織内の検討、決定に参画させることで、強いリーダーが育ちます。

 最後に、組織の衛生要因として、仕事を行う権限、意思決定の範囲、指揮命令系統などは常に明確にしておく必要があります。そうでないと強い不満につながります。

 次回は、マネジメントによる階層的な動機づけについて、解説したいと思います。

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