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第29回 マネジメントと動機づけ(2) マネジメントによる階層的な動機づけ

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第29回 マネジメントと動機づけ(2) マネジメントによる階層的な動機づけ

前回は「働く人」に焦点を当て、いかに動機づけを行うか、そのために必要なポイントについ述べました。
今回はさらに掘り下げ、マネジメント段階に合わせた動機づけについて述べたいと思います。

マネジメントと動機づけ(2) マネジメントによる階層的な動機づけ

(1) 階層的な動機づけの必要性

 前回述べたとおり、仕事への動機づけには、仕事を取り巻く外部的な環境要因(衛生要因)と、仕事に意欲を持たせる満足要因(動機づけ要因)とが同時に満たされる必要があります。
 ただし、全社員に同じ環境を用意し、一律的な動機づけの手法をとっても、効果は期待できません。組織において仕事に責任を持たせ、仕事への意欲を引き出すには、マネジメント段階に対応した階層的な動機づけが必要です。

 これから説明するマネジメントの段階ごとに、それぞれ必要とされる衛生要因(仕事の周囲に存在)と、動機づけ要因(仕事そのものに内在)を同時に実現しなければなりません。 さらに、 動機づけ要因の中には、上司や周囲からの動機づけを促す働きかけと、本人による自己動機づけ(仕事による自己充足)そのものとがあります。

(2) マネジメントに応じた6段階の動機づけ

 第1段階は、組織メンバーとして迎え入れ、役割意識を与える段階です。この段階では、衛生要因として雇用・身分を保障するとともに、職場の生活環境に順応させる必要があります。さらに、お互いの権利と義務を明確にし、生活できる程度の給料と最低限の福利厚生を用意します。

 また、動機づけ要因として、上司は組織と仕事の仕組みを教え、仕事の基本事項を学習させます。これにより、本人は仕事の目的や意味、やるべきことをおぼろげながら理解し、行動するようになります。そうすることで、自分の居場所を再確認できるようにもなります。

 第2段階は、応分の仕事を与える段階です。衛生要因として、正式な配属を決めそれに応じた給料を払います。上司は作業条件を明確にし、対人関係を配慮するとともに仕事を監督します。組織の規律を保ち、休息・慰安・娯楽を与える必要もあります。

 また、動機づけ要因として、仕事の目的と相手を具体的に説明し、仕事に必要なツール・情報を与え、能力に応じた職務を遂行させます。これで本人は仕事相手にとっての意味そして自分の役割を理解し、責任感を持てるようになりますし、チームもしくは一人で仕事をやり遂げようという気持ちになります。

 第3段階は、成長を促す段階です。衛生要因として評価制度を整え、管理者と従業員全員にその内容と使い方を開示します。上司は評価尺度を示し、部下の仕事の成果と行動を評価し、本人にフィードバックします。

 また、動機づけ要因として、上司はチームワークを奨励し、仕事を任せ、自分で判断させ、成長を支援します。フィードバックを受けることで本人は仕事のできばえを自分で確認し、達成感を実感できるようになります。組織の中での位置を知り、自分の将来を描けるようになり、顧客への理解を深めることもできます。

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 第4段階は、さらに組織に参画させる段階です。衛生要因として、経営の目的、ミッションを強調し経営目標を明確にします。組織の状況、方針、業績を説明し、利益があがれば全員に利益を分配するという賞与の意味を理解させます。

 また、動機づけ要因として、仕事の目標を明示し本人への期待を強く伝えます。目標達成のための課題を明確にし、仕事の権限を与え、仕事の進め方を任せます。本人は与えられた権限を使いこなし、自分で仕事をコントロールし、目標を追求・達成しようとします。会社の利益を自分たちの利益として実感できるようになります。

 第5段階は、組織への貢献を評価し報いる段階です。衛生要因として、貢献に対する応分の報酬や賞与を支給し、新たな人事を決定します。

 また、動機づけ要因として、上司は貢献に対する評価をフィードバックします。貢献に感謝し、新たに高度な仕事を任せることで、本人は組織への貢献に手ごたえを感じ、組織メンバーの感謝を実感することができます。自己の強みを理解し、自信を持てるようになります。

 第6段階は、組織の戦略・価値観を共有する段階です。衛生要因として、組織は会社の事業戦略と将来ビジョンを示す必要があります。それだけでなく、組織としての価値観、経営の原点を示す必要もあります。

 また、動機づけ要因として、戦略やビジョンと各人の役割責任・目標とのつながり、組織の価値観と行動基準とのつながりを教える必要があります。将来、各人が活躍できる姿を描かせ、組織を支え動かすことを実感してもらいます。そうすることで、社会への貢献を実感し、自分の将来のキャリアを描くことができるようになります。

 自分たちの会社では、どのマネジメント段階まで衛生要因、動機づけ要因がともに実現されているのか、あるいはどの段階で何が欠落しているのかを調べることで、人材マネジメントの重要な解決課題を知ることができます。一度、体系的にチェックしてみてはいかがでしょうか。

次回は、人材マネジメント方程式シリーズの最終回です。金銭報酬による動機づけの限界について解説したいと思います。

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