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第27回 仕事の成果をあげる(2) プロセス管理と仕事の最適化

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第27回 仕事の成果をあげる(2) プロセス管理と仕事の最適化

前回は、成果をあげるために必要な「成果基準の設定」について話をしました。
今回は、同じく成果をあげるために必要な「プロセス管理」と仕事を割り当てるときの「最適化」について解説したいと思います。

仕事の成果をあげる(2) プロセス管理と仕事の最適化

(1) プロセス管理はよい成果を生む「魔法」

  仕事のプロセスとは、成果を生み出すための作業をいくつかの機能や段階に分け、その段階を積み重ねることで、ある結果を導く手順のことです。

 仕事の対象(材料・インプット)に対して、論理的なつながりを持つ一連の動作を加え、処理を施し、段階的に変化をもたらすことにより、結果として、完成品・アウトプットができあがります。

  成果をあげるためには、この仕事のプロセスそのものを管理する必要があり、仕事の内容やプロセスが複雑になればなるほど、その重要性は増します。

 適切なプロセスは、作業や判断を定型化し、ゼロから個別に仕事のやり方を決めなくてもよいようにする隠れた仕掛けであり、普通の人に優れた成果をあげさせるための「魔法」のようなものなのです。

 では、プロセスを管理するためにはどのようなことに気をつけなければならないのでしょうか。そのためには、以下の3つのポイントがあります。

1.ロジックの客観化
2.標準化
3.管理基準の設定

 1つ目の「ロジックの客観化」とは、仕事のプロセスを客観的なシナリオとして記述することです。最も簡単な例をあげると、「買い物リスト」や「ToDoリスト」などのように、やるべきことをメモにし、一覧化する方法があります。行事の「式次第」や演奏会の「プログラム」は、やるべきことを時系列順に示したものです。より、複雑な作業の組み合わせに対応した「プロセスチャート」や「ガント・チャート」といった方法もあります。

 2つ目の「標準化」とは、仕事を誰にでもできる共通の手順、定型的なプロセスに仕立て直すことです。標準化された処理プロセスを「プログラム」といいます。身近な例として、料理の「レシピ」があげられます。材料やツールを用意し、「レシピ」通りに料理すれば、誰でも同じような料理を作ることができるはずです。

 ある特定の作業手順をクローズアップし、文書化したものが「マニュアル」です。手順を分かりやすく図解したマニュアルがあれば、複雑な機器やシステムも使えるようになります。

 3つ目の「管理基準の設定」とは、個々の作業に対し、「何を、どれくらいの時間をかけて、どのような状態にするのか」という単純な基準を決めておくことです。このようにして決められた手順や管理基準に沿って仕事を行えば、誰でも同じ結果を繰り返し得られるようになります。

 ただし、仕事の手順化、標準化には限界もあります。設定した基準を超える想定外のことは起こりますし、あらゆる多様な状況や流動的な事態を想定して標準化することはできません。管理基準の許容範囲を超える事態については、例外処理を行い個別に対処する必要があります。

 どのような事態にも対応できる「マニュアル」などというものは、詳細かつ膨大なものになり、誰にも読まれないものになってしまいます。「マニュアル」は、できるだけ要点のみを押さえたものが望ましいのです。

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(2) 仕事の最適化と人材開発

 上で述べた「プロセス管理」は、「仕事そのもの」をいかに適切に効率よく行うかということに焦点を当てています。
 しかし、仕事の成果をあげるためには、「仕事そのもの」だけでなく、「働く人」にも目を向け、適切な働きかけをしなければなりません。

 仕事自体は客観的なものです。誰に対しても同じようになされるべき対象としてそこにあり、誰かが引き受けなければなりません。
 一方で、「働く人」の意欲、能力には個人差があり、得意・不得意があります。仕事の成果をあげるためには、人の意欲を引き出し、その能力を最大限に活用しなければなりません。

 仕事そのものが合理的に編制され、働く人の意欲、能力がそれにうまくマッチングすれば、成果をあげられるはずです。しかしそのためには、「仕事そのもの」と「働く人」とを並列的あるいは対立的に捉える方法ではうまくいきません。また、経営者・管理職・人事担当者が外側から緻密に仕事と人を管理しようとしてもうまくません。そこには、働く人たち自身が主体的に仕事を捉え、目標を設定し、自分で仕事のやり方を決めるような工夫が必要です。

 具体的には第25回(個人の自己目標管理)に述べていますが、組織全体の目標や所属部門の目標設定に参画する中から自分の仕事とその目標を考えさせる必要があります。働く人たちが自ら組織に貢献できる目標を設定し、仕事を自己管理し、その結果のフィードバックも受けられるようにすることです。

 ただし人は急には仕事を覚えられません。人がさまざまな種類の仕事に習熟するには時間がかかります。組織に貢献できる目標を設定する場合には、各人の役割責任段階にふさわしい目標を設定できるように、仕事を機能別に分解して割り当てる方法が効果的です。

 例えば、ある職場に、A、B、Cという3種類の複雑で熟練を要する仕事があるとします。いずれもゼロから始めると習熟するのに10年くらいかかる仕事です。
 3人の新人を雇い、それぞれにA、B、Cの仕事を10年任せると、3人の専門家が育ちます。ただし、それぞれはA、B、Cのどれか1つしかこなせません。

 もし3つの仕事をこなせるマルチタレント人材を育てようとすると、長期にわたり多様な経験と訓練をつませる必要があります。1つの仕事を習熟するのに10年かかるのですから、複数の仕事をこなせるようになるにはかなりの時間を要し、不経済です。

 そこで、仕事を
I 比較的短期間に覚えられる定型業務
II 習熟に時間がかかる応用的な判断業務
III 多様な経験を必要とする指導的な熟練業務(上記のA、B、Cの仕事)
というように、その習熟期間によって階層分けします。

 新人にはまず、「I 定型業務」を覚えてもらいます。定型業務であれば、短期間で数多くの仕事を覚えてもらうことができるはずです。例えば、高校新卒であれば3年もあれば十分ではないでしょうか。

 次に、中堅に育った従業員は定型業務から外し、「II 判断業務」に集中してもらいます。こうすることで、定型業務と一緒に行うよりも早く、判断業務を習熟することができます。4年程度で、判断業務を幅広く経験した社員が育つのではないでしょうか。

 ここまで育ったら、判断業務からも外して、「III 熟練業務」のA、B、Cを順番に経験させます。一度に3種類を経験させるのではなく、1つずつローテーションし、A、B、Cの専門業務に集中できるようにします。

 こうすればⅢを5年程度で、ⅠⅡと合わせても12年程度で、A、B、Cとも完全にこなせる人材を3人育成できることになります。

 このように、一見すると複雑な業務も段階に分け、習熟度とともに昇格させていけば、いきなりA、B、Cの専門家を育てようとするよりも幅広い職務能力を備えた人材を早期に育成することができます。このような形で仕事の割り当てと人材開発を行えば、自ずと役割責任に応じた目標設定がなされるようになります。

 次回は、「働く人」により焦点をあて、「マネジメントと動機づけ」について取り上げたいと思います。

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