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第23回 経営目標管理とミドルの役割

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第23回 経営目標管理とミドルの役割

前回は、経営目標管理のために、経営トップが果たすべき役割について説明しました。
今回は、経営トップを支える経営チームの必要性と正しい事業承継のあり方、組織の業務活動を支えるミドルの目標管理について述べたいと思います。

経営目標管理(3) 経営目標管理とミドルの役割

(1) 経営チームの必要性

 小規模企業では、経営幹部はもちろん、経営トップ自身も生産や開発、営業などの役割を引き受けるのが普通です。

 経営トップがプレイヤーを兼ねることは、経営者として中途半端になると非難されることもありますが、小規模企業の場合はむしろ組織が健全である証(あかし)と言えます。逆に、経営トップが現場にも出ず、重要顧客とも会わない、開発にも関与しないような、将棋で言う「穴熊」社長では困ります。

 営業でも技術でも財務でも、経営トップ自身が自分の得意領域で成果を上げ、組織に決定的に重要な貢献ができることには大きな意味があります。それ以外の重要事項は、それ以外の者がそれぞれ得意な領域を担当すればよいのです。

 ただし、 ある規模以上の企業になると、そうもいきません。少なくとも1人の経営管理の専任者つまり最高責任者と、財務、システム、マーケティングなどの特定分野の責任者が数名必要になります。

 あるいは、会長または社長が全体の方向性を決め、社長または専務が具体的な執行に責任を持つという役割分担が必要になります。

 では、ある規模以上とはどれくらいの大きさを言うのでしょうか。
 明確に何人以上とは言えませんが、経営トップ1人だけでは、社内の重要分野のキーマンの動きを把握しきれなくなる規模を想像してください。組織の機能が複雑化し、責任者の負荷が大きくなり、高度な専門性を担う従業員が増えてくる段階です。

 このような中規模企業のトップともなると、経営管理の仕事は急速に複雑化し、密度も濃くなります。当然、負担は大きくなり、トップにしかできない業務に専念せざるをえません。
 小規模企業のトップと違い、現場に出ることも難しくなるため、トップ自身が知らない・わからない問題は、それぞれの責任者に尋ねるか任せることになります。

 ここで経営チームが必要になります。各部門に責任者を置き、チームとして経営上の問題や機会・課題を共有します。重要な意思決定を行い、組織全体の成果に対する責任を分担する体制にします。

(2) 正しい事業の承継とは

 事業承継にあたっても、このような経営チームを新たに作り上げることができるかが鍵になります。

 事業承継とは、親子の相続や上司・部下の人間関係、世代交代ということに本質があるのではなく、企業の目的・ミッションとその実現のためのマネジメントを経営者として引き継ぐことこそが本質です。

 経営目標を中心とした全体の成果に対する責任と、その管理機能・権限を継承することが重要です。そのためには、前任者と後任者との間で、引き継ぐべき責任、経営目標の内容とその達成方法についての認識を共有・再確認する作業が必要になります。

 それまで前任者が属人的に行っていた管理機能を一つずつ客観的な内容に分離し、引き継ぎのプロセスをたどる必要があります。そのためには時間もかかりますし、権限移行チームが必要になります。
 そうでなければ、前経営者には無理なくできていた何かが失われ、重大なマネジメントの空白・損失を招くかもしれません。

 事業継承をスムーズに進めるためには、経営目標管理を中心とした経営トップの仕事を、段階的かつ集中的に後任者に移管し、後任者はそれを全力で受け止め、習得し実行する必要があります。

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(3) ミドル固有の目標管理

 経営トップや経営チームが行う経営目標管理は、経営全体の成果にかかわる重要事項に焦点を絞って、目標とその進捗を明確にするシンプルなものでなければなりません。

 経営トップや経営チームが、各部署の活動目標や詳細な実施計画、担当者の仕事の細部まで立ち入るのは行き過ぎです。

 たとえ社長一人が率いる小規模企業でも、社長が重要な責任を与えた部下の仕事に細かく関与し、指示するようなやり方をしてはなりません。そのようなやり方を続けたのでは、部下の仕事は奪われ、社長自身の本来の仕事もおろそかになってしまいます。

 経営トップは何よりもまず、組織全体の成果について目標を定め、方向性と戦略を示し、その進捗を図ることに集中しなければなりません。そのための具体的な活動は、ミドル層が行う目標管理の仕事です。

 ミドル目標管理では、ミドルマネジメントが組織全体の成果に貢献するために、担当部門が達成すべき目標を自ら示し、担当部門を自主的に動かします。
 決して、社長が末端の業務にいたるまでミドルの目標を事細かに設定し、それにより課長やその部下を管理・統制することではありません。

 ミドルは部下とともに自分たちの組織目標を達成することを自らの目標とし、組織を動かすリーダーシップを発揮するのです。これはミドル固有のマネジメント活動です。

 ミドル自らがこのような責任を担い、部下とともに自主的に活動できるようにするためには、経営目標は重要な焦点を絞り込んだ、シンプルかつ意図が明確なものでなければなりません。

 経営トップはその意図をミドルに分かりやすく説明し、これをもとにミドルは自部門の課題を抽出し、1年間のアクション・プログラムを作り、部下に行わせる仕事の下図を描くのです。同時に自部門の目標設定を行い、経営トップに示します。

 トップはミドルを集めてその目標の内容を検討し、修正要望を出すとともに、他部門との調整を図ります。
 ミドルはこのようにして決まった目標を担当部門に持ち帰り、部下に説明し、各人の目標を作らせます。部下の目標を1人ずつ確認し、合意を図ります。

 半期の終わりには、部下とともに部門目標の進捗状況を振り返り、トップに結果を報告し、並行して下期の目標設定を行います。下期の目標は、上期と同じようにトップに示され、修正、調整を経て各部門、そこに所属する社員の仕事へと落とし込まれます。

 こうして、年間目標を達成するための上期の業務活動が行われ、その結果に基づいて、下期の業務活動を決めていくのです。焦点は常にトップが掲げた全社目標であり、これを中心に一年を通して、ミドルが主体になって組織を挙げた取り組みを進めることができます。

 ミドルの目標管理の主な役割は、経営トップの目標と部下の目標をつなぎ、上下双方向でのベクトルを合わせることです。そのためミドルは忙しくなりますが、適切なツールと手法を習得すれば、非常にやりがいのある仕事となります。

 また、このような取り組みを行うことで、ミドルは部門目標達成のための重要な責任を果たし、経営目標を自分のこととして捉え、行動することができるようになるのです。
 担当組織や部下に対しても責任を果たすことができ、仕事は生産的なものとなり、成果をあげることができるようになるのです。

次回は、ミドルの目標の立て方について、さらに解説を進めたいと思います。

 連載の内容は、『原因×集中×結果の人材マネジメント方程式』(菊谷寛之著)に詳しく書かれています。興味を持たれた方は、当社のホームページからお申込み・ご購入ください。

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