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第21回 経営目標管理(1)基本戦略としてのマーケティングとイノベーション

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第21回 経営目標管理(1)基本戦略としてのマーケティングとイノベーション

前回は、事業の定義についての考え方を説明しました。
今回からはいよいよ、経営目標管理についての話を進めたいと思います。

経営目標管理(1) 基本戦略としてのマーケティングとイノベーション

(1)目標設定の順序

 経営目標の達成のためには、人材や設備、資金などの経営資源をどこにどのように集中させるかという具体的な意思決定と、その意思決定に基づく具体的な行動が求められます。

 事業の目的・ミッションはその最も基本的なガイドラインであり、目的地に対する地図のような役割を果たします。
 ただし、地図があれば必ず目的地にたどりつけるわけではありません。組織のメンバーが足並みを揃え、集中するためのより具体的な目標と戦略・方法が必要になります。

 企業の目標を考えるとき、一般的には生産や物流、販売、サービスなど事業の中心となる基幹業務の成果を示すものがあげられます。多くの企業が売上高や利益を主たる目標にするのはこのためです。

 しかし、売上高や利益は事業活動を行った後の結果に過ぎず、 それだけでは戦略を示すことができません。

 売上・利益の目標を設定し、その実現のための事業活動を構想する中から、売上・利益以外の目標を描くという方法は、一般的であり、一見するとロジカルに見えますが、実は順番を間違えているのです。

 これは、現在の事業でどうやってどれくらい稼ぐかを考えることはできますが、将来に向けた戦略に対する視点が欠けています。
 企業の目標は、現在の基幹業務の成果基準を示すだけのものではありません。現在の基幹業務について常に問い直し、将来への投資活動を行う必要があります。

 現在の事業を将来的にどうしていくのか、将来の事業をどのように組み立て、そこからどのような会社にするのかという目標の方がより重要です。このような考えに基づいて設定される目標こそ、基本戦略そのものです。
 売上高や利益はそこから導かれる結果ですので、この順番を間違ってはいけません。

(2) 基本戦略としてのマーケティング

 基本戦略としての目標を考えるときに、最も重要な焦点が2つあります。
 市場を見出し、新たな顧客を創造するマーケティングの目標と、社会のニーズを事業機会として捉え、新しい欲求の満足をもたらすイノベーションの目標です(ドラッカー)。

 それ以外の、人材開発や資金調達・設備・生産性・利益などの目標は、資源の投入・コストに関する目標もしくは結果としての利益目標です。これらは、マーケティングとイノベーションの目標に従属するものとして設定すべきです。

 マーケティングの目標はまず、自社の戦略と競争相手の戦力を見極めながら、どの市場に集中するか、そこでどのようなポジションを占めるかという意思決定を行うことが基本となります。

 市場は大きいが競合他社も多い中で有力企業とシェアを争うのか、小さな市場を掘り下げ、そこで揺るぎない強固な地位を築くのか、それとも新しい市場の創造に邁進するのか、どの方向を目指すのかによって注力する内容も変わってきます。

 次に自社の商品・サービスの強み・弱みを分析し、いかに市場に「置換」「浸透」させていくかを考えます。
 「置換」とは、例えば、かつて主流だったブラウン管テレビが液晶・プラズマディスプレイにとって代わられたように、新商品が強みを発揮し、既存の商品を市場から駆逐していくことです。

 「浸透」とは、従来にない新商品が、もともとあった潜在的なニーズを持つ層に浸透し、新しい市場を形成していくことです。例えば音楽を聴こうと思ったら、以前はレコードやCDなどの記録媒体を販売店で購入することが主流でした。

 しかし、今はインターネットや携帯電話から簡単にダウンロードすることができます。この流れは書籍や新聞、放送番組にまで広がってきています。ダウンロード市場は今後ますます大きくなっていくでしょう。

 自社のマーケティング戦略を考える場合、市場の魅力度と競合他社と比べた自社の強みという2つの尺度から自社の事業を位置づけ、基本戦略を考えていくのがわかりやすい方法です。

 最小の資源投入で最大の効果を得るためには、市場という外部の要因と自社の強みをいかに組み合わせればよいのか。このような戦略思考によって、どのような順序で進めれば長期的な競争優位に立てるのかを考えていくのです。

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(3) 基本戦略としてのイノベーション

 イノベーションの目標は、2つの観点から設定されます。
 1つはマーケティングの目標を達成するという観点から、どのような商品・サービス革新が必要かを見積もることです。

 もう1つは全く新しい行動の変化や新たな収益・成長のモデルを創造するという企業家的な観点から、必要な活動を見積もることです。

 前者は既存の商品・サービスの何割を新たなものに置き換えることができるか、新市場のどの部分に浸透できるかが尺度になります。後者は、外の世界、市場に対してどのような大きな変化、深い影響を及ぼすことができるかが尺度になります。

 企業におけるイノベーションとは、新しい知識や技術研究ではありませんし、天才的な発明、偶然の発見でもありません。
 これまでの研究や発明の成果として得た知識を商品・サービスに適用し、それにより市場・顧客にこれまでとは違った変化を起こそうとすることです。

 イノベーションを促進するには、行動を促す活動目標が必要になります。
 「ポストイット」で知られるアメリカのスリーエム社には、組織的なイノベーションを促す経営手法として「15パーセントルール」というものがあります。従業員が勤務時間の15%を通常の業務以外の活動にあてることを許可するものです。

 グーグルにも「20パーセント・タイム・ルール」というものがあり、これは週の4日間を自分の研究室で過ごし、5日目は外部の仕事にあてるという大学教授たちの行動様式を持ちこんだ例です。

 イノベーションを絵に描いた餅に終わらせないためには、事業の目的・ミッションに合わなくなったもの、顧客に満足を与えなくなったもの、業績に貢献しなくなったものは計画的に廃棄・中止することが重要です。

 そうしなければ、事業のエネルギーを正しい方向に集中することができず、いつか成果を生み出せなくなります。

 次回は、目標管理を進める際に必要な、客観的な経営目標の必要性について、考えを述べたいと思います。

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