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第17回 報酬システム(9)貢献度に応じた賞与配分

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第17回 報酬システム(9)貢献度に応じた賞与配分

 第16回では、賞与原資は会社の業績に連動させるべきであるという話をしました。
 今回は、賞与の個人配分についての考え方を述べます。

報酬システム(9) 貢献度に応じた賞与配分

(1)シンプルな配分方法

 前回述べた通り、賞与はいきなり基本給の何カ月分という決め方をするのではなく、まず会社全体の利益に応じて全体の賞与原資を決定します。
 賞与原資が決まったら、今度はそれを各個人へ貢献度に応じて配分するというように2段階で考えるとわかりやすいのです。

 賞与は本来、会社利益を社員へ配分するものですから、社員一人ひとりの「利益に対する貢献度」に応じてきれいに配分できれば言うことはありません。
 しかし、実際問題として、社員の利益に対する貢献度などはっきりと捉える事が出来るものなのでしょうか。結論をいえば、 利益額のうち○○円はAさん、○○円はBさんのものだと正確に判別することなど、まず不可能でしょう。

 たとえば営業職のAさんやBさんが「売上」に貢献したことは確かな事実であったとしても、二人を陰で支えている営業事務や管理部門の人たちもいるはずです。
 そもそも、受注した仕事をきちんとこなし、要求どおりに納品してくれる生産部門やサービス部門の力がなかったら、Aさん、Bさんの営業活動など行えなかったはずです。

 このように、会社の仕事はすべて組織的な連携プレーによって顧客の成果を実現するところに本質があり、特定の人の貢献を部分的に切り離してとらえることはできません。仮に、「一人ひとりの貢献度」を数理的に解明できる法則があったとしても、それはとても難解なもので、今度は社員の理解・納得を得ることが難しいでしょう。

 従って、賞与原資を社員同士で分けるためには、何か別のわかりやすいロジックが必要になります。
 そこで私たちが推奨しているのが、等級別・成績別の「配分点数表」を使う方法です。

 この配分点数表は、縦軸は半年間の「成績(SABCD)」、横軸は役割責任に応じた「等級」のマトリックス型なっており、各マスには「貢献の度合いを表す点数」を記入します。

 例えば、Ⅰ等級のB評価を100点と決めます。Ⅱ等級のB評価は130点、Ⅲ等級のB評価は170点というように等級に比例して配分点を増やしていきます。これは、組織における役割責任段階(等級)が高い人ほど、貢献度が大きいはずであるという考えに基づいています。

 次に、同じⅢ等級でもS評価は320点、A評価は230点、B評価は170点、C評価は130点、D評価は100点というように、評価ランクに応じて大きなメリハリをつけます。これは同じ役割責任段階の仕事をしていても、成績の違いによる貢献度の差は大きいはずであるという考えに基づいています。

 また、等級が一段階下であっても、A評価をとれば上位等級のB評価と同じ点数とし、同じ貢献度とみなします。Ⅲ等級のB評価が170点だとすると、Ⅱ等級のA評価も170点になります。
 逆に等級が一段階上であっても、C評価をとれば下位等級のB評価と同じ点数とし、同じ貢献度とみなします。Ⅲ等級のB評価が170点であれば、Ⅳ等級のC評価も170点になります。

 これは、単純に役割責任だけで貢献度を規定するのではなく、成績次第で、上位等級並みの貢献度とみなす場合もあれば、下位等級並みの貢献度とみなす場合もあるということを表しています。これにより、等級の違いを越えて競い合う賞与配分を可能としています。

 ところで上の説明は、A評価は上位等級のB評価と同じ貢献度(=同じ点数)としましたが、それがやや行き過ぎと感じられるのであれば、S評価が上位等級のB評価と同じにする方法もあります。Ⅲ等級のB評価が170点の場合、Ⅱ等級のS評価が170点となります。

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(2)具体的な賞与額の算定方法

 実際にこの配分点数表を使うと、以下のようになります。

 例えば、対象人数が100人の会社で、半期の賞与原資を会社利益に応じて算出したところ、6,800万円だったとします。つまり、一人平均68万円の賞与原資が用意できたことになります。

 配分点数表を使い、Pさんは230点、Qさんは170点、Rさんは130点というように各個人ごとに等級と成績に応じた点数を出します。この点数の全員分の合計が、ここでは17,000点になったとしましょう。

 1点あたりの単価は賞与原資を合計点で割って算出します。つまり6,800万円÷17,000点=4,000円となります。
 この1点単価4,000円を、今度は各個人の配分点数に掛けあわせ、一人ひとりの配分額が計算されます。Pさんは230点×4,000円=92万円、Qさんは170点×4,000円=68万円となります。

 こうやって算出した金額に、各人の勤怠を反映させる「出勤係数」を掛けて欠勤控除を行い、実際の支給額が決まります。もし賞与対象期間の欠勤がゼロであれば、満額が支給されます。

 今回の例で用いた配分点数は私たちが「標準型」と呼んでいるもので、多くのお客様に実際にご利用いただいています。

 しかし、配分点数表の作り方によっては、もっと配分格差を大きく広げたり、逆に配分格差を縮小したりということも可能です。会社ごとにこれまでの支給実態を考慮しながら、任意に設計できるようになっています。

 このように、配分点数表を使うことで、各人の評価対象期間における貢献度に応じたわかりやすい賞与額を決定できるようになります。これまでのように、基本給の高い人が無条件に賞与も高くなったり、基本給の低い人が無条件に賞与を抑えられたりする現象はなくなります。

 役割責任と評価によって賞与が決まり、頑張れば上位等級の人に追い付き、追い越すことができる半面、油断すると下位等級の人にも追い付かれ、追い越される可能性がある制度ですので、全ての社員にやる気と緊張感を持って仕事に取り組んでもらえるようになると考えています。

 次回は、9回に渡って連載してきました「報酬システム」のまとめとして、よりよい報酬システムの必要性についての考えを述べたいと思います。

 連載の内容は、『原因×集中×結果の人材マネジメント方程式』(菊谷寛之著)に詳しく書かれています。興味を持たれた方は、当社のホームページからお申込み・ご購入ください。

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