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その他の休暇ー2ー

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その他の休暇ー2ー

著者・米田徹氏のプロフィールはこちら

賢い会社の就業規則・人事規程作成のポイント(24)

Q

妊産婦の休暇として、まず「産前・産後休業」がありますね。就業規則に規定する上でのポイントを教えてください。

A

労基法65条1項には、「使用者は、6週間(多事妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。」と規定されています。
また同条2項には「使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。

 ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、 その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。」としています。

Q

要するに、産前6週間は本人が請求すれば会社は休暇を与える必要がある。
一方、産後の6週間は請求の有無に係らず働かせることはできない。
さらに産後6週間を経過し本人が希望した場合は、医師が支障がないと認めた業務なら就かせても問題ないという理解でよろしいでしょうか?

A

はい、そういう解釈になりますね。

 休暇は就業規則の絶対的必要記載事項ですから労基法の以上の内容を「産前産後の休暇」として就業規則にも記載しておく必要があるわけです。
 なお、例えば母性保護の観点から会社の就業規則では「産後8週間を経過するまで就業させない。」と規定しても結構です。

Q

産後休業が終わると子が1歳になるまで子育てのために育児休業を取る女性社員が多いですね。育児休業についてはどのように規定すればよいのでしょうか。

A

産前産後休業は妊娠・出産する女性の休暇ですが、育児休業については女性だけとは限りません。

 最近では国も男性の育児休業取得促進のためにいろいろな施策を行っています。
 例えば、平成22年6月30日に施行された「改正育児介護休業法」では父母ともに育児休業を取得する場合は子が1歳2ヶ月になるまで取得可能な「パパママ育休プラス特例」といった規定が盛り込まれています。

 育児・介護に関する休業については手続等を含めると多岐に渡り相当数の条項になります。
 従って就業規則の本則の中ですべてを記載するのではなく、本則では簡単に要旨だけを記載して、委任規定を設けて別に定めるほうが良いと思います。

(就業規則での委任規定例)
....育児休業及び介護休業の適用を受けることができる従業員の範囲、賃金その他必要な事項については、「育児・介護休業規程」の定めるところによる。

 このように委任規定にすることで就業規則の本則がスリムになり読みやすいものになると思います。
 なお、「育児・介護休業規程」を作成する場合ですが、国の育児・介護休業法の法改正などにも追従して正確な規定を作成するのは我々社労士でも簡単なことではありません。そこで厚生労働省が「育児介護休業等に関する規則」の例を公開しているので、そういうものを参考にすると良いでしょう。

 特に中堅・中小企業で「育児・介護休業規程」を定める場合には厚生労働省の規定例「簡易版」は条項の数も抑えられているので分かりやすくお勧めできます。
 ただし、そのまま丸写しに利用するのではなく、内容を精査して必要なら自社に合った内容にカスタマイズしてください。

Q

厚労省のモデル規定はインターネットでもダウンロードができるようなので検討してみます。さて、休暇の最後に「慶弔休暇」について教えていただけますか?

A

「慶弔休暇」は「特別休暇」と言ったりすることも多いと思いますが、どちらにしてもこれらの休暇は前回説明した法律で定められた休暇の中には入っていません。

 つまり、使用者は年次有給休暇を付与する義務はありますが、このような慶弔を理由とした休暇を別途付与する義務はないというわけなのです。

 しかし、多くの会社では長期雇用を前提においた正規社員に対しては慶弔事由が生じた場合には休暇を付与する例が一般的だと思います。

 慶弔事由としては、(1)本人の結婚、(2)子の結婚、(3)妻の出産、(4)父母、配偶者及び子の死亡、(5)祖父母及び配偶者の父母並びに兄弟姉妹の死亡、等が考えられます。それぞれ、何日くらい与えるのが適当かは個々の企業の裁量で決めることになります。

 その際、特別休暇中に休日が含まれる場合の扱いに注意すべきでしょう。
 原則としては、会社の休日も特別休暇の日数に含めると考えられますが、休日とは別に労働日を単位に与える場合もあります。

 休日も含める場合には、トラブルを防ぐため「特別休暇は暦日で計算し、日数には会社休日を含めるものとする。」といった規定を入れて明確にしてください。
 一方、休日は別カウントとする場合は、特別休暇は「○○労働日」与えるというような記載にすると誤解を生じることがなくよいと思います。

Q

慶弔事由として「本人が結婚するとき 5労働日」与えるといった規定をした場合なのですが、最近では入籍と結婚式、新婚旅行の時期は同一でない場合がよくあるようです。
1年以上前に入籍した社員が新婚旅行に行くので結婚休暇をくださいといわれて、困惑したケースがあります。

A

そうですね、そんな通常の常識を超えた時期に請求されては会社の負担が大きすぎると思います。

 例えば、規定では「入籍後6ヶ月以内に取得するものとする。」といった但し書きを入れる等、運用ルールを明確にしておくべきでしょう。

 また、慶弔事由による休暇は「特別休暇」とも呼ばれるため、当然「有給」扱いと思っている方も多いでしょうが、特に中小零細企業の場合などは「慶弔休暇(または特別休暇)」を無給としている例も結構多いと思います。
 これも会社の裁量で決めるべきことですが、日数が少ないこと、また人生の中でそれほど頻繁にあることではないと思われますので、導入する以上はできたら「有給」としてあげるのが良いと私は考えています。

 それでは、次回から、「給与」についての規定を検討しましょう。

今回のポイント

  • 妊娠した女性には労基法に基づき産前産後の休暇を与えなければならない。
  • 1歳(原則)未満の子を養育する従業員、または要介護状態にある家族を介護する従業員のために育児・介護休業を与えなければならない。(育児・介護休業法)
  • 育児・介護休業に関する規定は多岐に渡るので、委任規定を設け就業規則の本則とは別に規定するとよい。
  • 「慶弔休暇(又は特別休暇)」は法律で定めることを義務付けられた休暇ではないので定める場合の内容や期間は会社の裁量で決めればよい。

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