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賢い会社の就業規則・人事規程作成のポイント(16)

Q

労働時間(始業、終業時刻など)と同様に「休日」についても就業規則で必ず定めなければならない事項ですね。休日を定める際のポイントを教えてください。

A

休日も就業規則に必ず定めなければならない「絶対的必要記載事項」です。

 休日は労働契約上、「労働者が労務提供義務を負わない日」ということになります。
 労基法では、使用者は労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日(例外として4週に4日以上の休日)を与えなければならないと定めています。

 また休日は暦日、つまり午前0時から午後12時までのものと されていますので、単に連続した24時間の休みを与えただけでは足りません。

 法律でいう毎週一回の休日とは「法定休日」のことを指します。
 実際には、週に1日ではなく、2日程度の休日が設けられている会社が多いと思いますが、法定休日を上回る休日は「所定休日」と呼びます。

 法律上は週に1回の休日があればよいわけなのですが、週の所定労働時間は1週40時間以内にしなければならないという労働時間からくる規制(労基法)があるので、実際には1週に2日程度の休日の定めが必要になるのです。

規定例 - (休日)
第×条 会社の休日は次のとおりにする。
1)土曜日
2)日曜日
3)国民の祝日に関する法律に定められた休日
4)年末年始(12月29日から翌年1月3日まで)
5)その他会社が指定する日

Q

なるほど。それで、法定休日と法定外休日(所定休日)と分けて言ったりするのですね。当社では日曜日を法定休日にしていると聞いた覚えがあります。

A

法定休日と所定休日(法定外休日)は特に区別しない会社もありますが、区別する必要がある場合があります。

 例えば、法定休日に労働をさせる場合と法定外休日に労働させる場合で、割増賃金の計算に違いがある会社の場合です。

 もし貴社の就業規則で、「法定休日は毎週日曜日とする。」といった規定がされている場合、日曜日に出勤した場合には3割5分の割増賃金が支払われる必要がありますが、土曜日に出勤した場合には(会社の定めによりますが)2割5分の割増賃金しか支払われていないのではないでしょうか。

 3割5分の割増賃金の支払いが必要なのは法定休日で、所定休日の場合に2割5分の割増賃金しか支払われなくても法的にはそれで特に問題はありません。
 ただ土曜日と日曜日がどちらも休日の場合、日曜日の労働だけより高い割増賃金が支払われると労働者から不公平という不満がでるかもしれません。

 その場合、私がお勧めするのは「法定休日」をどの休日にするのかは就業規則上特定しないということです。
 実務上はそれで問題ありませんので「法定休日」については就業規則では特に触れないか(この場合は、例えば1週間フルに出勤した場合は最後の休日が法定休日になる)、又は、休日の定めに続けて次のように記載すればよいと思います。

× 前項の休日のうち、法定休日を上回る休日は所定休日とする。

 なお、法定休日を日曜日等に特定したほうが給与計算が単純になるといったメリットも考えられます。

 また例えば、会社が労働者に日曜日の出勤を命じるのは土曜日よりも難しいので日曜日の勤務の方を割増にしたいといった事情も考えられますので、会社の実態に応じて検討し決めてください。

Q

ところで通常の会社では土、日を休日にしている場合が多いですが、サービス業、飲食業など土、日が書き入れ時で出勤日という業務も多々あると思います。
 その場合、休日は週の特定の別の曜日に固定的に定めるべきでしょうか?

A

曜日を特定し固定されるのが週休制の本来の姿ですから、行政通達などでも就業規則では休日をできるだけ特定して定めるよう指導方針がだされています(例えば「休日は毎週日曜日と水曜日」、等)。

 但し、休日は日曜日でなければならないとか、国民の祝祭日は休日にすべきといったことはありません。
 法はあくまで、毎週少なくとも1回の休日(例外として4週に4日)を与えなければならないと定めているだけです。

Q

1ヶ月単位とか1年単位とか変形労働時間制を定めている会社も多いと思います。
 その場合の休日ですが、就業規則では「休日は労使協定等の定めによる。」とだけ記載されている場合がありますが、それで問題ありませんか?

A

休日は、就業規則の絶対的必要記載事項ですが、変形労働時間制によって異なる休日が定められている場合には、「休日はそれぞれの規定や労使協定等で定める。」とすることで特段問題はありません。

Q

パートタイマーの休日の定めについては何か留意点がありますか?

A

毎週少なくとも1回の休日が定められていれば特に問題はありません。

 これは労働時間の長短には関係ないので、例えば毎日1時間しか働かない労働者でも週に1回は休日を設ける必要があります。
 また、就労は週に4日と決めて働いているような場合、残りの3日は労働義務のない日ということになるので、それ以上に休日を設ける必要はありません。

Q

「休日」とは別に「休暇」という言葉がありますが、「休日」と「休暇」はどのように違うのでしょうか?

A

「休暇(および休業)」については必ずしも厳密な定義があるわけではありません。

 「休日」とは違い、一般的には特定の事由の発生があって労働者が請求することによって労働義務が免除される日を「休暇(休業)」と呼んで区別します。

 法定されている休暇としては、「年次有給休暇」「産前産後休暇」「育児休業」「介護休業」「生理休暇」等があります。

 これらについては全て就業規則に定める必要があります。「年次有給休暇」を除いては有給である必要はありませんが、「年次有給休暇」については賃金の算定方法も記載する必要があります。
 休暇については、別途解説したいと思います。

 次回は、「変形労働時間制」について検討します。

今回のポイント

  • 休日は労働契約上、「労働者が労務提供義務を負わない日」で、毎週少なくとも1回(例外として4週に4日)の休日を与えなければならない。
  • これを法定休日と呼び、法定休日を上回る休日を所定休日と呼ぶ。
  • 法定休日に労働させた場合は3割5分増しの割増賃金の支払いが必要になる。
  • 「法定休日」は就業規則では特に触れない、又は「法定休日を上回る休日は所定休日とする。」といった簡便な記載に留めることでよい。
  • 「休暇」は特定の事由の発生で労働者が請求して取得する点で「休日」と異なる。

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