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始業・終業、休憩時間

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始業・終業、休憩時間

 著者・米田徹氏のプロフィールはこちら

賢い会社の就業規則・人事規程作成のポイント(15)

Q

就業規則には始業・就業時刻と休憩時間については必ず定めなければならない事項とのことでした。

A

以前(第3回 『就業規則への記載事項』)ご説明したとおり、これらは就業規則の「絶対的必要記載事項」ですから、どんな就業規則にも必ず記載があるはずです。

規定例 - (始業・終業時刻及び休憩時間)
第×条 始業・終業時刻及び休憩時間は次のとおりとする。
始業時刻 8時30分  終業時刻 17時30分  休憩時間 12時から13時

Q

当社の就業規則にも定めがあります。ところで、同じ事業場の中でも従業員によっては始業、終業の時刻は異なる場合があります。例えば、異なる交替勤務(シフト)などがある場合にはどのように記載したら よいのでしょうか。

A

同一事業場内で従業員の勤務態様や職種によって始業・終業時刻や休憩時間が異なる場合にも、就業規則にはできるだけ具体的に記載する必要があります。

 例えば、シフト制の勤務をとる場合には、「始業、終業時刻は別途シフト表による」という規定だけでは不十分だと考えます。
 シフト毎の始業・終業時刻や休憩時間を明確にすること、シフトの組合せ方法や従業員への周知方法などについてもできるだけ就業規則に明記しておくのが望ましいと思います。

Q

交替勤務の場合の始業・就業時刻などについてもできるだけその内容を就業規則に明確に書くべきということですね。
 次にパートタイマーの場合なのですが、本人の希望も含めて始業・終業時刻を個別に決めるようなケースもあります。就業規則に固定的に始業・終業時刻を設定するのが困難な場合があると思うのですがその場合はどうしたら良いでしょうか?

A

そのような場合には就業規則には原則的な始業・終業時刻を定めることとし、パート個々人について原則の時刻と異なる場合には、個別の労働契約等で定めるといった規定を設ければ問題ありません。

第×条 パートタイマーの始業時刻と終業時刻は午前9時から午後5時までの間で本人との話し合いの上で決定し、個別の労働契約書に記載する。

Q

分かりました。さて次に、労働者の派遣を行なっている事業所の場合には、派遣先によって始業・終業時刻や休憩時刻が異なると思います。
そのような事業所(派遣元)の就業規則ではどのように定めたらよいでしょうか?

A

派遣労働者の場合、雇用関係のある派遣元の事業所に就業規則を作成する義務があります。

 しかし、派遣中は業務の指揮命令権は派遣先にあるので、始業・終業時刻や休憩時間も当然、派遣先事業所に合わせて労働することになると思います。

 したがって、派遣労働者については派遣元の就業規則では、例えば、「派遣労働者の始業・終業時刻、休憩時間は、原則として派遣先事業所による。」等と規定し、具体的な時刻や時間は個別に書面等で本人に通知するようにすれば問題ありません。

Q

派遣労働者の場合は派遣先事業所にあわせ個別に通知すればいいわけですね。その他、始業・就業時刻を規定する上で注意することがあったら教えてください。

A

前回の服務規律でも説明しましたが、「始業時刻・終業時刻」の意味付けを明確にして運用しましょう。

 始業時刻は「実作業を開始する時刻」で、終業時刻は「実作業を終了する時刻」と定義すべきです。単にタイムカードを打刻する時刻ではない旨をきちんと就業規則に定義して従業員にも周知・徹底させるべきです。

 ところで、交通ストや昨年あった計画停電、また会社の業務の都合で通常の始業時刻・終業時刻をやむを得ず変更しなければならない場合があります。

 そのような場合には、一日の所定労働時間数は変えることなく、「会社は業務上の必要がある場合には始業、終業時刻及び休憩時間の変更を命じることがある。」との規定を置いて、労働時間の開始・終了の変更権限が会社にあることを明確に規定しておくとよいでしょう。

Q

次に休憩時間なのですが、そもそも休憩時間というのは法的にはどのような定めになっているのでしょうか?

A

休憩時間とは、労働者は会社に拘束されている時間ではありますが労働から解放されている時間、つまり「社員が自由に利用することができる時間」をいいます。

 したがって、いわゆる「手待ち時間」のように作業に従事していなくても、いつ何時、労務の要請があるかわからないような状態は、休憩時間とは認められないということになります。

 労働時間が6時間以内なら休憩時間を設定する必要はありませんが、6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないとされています(労基法34条1項)。

 途中に与えるわけですから始業前、終業後に与えても要件を満たしません。なお、分割して付与することも可能なので昼食休憩を45分、午後3時から15分の休憩で合計1時間といった設定も可能です。

 それから例えば1日の所定労働時間が7時間30分の場合は途中に45分の休憩を与えればよいわけですが、労働者がその後に1時間残業するといった場合には合計8時間30分になりますので残業時間の途中に少なくとも15分の休憩が必要になります。

 今述べたのは最低限必要な休憩時間の定めですので、これより長い休憩時間を設定してもかまいません。所定労働時間が8時間以内であれば45分の休憩で足りますが、例えば昼食休憩など1時間としている会社が多いと思います。

Q

休憩時間をもっとずっと長く設定するようなことは可能ですか?

A

小売業など一日の業務に繁閑のある企業の場合はそういう設定をしたいという場合も考えられますね。

 例えば労働時間8時間、休憩時間2時間といった労働契約を結んでも法律上は問題ないと考えられます。
 ただし、その場合、一日の拘束時間もそれだけ長くなるわけですから度を越した長時間の休憩(例えば4時間を超える休憩等)を設定するのは公序良俗に違反する可能性があると思います。

 労基法ではさらに、休憩時間は一斉に与えなければならない(労基法34条2項)とし、また休憩時間は労働者が労働から解放され自由に利用できるようになっている必要(同3項)があります。

Q

休憩時間の設定ですが、業種によっては接客の関係などもあって業務は継続しなければならず、したがって休憩は交替でとらざるを得ない場合があると思います。

A

休憩は一斉に与えることが原則になります(労基法34条2項)。

 しかし、実際にはサービス業が中心の現代では多くの企業では事業場全体で一斉休憩をとるのは困難だと思います。
 これについては農漁業や種々のサービス業など適用除外が認められていて、そのような事業場の場合には一斉休憩の原則は適用されません(製造業等の場合は労使協定を締結すれば一斉休憩の例外が適用可)。

 一斉休憩が困難な場合には例えば労働者を班等に分けて交代制をとることが可能です。
 例えば昼食時の休憩については以下のような定めをすることが可能です。

規定例 -(休憩)
第×条 休憩は班別によるものとし、各班の休憩時間は、次に定めるとおりとする。 A班:午前11時30分~午後0時30分
B班:午後0時00分~午後1時00分
C班:午後0時30分~午後1時30分

 次回は、「休日」について検討しましょう。

今回のポイント

  • 始業・就業時刻と休憩時間については就業規則の「絶対的必要記載事項」なので必ず記載する。
  • シフト制の勤務をとる場合にもシフト毎の始業・終業時刻や休憩時間を明確にすると共に、シフトの組合せ方法や従業員への周知方法などについてもできるだけ明記する。
  • 個々のパートタイマーとの契約で、原則の始業・終業時刻と異なる場合には、個別の労働契約等で定めるといった規定をすることで問題ない。
  • 派遣労働者の場合、派遣元の就業規則では「始業・終業時刻、休憩時間は、原則として派遣先事業所による。」等と規定する。
  • 休憩時間は労働時間が6時間を超える場合には45分以上、8時間を超える場合には1時間以上、労働時間の途中に与えなければならない。
  • 休憩は一斉に与えることが原則だが、一斉休憩が困難な事業場の場合には交代制をとることができる。

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