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服務規律ー2ー

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服務規律ー2ー

著者・米田徹氏のプロフィールはこちら

賢い会社の就業規則・人事規程作成のポイント(14)

Q

遅刻・早退・欠勤も「服務規律」の中に書かれている場合が多いですね。どんな点に注意が必要でしょうか?

A

就労のルールに関する事項として「遅刻・早退・欠勤」について定めるのは企業の職場秩序維持のためにも欠かせないと思います。言うまでも無く、「遅刻」は、決められた始業時刻に遅れて出社することで、本来、始業開始時刻から開始すべき労務提供の一部が履行 できないことになります。

 同様に「早退」は終業時刻より前に退社することですから、本来なら終業時刻までなされるべき労務提供の一部がなされません。

 また、就業時間中の「私用外出」や「(私的な)面会」も労務が提供されない時間という意味では同じです。
 労働者は労働契約に基づいて労務提供義務があるわけですが、この義務が履行できない場合には使用者に「労働の免除」を求めることが必要になります。
 すなわち「事前の承認・許可」を得るという手順を踏むことが求められるということです。

 遅刻・早退・私用外出及び欠勤の場合、単に労働者の「事前の届出」だけを手続き要件として記載している就業規則を見かけますが、会社の「承認または許可」を事前に得ることが必要である旨を明記するようにしましょう。

Q

「遅刻」や「欠勤」の場合には、事前の許可を得ることが難しい場合もあると思いますが、その点はいかがでしょうか?

A

急な病気や体調不良の場合等ですね。また、交通機関の事故・延滞等本人の責任が及ばない理由の遅刻もあるでしょう。

 そのようなやむを得ないケースも考慮して、あくまで事前の届出・承認を原則としつつ、「遅刻」「欠勤」については、事後のすみやかな届出とこれに対する承認によることも認めるように規定しましょう。
 ただし、「早退」「私用外出」また「面会」については既に会社に出勤しているわけですので、そのような例外は必要ないと思います。

規定例 - (遅刻・欠勤・早退等)
第×条 従業員が、遅刻、早退若しくは欠勤をし、又は勤務中に私用で外出するときは、事前に申し出て許可を受けなければならない。ただし、「遅刻」「欠勤」についてやむを得ない理由で事前に申し出ることができなかった場合は、事後すみやかに届け出て承認を得なければならない。

Q

欠勤が連続する場合、医師の診断書を提出させるのですが、通常は何日程度の連続欠勤が続いた場合と規定したら良いでしょうか?

A

健康保険の傷病手当金支給の待期期間は3日ですから「4日以上」とするのが一般的のようです。

 ただし例えば「連続7日以上欠勤する場合」というように規定してしまうと精神疾患のように断続的な欠勤、遅刻、また早退を繰り返す場合には適用が難しくなってしまいます。
 「傷病により欠勤をする場合、会社はその日数にかかわらず医師の診断書等の提出を求めることがある。」と弾力的な運用ができるように規定すると良いでしょう。

Q

「出勤」「退勤」について、服務規律で何か定めをする事項がありますか?

A

服務規律の章に「出勤」や「退勤」についての心得を規定している場合があると思います。

 就業規則には必ず、始業時刻と終了時刻が定められていなければなりませんが(就業規則の「絶対的必要記載事項」)、始業時刻とは1)会社事務所に着いた時刻なのか、2)タイムカードを打刻した時刻なのか、3)実際に作業場で机等に座った時刻なのか、といった問題が生じると思います。

 労働時間の起算点は業務を開始した時点と捉えるのが妥当でしょうから、始業時刻には業務が開始できるように始業時刻前に出勤しなければならない旨を明確に規定しておきましょう。
 これは、退勤の際も同様で終業時刻までは業務を行わなければなりません。

規定例 - (出勤・退勤)
第×条 従業員は、始業時刻前に出勤し、始業時刻には業務を開始し、終業時刻まで業務を行なわなければならない。

 正しい出退勤や遅刻・欠勤に関する遵守事項は社内の職場秩序維持の基本ですね。
 就業規則の定めと同時に新入社員教育などで新人の時から徹底して指導するのがよいでしょう。
 鉄は熱いうちに打つことが大事です。

Q

よくわかりました。さて服務規律という点では、最近、私用メールや業務外のインターネット閲覧をする社員をよく見かけて気になるので、何か定めをしたいのですが?

A

会社内での私用メールは情報漏洩や企業の信用毀損の恐れがあるので、就業規則で禁止することが可能です。パソコンだけでなく業務用携帯電話も便利なツールなので私的な使用が懸念されますね。

規定例 - (パソコン・携帯電話の私用利用禁止)
従業員は、会社のパソコン及び業務用携帯電話を悪用し、又は私事に利用してはならない。

 私的な利用に関しては全面的に禁止するのか、又は業務に支障のない範囲で一部の利用を認めるのかを検討してください。
 そして、「会社は必要がある場合、理由を明示の上で社員の電子メールの内容、相手先の検査などを行なう場合がある。」といった規定も入れておくようにしましょう。

 実際にはプライバシーの問題があるので検査の運用には注意が必要になりますが、無制限な私的利用に対する抑止効果は高まると考えます。

 次回からは、「労働時間、休憩また休日」について検討しましょう。

今回のポイント

  • 遅刻・早退・私用外出及び欠勤等をする場合、単に事前の届出だけでなく、必ず、会社の事前の承認または許可を得る必要があることを明記する。
  • 「遅刻」「欠勤」については事前の届出・承認を原則としつつ、やむを得ない事情があった場合は事後のすみやかな届出と承認を得るようにする。
  • 精神疾患の場合等を考慮し、傷病により欠勤をする場合、欠勤日数にかかわらず医師の診断書等の提出を求めることができるように規定する。
  • 始業時刻には業務を開始し、終業時刻までは業務を行わなければならない旨を明記する。
  • 会社のパソコン・携帯電話の私用利用禁止を服務規律に定めておく。

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