賃金制度改定のトレンドが知りたい

賃金制度Q&A-ケース別処遇のポイント(2)
Q
賃金制度はなぜ必要なのですか?
A
社員に安心感とヤル気を与え、会社の賃金実務のためにも必要
ポイント⇒安定成長期までは年功給や年齢給+職能給型の併存型賃金が普及。
バブル崩壊後は限られた賃金原資を有効に配分する成果主義賃金がブームになったが、行き過ぎには批判も。
現在は日本的な継続雇用の良さを活かし、役割・貢献度を緩やかに反映させる実力型の範囲給が広がっている。
日本の賃金制度は、企業内で人材を育成する長期継続雇用の枠組みの中で、(1)社員の生活を支える年功給、(2)経験・熟練度を反映させる職能給、(3)仕事の役割責任・貢献度に応じた職務・役割給へと時代を追って 変遷しています。
まず高度経済成長期(1955~72年頃)に労働組合が春闘方式で賃金交渉力を発揮し、男性世帯主の生活給を重視した年功給が確立されました。
この時期は、年齢給や勤続給、評価のない一律昇給やベースアップが広がり、家族・住宅手当などの生活補助手当も普及しました。
安定成長期(73~91年)に入ると、仕事の専門化・ホワイトカラー化が進み、品質管理や改善活動、社員の能力開発が盛んになりました。
ベースアップの比重が低下し、定期昇給の中身が問われる中で、年齢給・勤続給を基本としつつ、属人的な資格制度に基づいて経験・熟練度合を評価し、昇給額に差をつける職能給を併用する方式が大手企業に広がり、やがて中堅・中小企業にも波及しました。
ただバブル景気(86~91年)の間に、職能給は役職・資格の乱発による人件費の水膨れを招く原因にもなりました。
その後バブル崩壊(1992年)そして経済のグローバル化に伴い、94年頃から物価や賃金水準が緩やかに下がるデフレが現在まで進行中です。
90年代前半には管理職層の高賃金を是正するねらいから、年俸制が盛んに導入されました。
一般社員についても、限られた昇給原資を有効に配分してヤル気に結びつけようと成果主義賃金がブームになりました。
定期昇給や昇格昇給で積み上がる一方の職能給に代えて、職務等級や役職ポストの高さ、目標達成度による業績評価※あるいはコンピテンシー評価※などに連動して金額を都度リセットする(減給もある)洗い替え型の成果給や業績給が盛んに導入されるようになりました。
ただ短期的な業績を重視する成果主義には、経済的動機に偏りすぎるとか、個人を孤立させ、経営が近視眼的になりマイナスであるという強い批判もあります。
最近では組織学習による信頼関係や全体最適の重要性が再認識され、企業理念を重視するバリュー評価を取り入れたり、緻密な業績評価を回避したりする工夫が行われています。
賃金制度についても、日本的な継続雇用のよさを活かしながら、役割・貢献度を緩やかに反映できる実力型の範囲給(役割給)が広がっています。
※ひとくちメモ
目標達成度による業績評価・・・個人に具体的な目標を持たせ、その達成度で業績を評価する手法。目標に集中する半面、そもそも目標設定が難しいとか、ハイレベルな仕事や組織の連携が必要な仕事、時間のかかる仕事が軽視されるという批判もある。
コンピテンシー評価・・・安定して高い業績を発揮するハイパフォーマーの思考・行動特性を職種別に洗い出し、社員の行動レベルの高さを評価する手法。ただ評価基準の作成や具体的な運用には高度なスキルが必要とされる。
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