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Unit 1: 人事管理の役割と課題-駆け出しコンサルタントの学習成長ブログ(人事管理・労働経済編)

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Unit 1: 人事管理の役割と課題-駆け出しコンサルタントの学習成長ブログ(人事管理・労働経済編)
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みなさんこんにちは。人事コンサルタント(社会保険労務士・中小企業診断士)の古川賢治です。

 今回から私が、新シリーズ「駆け出し人事コンサルタントの学習・成長ブログ~人事管理・労働経済のキホンを学ぶ~」をお届けしていきます。その名の通り、今シリーズのテーマは、2017年1月から人事コンサルタントとしての道を歩み始めた私の「体験や学びをお伝えすること」です。

 私がプライムコンサルタントに入社して1年が経過し、その間に様々な素晴らしい体験や学びがありました。その中でも、OFF-JTの一貫として参加した「東京労働大学講座※」(2017年4月4日~7月13日)で得た学びについて、取り上げます。

 約3か月間、おおむね週2回のペースで、東京大学本郷キャンパスに通い続け、人事・労働分野の第一人者である講師陣から講義を受けました。こうして得た私の学びを、分かりやすく皆様に共有していきたいという思いから、本連載は、教授と生徒などの登場人物のやり取りを主にした、会話形式で連載を進めていきたいと思います。

※東京労働大学講座は、独立行政法人労働政策研究・研修機構が毎年度開催している、労働問題に関する知識の普及や理解の促進を目的とした講座です。今年度で66回目を数え、これまでの修了者は27,000人を超える歴史と伝統を誇る講座です(2018年1月時点)。

人事管理の役割

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今回は「人事管理の役割と課題」について学習します。突然ですが、人事管理の役割とは何だと思いますか?

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教授、いきなり難しい質問ですね。それは、人材の適正配置を実現することじゃないでしょうか?

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いま挙げてくれたことは、人事管理の役割を実現するうえで欠かせない取り組みの一つで、大切なことです。しかし、企業経営という観点からみると、人事管理の役割には大きく次の2つがあると考えます。それは、①仕事と人のベストマッチングを行い続けること、②人のやる気と能力を引き出すことです。

仕事と人のベストマッチングを行い続ける

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仕事と人のベストマッチングを行うためには、企業は具体的に何をすればよいのでしょうか?

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まず、企業が展開する事業にあわせて、組織の中にどのような仕事が必要なのかを把握します(仕事の洗い出し)。次に、それぞれの仕事にどのような能力が必要なのかを把握します。以上のように仕事と能力の関係を整理したら、それに基づいて、必要な能力を持った人、またはその能力を育成可能な人を採用・配置します。

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なるほど。その後の「行い続ける」とはどういう意味でしょうか?

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「行い続ける」とは、仕事と人のベストマッチングは一回限りではないという意味です。ある仕事が5年後も全く同じ形で存在している可能性は低く、仕事の洗い出しや仕事に必要な能力の整理を通じて、常に組織の中の仕事を見直さなければなりません。ところで、人事管理の出発点は「人」か「仕事」か。どちらから先に考えるべきだと思いますか?

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いろいろな考え方があるのでしょうが、「企業は人なり」とも言いますし、やはり「人」から先に考えるべきだと思います。

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確かに、そのような言葉もありますね。しかし、人事管理で最初に考えるべきことは、「仕事」です。まず、仕事ありきなのです。企業内で仕事があって初めて人を雇う必要性が出てくるのですから、やはり最初に考えるべきは仕事なのです。したがって、仕事と人のベストマッチングを行ううえでも、「仕事の洗い出し→それぞれの仕事に必要な能力の把握→必要な人材の採用・配置」という流れになるのです。

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よく理解できました。人を採用したり配置したりする前に、まずは仕事をしっかりと把握することが重要なのですね。

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そうです。特に最近では、業種業態を問わず環境変化が激しくなっているので、新たな雇用の創出や既存の雇用の喪失が頻繁に起きています。このような変化に対応するためにも、企業内での仕事の洗い出しが重要です。

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最近、国内3メガバンクがAI等のデジタル技術による効率化などで、単純合算3万2千人分に上る業務量を削減予定だとの報道を見ました。これも仕事の洗い出しを通じたものなのでしょうね。

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その中のあるメガバンクは、業務削減を通じて発生した余剰人員は他の部門に回すなど、単純作業から創造的な業務にシフトし、生産性を高めていく構想を持っているようです。まさに、仕事と人のベストマッチングを行い続けている結果と言えるでしょう。

人のやる気と能力を引き出す

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人と仕事のベストマッチングを行い続けるだけが、人事管理の役割ではありません。もう一つの大きな役割は、人のやる気と能力を引き出すことです。必要な能力がある人が仕事に配置されたからといっても、その能力を発揮しようという意欲が低ければ仕事の質も低くなってしまうからです。

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それでは、たとえ同じ職業能力を持っている人が2人いたとしても、意欲に差があれば、仕事の結果も異なるわけですか?

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そういうことです。社員から提供される仕事の量・質は、「職業能力」だけでなく「能力発揮意欲」に左右されます。したがって、人事管理においては、社員が保有している職業能力を最大限発揮し、良い仕事をし続けてもらうために、やる気と能力を引き出すことが重要となります。特に最近では、社員一人ひとりが自らの裁量で創造性を働かせることを期待される仕事が増えてきており、そのような場合、意欲的に取り組むかどうかが、仕事の結果を大きく左右します。

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確かに、「能力はあるようだけれど、仕事の結果が伴っていない人材がいて困っている」という経営者のお悩みを耳にすることがあります。それでは、人のやる気と能力を引き出すために、具体的に何をすればよいのでしょうか?

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社員が企業に求めているものを理解し、適切に対処する必要があります。つまり、仕事において何が動機づけの要因となるのかを把握し、企業はそれを提供するのです。

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動機づけの要因といっても、一人ひとりそれぞれ違うような気がすると思います。

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その通りです。社員が企業に求めるものは個人ごとに異なりますし、また時代によっても変化します。次の図表1は、時代別に動機づけの要因をまとめたものです。

図表1 時代別の動機付けの要因
分類 社会環境 動機づけの要因
戦後混乱期 町は荒廃し、失業者があふれた。 生活の安定
高度経済成長期 多くの企業が右肩上がりで成長していた。終身雇用の時代。 経済的な動機(高額な賃金・ボーナス)
現代社会 成長社会から成熟社会へと移行。社員が求めるものは物的なものから精神的なものへ変化。 非経済的な動機(仕事のやりがい、働きやすさ、福利厚生)

これからの人事管理の課題

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ここまで人事管理の2つの役割をみてきましたが、実は年々、人事管理が難しくなってきている状況にあります。具体的には、いま必要とされている職業能力が今後も必要とされるのか、見通しがはっきりしないのです。

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それはどうしてですか? 先ほどの時代の変化とも関係があるのですか?

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それは、ビジネスを取り巻く環境変化が激しく、将来予測が困難になっているからです。あるいは、将来が予測できたとしても非常に短期的に変動してしまうからです。

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つまり、今後の環境変化や事業の見通しが不透明なために、人を適切な仕事に割り当てることが困難になってきている、ということですね。

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そういうことです。例えば、ある国内自動車会社では現在、ガソリン・ハイブリッド・電気自動車の3つのセクションを抱えています。長期的にみて電気自動車の普及が予測されますが、ガソリン・ハイブリッド自動車がすぐに不用になるとも思えません。そのような中、どのような職業能力を保有する技術者をどのセクションに割り当てるべきかという問題があります。

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それぞれのセクションで求められる職業能力や技術・知識が異なるので人材の配置転換が容易でない。そのため、貴重な人材をどの仕事に割り当てるべきかを長期視点で適切に見極める必要があるということですね。

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その通りです。ただ、環境変化が急激なので適切な見極め(仕事と人のベストマッチング)自体が非常に難しくなっています。そればかりか、5年後、10年後にいま自分がしている仕事が存在しているかすら、誰にもわからない時代でもあるのです。

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そういえば「AIが雇用を奪う」と最近よく耳にします。「ある日突然自分の仕事が無くなったら...」と考えると、恐ろしいことですね。私たちに何かできることはないのでしょうか?

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企業も働き手も、積極的に能力開発を行うことが重要です。将来予測が困難な状況にあっても、しっかりと未来のことを考え、今後どのような仕事が生まれ、それにはどのような職業能力が求められるのだろうかと探求し続けるのです。そして、目標とする職業能力、技能、知識を獲得するために能力開発を実践していきます。先ほどの自動車会社の例でいうと、ガソリン自動車のセクションに配属されているエンジニアは、ガソリンエンジンの性能を向上させることを日々模索しながらも、将来の中核となる電気自動車の技術についても学ぶことを怠ってはいけないのです。

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なるほど、将来の仕事を見据えながら能力開発に取り組むことが今後の人事管理の課題なのですね。教授、本日はありがとうございました。

※今回の連載内容は、2017年4月4日の講義を参考に執筆しました。
「人事管理の役割と課題」(佐藤博樹 中央大学大学院戦略経営研究科教授)


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