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創業当時から「24時間365日対応」お客様第一を貫き、下請け体質から脱却ー2ー

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創業当時から「24時間365日対応」お客様第一を貫き、下請け体質から脱却ー2ー

  前回は、経営幹部と営業社員の実直な取り組みにより直受比率を90%にまで高めるなど、フィデス株式会社がたどった脱下請けの経緯をお伝えしました。
 今回は、1990年代から続く「環境整備」という取り組みを紹介するとともに、「会社を成長させてきた力の源泉」と社長が語る、同社の「経営計画書」についてお伝えします。(編集部)

フィデス株式会社の工夫(2)

「なぜこんなことを?」から始まったトイレ掃除

 バブル崩壊後の逆風にも負けない、より強い会社になるために。千葉県の総合設備工事会社、フィデスの経営改革のお話が続きます。

 1990年代、先代の並木会長は、経営コンサルタント一倉定氏の指導のもと、「環境整備」を会社に根付かせています。環境整備とは、ひらたく言えばお掃除、整理整頓のこと。ですが、その徹底ぶりは「トイレの水を飲めるぐらいにやらなければダメだ」というほど。並のお掃除ではないのです。

 当然ながら、社内からも反発の声が上がりました。50人の社員が毎日1時間環境整備に費やせば、50時間のロスが生じるのですから、「忙しいのになぜ?」という声があがるのも想定の範囲内だと言えるでしょう。「お金をもらえるならやります、といった社員もいましたね。もう退職していませんけど」と、細矢社長も当時を振り返ります。

 そんな会社の空気を変えたのは、ほかならない並木会長の率先垂範でした。会長自身、当初は「なぜそんなことを?」の思いがあったことは、社内報に寄せたこんな文章からうかがい知ることができます。

 「当時の我が社を見渡せば、机の上には高層ビルの如く書類が山積みになり、ロッカーには不用品が溢れ、トイレは水垢で真っ黒!しかも、臭い!倉庫には残材料や泥だらけの工具が散乱し足の踏み場もなく、車も汚れ放題、と言う悲惨な状態だった。この乱雑極まりない倉庫、一体全体、何処から手を付ければ良いんだ? この汚いトイレどうやって磨くんだ?」

 それまで掃除といえば盆暮れの大掃除のみというフィデスでしたから、無理もありません。しかし心機一転、会長自身がトイレに手を突っ込み、ピカピカに磨き上げる姿を、社員に示したのです。続けて、毎朝の20分の環境整備を義務づけ、社員一丸となっての環境整備が始まりました。

 「一時期は『3ヶ月使わなかったものはみんな捨てろ』というルールもありましてね。私が面白がって『あれもいらない、これもいらない』といって倉庫のなかのものを捨てていたので、会長には『こいついい加減にしろよ』と思われていたらしい(笑)」(細矢社長)

 それにしてもなぜ「会社を強くするために、環境整備」だったのでしょう?
 会長は社員にこう語りかけていました。環境整備は会社経営の原点だ。整理整頓が行き届いたオフィスならば作業効率は向上する。また環境整備は「気づき」を養うものでもある。気づきがなければ、お客様や仲間が困っていることにも気づくことはできない、と。

 「今でも継続して毎日、朝礼後の30分と終業後の30分の環境整備を続けています。会長の時代の徹底ぶりを知る人間も少なくなっていますが、若い社員たちに伝えなくては。今は私がトイレ掃除をしています」(細矢社長)

ブレない経営を支えた経営計画書

 細矢社長にとっては、グローバルファームとして名高いPwC社の指導のもと、2000年頃から着手した大改革も思い出深いといいます。

 通常、上場企業をクライアントとするPwC社が中小企業のコンサルティングを引き受けるのは異例のこと。並木会長は当時のPwC社長の著作を50冊購入して全社員に読ませ、企業改革について熱く語りました。その思いがPwCの社長の心を動かしたのです。

 これによりフィデスは、ITの活用やペーパーレス化、チーム制の組織などに代表される「アメリカ型経営」へと舵を切ることになりました。

 当時、細矢社長は40歳。会社が変革していく様子を目の当たりにしていました。「パソコンが導入されたり、横文字が増えたりしたことに、抵抗を感じる社員もいました。でも私は、新しいものに食いつくタイプなんですよね」(細矢社長)

 「曖昧な文化をなくす」というのも大きな変化でした。例えば、それまでは書類を回覧すると、主任、係長、課長、部長、専務、社長と、本人を入れてハンコが7個も必要だったのです。それをなくし、サインのみでOKとしました。たったこれだけのことで、どれほど業務効率がアップしたか、わかりません。

 「思えば、会社が変わるためにすごいエネルギーを使った時期ですね。本来、現場で施工図を書いていたい人間が連日、改革のための会議に集まってきました。おそらくその頃は会社の営業力も落ちていたと思いますよ。でも、それでもやらないといけないという覚悟があったように思います」

 そして会長が「あれがあればこそ、今のフィデスがある」とまで強調するのは、経営計画書です。バブル崩壊から30年弱、90年代後半の日本におきた金融危機にリーマンショック、東日本大震災といった逆風に耐えたのみならず、会社を成長させてきた力の源泉は、経営計画書だというのです。

 言うまでもなく、経営計画書とは、フィデスという会社に何ができて、何を目指しているのか、そのためにいま何をするべきなのか、会社としてのあるべき「形」を示すものです。

 90年代になり、並木会長は創業以来はじめて、経営計画書を作成しました。フィデスが現在掲げている経営理念もその時初めて言語化されたといいます。

 「おそらく会長が、その父親である創業者からいつも聞かされていたことなのでしょうね。我が社の行動規範には『ことに処して、万全を尽くす』『天識る地知る、人知らざるも我は識る』とあります。自分の行動は、誰も見ていないと思っても神様も見てる、ご先祖様も知っている、やっている当の本人は絶対に解っている。と言うこと。これを文書化して、全社員に浸透させたのです」

 「先代が掲げた経営理念は、経営者が変わろうが、たとえ業種業態が変わろうが、未来永劫変わらないもの、変えてはいけないものだと思います」(細矢社長)

(次回へ続く)

フィデス株式会社様のホームページはこちら


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