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米国人材マネジメント協会 年次大会に参加してー8ー

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米国人材マネジメント協会 年次大会に参加してー8ー

米国人材マネジメント協会 年次大会に参加して(8) 

こんにちは。コンサルタントの田中博志です。

 前回から各界著名人による特別講演を紹介しています。
 今回は、後半2日間の講演を振り返り、課題が山積する現代を共に生きていく上で、忘れてはならない大切なことについて考えてみたいと思います。

1. ダニエル・ピンク氏
(Daniel Pink/作家、アル・ゴア元副大統領の首席スピーチライター)

 3日目は、「モチベーション3.0」(大前研一訳)の著者として、報酬と動機づけの関係に大きな影響を与えているダニエル・ピンク氏が登壇。

 今回は、最新の著書、"TO SELL IS HUMAN"(邦訳「人を動かす、新たな3原則」神田昌典訳)に関連し、セールス、人生、動機づけについてユーモア満載で話してくれました。
 動機づけは、人と人との自然なつながりの中で進むものであることがわかりました。

【概要】
 営業マンであるなしにかかわらず、私たちは「売り込み」(人を動かすこと)をしている。調査によると、1日の4割は何らかの売り込みに費やしており、その成否が人生を左右する。
 従来、売り手は買い手よりも情報量に長け、セールスは売り手主導で進んだ。営業マンの必勝法は「チャンスがあればいつでもクロージングをうつこと」であり、買い手は気をつけなければならなかった。
 ネットワーク化が進んだ現代では立場が逆転している。買い手の方が多くの情報を持ち、しかも簡単に他者と共有できる。
 気をつけなければならないのは営業マンの方であり、クロージング技術とは別の対処が必要だ。ポイントとなる力は次の3つ。
(1)相手の目線に立って物を見る力
 ・・・人を動かすには、まず相手の立場を理解することが不可欠
(2)拒絶に耐え、浮上する力
 ・・・抵抗を受けて気持ちが沈んでも、常に浮かび上がって前進する
(3)情報を拾い上げ、選り分けて、隠れた問題を発見する力
 ・・・情報を明確、明晰にとらえて本質を見極めて問題を予見する

 具体的には、次のような行動が求められる。
・自分の影響力は、押しの強さではなく、「相手の文脈にのる」ことによって確保する。
・相手に安心してもらえるように、外面を取り繕わず、「あなた自身のありのまま」でいる。
・相手に「意思決定の自由」を与える(プレッシャーをかけるとかえって決めにくくなる)。
・自分から「これができます」という代わりに、相手から「これはできますか?」と質問されるようにする。
・ビジネス一辺倒でなく、パーソナル(個人的)な関係を演出し、一個人としても真剣に取り組んでいることを示す(例えば携帯番号を教えるなど)。

身振り手振りで聴衆を魅了するダニエル・ピンク氏

2. マーク・ケリー、ガブリエル・ギフォーズ夫妻
(Mark Kelly/元宇宙飛行士、元アメリカ海軍大尉、Gabrielle Giffords/元下院議員)

 最終日は、2011年5月にスペースシャトルエンデバーの船長を務めたマーク・ケリー氏と、同年1月、下院議員として遊説中に頭部に瀕死の銃撃を受け、奇跡的に回復した妻のガブリエル・ギフォーズ氏が登壇。
 ケリー氏の人生からの学び、ギフォーズ氏の将来の夢について語ってくれました。
 いかなる困難な状況でも、ポジティブな姿勢を忘れずに、希望と勇気を持ち続けることの偉大さを深く胸に刻みました。

【概要】
◆マーク・ケリー氏(夫)
 半生をとおし、人間の無限の力、チームとして尊重し合うことの偉大な力を学んだ。
(1)母からの学び・・・「目標、計画、不屈の努力の大切さ」
母は、当時としては前代未聞の警官を志した。試験官からは「大男でも苦労する実技試験に合格することは絶対に無理」と言われた。母はあきらめず、計画を立てて懸命に努力した結果、男性顔負けの成績で見事に合格した。

(2)海軍での学び・・・「初期の出来ばえと、将来成功するかどうかは別問題であること」
海軍入隊後、パイロットを志望して初の操縦テストを受けたところ散々な結果だった。教官からは「全く素質がない」と別の道を勧められた。母の努力を思い出し、奮起して取り組んだ結果、めきめき腕を上げ、優秀なパイロットになり、最後はスペースシャトルの船長になった。

(3)妻の手術での学び・・・「意思決定はグループですべきこと、下位者の意見も尊重すべきこと」
2011年1月、妻が銃撃されたとの連絡。銃弾は脳を貫通し、死亡との報道が流れる。幸い誤報だったが、脳は大きな損傷を受けており、手術の方針が定まらない。初めは専門医だけで話し合ったが、再度、周辺の関係者も集め、下位者も含めて自由に意見を出し合った結果、画期的な方法が見つかった。お蔭で、妻は半身不随だが一命を取りとめ、想像以上の回復を見せている。

※ケリー氏は、容体を案じて宇宙行きを躊躇したが、妻の奨めで予定通り船長としてミッションを完遂し、帰還後、引退した。
 妻は懸命にリハビリを続け、杖を頼りに歩き、ゆっくりとだが話せるようになった。現在、身障者施設を訪れて講演するなど、人々に勇気を与える活動を精力的に行っている。

◆ガブリエル・ギフォーズ氏(妻)
 ケリー氏のスピーチのあと、妻のギフォーズ氏が夫に支えられながら登壇。
瀕死の銃撃を感じさせない満面の笑顔で手を振る姿に、会場総立ちで割れんばかりの拍手と大歓声!(私も目頭が熱くなりました)。
 米国人材マネジメント協会のCEOであるジャクソン氏から「これから何をしたいですか?」と質問され、明るく力強い声で、ゆっくりと次のように答えました。
-世界をよりよい場所にするために貢献したいです!
(I want to contribute to make the world better place!)
 そして、次のようにつけ加えました。
-時間はかかりますが人々は必ず良くなります。人間の精神は「卓越(remarkable)」しています。
-私は楽観主義者です。夫のマークと一緒に世界中を旅することが夢です。

お互いを思いやるマーク・ケリー(左) ガブリエル・ギフォーズ(右)

 各界の豪華メンバーによる特別講演を聴きながら、「人間の力を信じ、常に内省し、互いを尊重して良い関係をつくること」こそが、世界をより良くしていくのだとしみじみ思いました。

 昨年10月から8回にわたり、「米国人材マネジメント協会 年次総会」に参加して考えたことを紹介してきました。お読みいただきありがとうございました。

 洋の東西を問わず共通することは、人間の力と可能性を信じていることです。
 そして、人材が思い切り活躍できるためには、互いにオープンになり、理性的であり感情的である、個人的であり社会的である、という人間の本質を理解し、個別に異なる特徴や状況を受け入れ、尊重し、支え・高めあえる「場」を創ることが欠かせないと感じました。

 次回からは渡辺コンサルタントにバトンタッチします。
 引き続き、ご愛読いただきますようよろしくお願い申し上げます。

アメリカ3大美術館の1つ「シカゴ美術館」

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