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米国人材マネジメント協会 年次大会に参加してー3ー

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米国人材マネジメント協会 年次大会に参加してー3ー

米国人材マネジメント協会 年次大会に参加して(3) 

 こんにちは。コンサルタントの田中博志です。

 前回から「よりよい評価フィードバック」について考えています。
 フィードバックの改善点の一つ目は「未来志向にすること」でした。
 二つ目は「今の時代にふさわしいものにすること」であり、現代のビジネスには次の2つの仮定(=思いこみ)が「当てはまらない」ことを理解することが大事だと述べました。

 仮定1:どんな仕事でも、特定の個人にその責任を求めることができる
 仮定2:上司は、部下の仕事について何でも知っていて常にベストな指示ができる

 今回は、仮定1を乗り越えるために大切な視点を考えていきます。

1.問題の本当の原因はどこにあるのか?・・・全体の構造=システムに目を向ける

 まず、次の場面を想像してください。
・あなたは2人の男の子の親です。兄は3歳の幼児、弟は0歳の乳児です。
・2人で仲良く遊んでいると思ったら、兄の笑い声と弟の泣き声が聞こえてきました。
・のぞいてみると、兄がマジックペンをもってはしゃいでいます。その横で、弟が顔や服を真っ黒にして泣いています。
・そうです、兄がマジックで弟に落書きをしていたのです。

 それを見たときあなたはどうしますか?  兄に、「何でそんなことをするの? 意地悪しちゃダメじゃないか!」と叱るかもしれませんね。
 でも、それで十分ですか・・・?

 ではあなたが親でなく、祖父母だったらどうですか? 「小さい子の近くにマジックがあったのがよくないね」と言うかもしれませんね。
 でも、それで十分ですか・・・?

 同じ場面を見ても、親と祖父母で対応が違うのはなぜでしょう? 

 それは、原因のとらえ方が違うからですね。
 親は、「兄の『意地悪な心』が原因」と考え、祖父母は、「幼い子とマジックの『組み合わせ』が原因」と考えたのです。

2.システムに目を「向けないこと」の深刻さ

 品質管理で有名なデミング博士は「問題の原因」について次のように言いました。
 「我々が出会うほとんど(おそらく90%)の問題は、一般的に原因を1つに特定できない、複数の影響の結果である。問題の原因を一部の人のせいにして追究するのは、全く逆効果だ。悪い状況をさらに悪くしてしまう。」

 人に問題が全くないとは言いませんが、一人ひとりは「良かれ」と思ってやっていても、巡り合わせが悪くて問題が起きることは多々あります。

 例えば次のようなケースはどうでしょうか?

 「工場内で台車による製品の運搬中に荷崩れが起こり、製品の破損が繰り返されている」

 この問題に、担当者の上司は本人の不注意を叱るかもしれませんね。
 でも背景に、「最近、特急受注が増えていて、現場はスピーディーな運搬を求められている。

 通路には若干の凸凹があり、台車の速度を上げるとバランスを崩しやすい」という状況があったらいかがですか?
 通路の凸凹、運搬方法そのもの、特急受注への対応体制の不備などが原因だとも考えられます。

 それらに目を向けず短絡的に、「不注意が原因だ」と決めつけると、担当者は特急要請に応えようとがんばったのに責められたと受けとめます。

 もちろん本人にも改善すべき点はありますが、「頭ごなしに怒られた」という嫌な思いしか残らず、確実にヤル気を失います。
 これでは、部下の成長を促し、エンゲージメント(強い思い入れをともなった参加・貢献)を高めるフィードバックにはなりません。

3.システムに目を「向けること」の偉大な力・・・失敗を成功の母にする

 「詳しい背景を見る」ことは部下との関係以外でも大変重要です。
 システムに内在する改善点を見つけるチャンスにもなります。

 上の例では、通路や特急受注対応体制などに改善の余地がありそうですね。

 これらを掘り下げていくと、「工場の弱った地盤の補強工事が必要」「得意先の需要パターン変化に応じた営業方針の見直しが必要」などの重要課題が見つかり、運搬中の荷崩れという「失敗」が、大事故の未然防止や営業効率向上という「成功」につながった、ということになるかもしれません。

 こうなると、背景に目を向けた上司と、状況整理に協力した担当者の連携プレーによって、失敗から成功が生まれたことになります。

4.システムに目を「向けること」の偉大な力・・・本当のフィードバックが実現する

 ここまで担当者以外の原因を中心に見てきましたが、当然、担当者の責任も考えねばなりません。
 ただ、担当者もシステムの一員ですから全体的に見ていると、本人が成すべきこともスムーズに浮かび上がってきます。

 上記では、「異常を敏感に察知し、ささいな異変でもすぐに上司に伝えてほしい」「通路の凸凹が直るまでの次善の策を考案する」などが挙げられます。

 本人は、客観的に整理したあとなので、指摘を冷静に受け入れるでしょう。
 そればかりか、組織の中での自分の重要な役割が再確認できたことで貢献意欲も高まるのではないでしょうか。

 これこそが、部下の成長を促しエンゲージメントを高めるフィードバックなのです。

 冒頭の男の子のケースでは、「兄とマジックペンの『組み合わせ』の悪さ」にとどめず、兄に、「弟がどんなふうに思うかな?
 これからは相手が嫌がることじゃなくて、喜ぶことをしようね」と優しく言って、「思いやり」を教えることも必要だったわけですね。

5.「未来を創るふり返り」で真のフィードバックと組織学習を実現する

 仕事が複雑に入り組んだ現代に成長し続けるには、未来につながるフィードバックが決定的に重要です。
 それなのに「個人の責任の特定」だけにこだわると、大切なフィードバックが「上司の叱責と本人の(うわべだけの)反省という儀式」になってしまいます。

 そうではなく、システム全体に目を向けて掘り下げて考える姿勢でのぞむと、「未来を創るふり返り」ができ、評価フィードバックの目的を果たしながら、組織的な学習を進めることができるのです。

 では、「未来を創るふり返り」にするにはどうすればよいのでしょうか? 次回は、そのための「5つのコツ」についてお話したいと思います。

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