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賃金コンサルタントとしての歩みと私たちの基本スタンスー3ー

賃金コンサルタントとしての歩みと私たちの基本スタンス(3)

 皆さんこんにちは。プライムコンサルタント代表の菊谷寛之です。
 3回目はゴールドラットの制約条件理論(TOC)とピーター・センゲの組織学習の理念と出会って、私たちがどんなことを考え、取り組んできたかを振り返ります。

(1)システムの制約を意識する「全体最適」の組織づくり

 前回説明したように、ゴールドラットは企業の目的は「現在そして将来にわたって利益を増やし続けること」と明言しました。
 でも、それだけならだれでも分かっていることのような感じもしますね。

 ゴールドラットの凄いところは、利益を実現しようとする企業の活動を阻害している制約(ボトルネック)に目を向け、「制約条件理論(TOC)」という画期的な対処法を編み出したことです。(興味深いことに彼は、トヨタのカンバン方式の生みの親・大野耐一氏に学んで制約条件理論を考えることができたと言っています。)

 物理学者であったゴールドラットは、経営システムを、利益を実現する活動の連鎖としてとらえ、その中に必ず一番弱い鎖の環が存在し、それが全体の業績の足を引っ張っている制約(ボトルネック)になると指摘しました。

 読者の皆さんは、高速道路がたった一カ所事故渋滞するだけで、全体の交通の流れが一挙に悪くなる体験をされたことがあるでしょう。

 同じように、会社の経営システムも、開発・仕入・生産・営業の仕事の流れのどこか1カ所の弱点が制約となって、全体の仕事の流れが滞っていると考えられます。
 会社の業績が伸びない「根本原因」はそこにあると、ゴールドラットは言いきりました。

 その弱点を放置したまま、他の部分をどれだけ改善しても、会社全体の業績は改善されません。
 社員がどんなに善意で有能であっても、的外れなところで頑張ったのでは、会社の業績は良くならないのです。

 かえって真面目に頑張りすぎると、過剰在庫を増やしたり、仕事を増やして過剰管理に陥ったり、過剰仕様・過剰サービスに走ったり、組織の中や取引先とのあつれきが増えたりして組織は疲弊します。

 ゴールドラットは、ごくシンプルな解決方法を提唱しました。
 その方法とは、まず開発・仕入・生産・営業の流れのどこに一番弱い制約があるのかを発見し、その最も弱い箇所がフル回転するように管理を集中して、ほかのすべての動きを制約に従属させろ、というものです。

 制約条件以外のところでいくら頑張っても、業績は伸びません。
 逆に考えれば、制約条件をフル活用しさえすれば、その状況の中で最大の業績が実現する(業績が伸びる)はずだと考えるのです。一番弱い制約に全体の管理を集中し、ほかの部門はその箇所がフル回転できるようにペースを合わせ、その足を引っ張らないように注意して行動すれば、業績は急速に回復します。

 そして全体の業績を十分回復させてから、次はその制約そのものを改善したり除去したりするのです。
 すると今度は別のボトルネックが姿を表します。  そこで再び、その新たなボトルネックに対し、同じ手順で改善策を繰り返す。
 この「継続的改善」の手順を永久に繰り返すのだ、とゴールドラットは強調しました。

 高速道路でいえば、まず事故が起きた現場に急行し、事故車をわきに寄せ、車がスムーズに流れるよう交通整理を行います。

 また渋滞警報を出して車の流入を抑え、最悪の渋滞を回避します。これだけで全体の流れは前よりもスムーズになります。
 最後に事故車を片づけ、現場を回復すれば、渋滞は徐々に解消されるでしょう。

 ただしそのかわり、いつも渋滞を起こしている合流箇所が新たなボトルネックとなって、やはり全体の流れが制約されるかもしれません。
 そのときはまた、別の取り組みが必要になります・・・。

 このような制約を意識した「全体最適」への永続的な取り組みは、いわば組織の総力戦になります。
 さまざまな立場の人がボトルネックを意識して、お互いにスムーズに連携し、臨機応変に協力していかねばなりません。

 自分の部門や専門分野だけ、自分の担当部署だけ頑張ればいいという「部分最適」の考え方では、明らかに限界があります。

 ゴールドラットの制約条件理論は、考えてみれば当たり前の、しかしとても大事なことを私たちに気づかせてくれました。
 賃金・評価制度も、単に個人の頑張りを促すだけでは限界があることが、私たちにもはっきりと見えてきたのです。

(2)「組織学習」の理念を実践する

 これまでの、個人のヤル気を高めるだけの人事アプローチでは限界があると思い知らされ、悶々としていたとき、コンサルタントの一人がピーター・センゲの『学習する組織』(英治出版)という本を見つけてきました。

 読んでみると、非常に興味深いことが書いてありました。
 世界のつながりがどんどん深まり、複雑性と変化のスピードを増す現代社会では、少数の卓越したリーダーが、専門的な分業体制のもとで分断された個人を引っ張るピラミッド型の組織では立ち行かなくなっているというのです。

 組織の競争優位性は、個人と集団の両方の継続的学習から生まれ、組織の中であらゆる役割・レベルを担う一人ひとりが、主体的な対話・学習・思考を重ね、全体性を保ちながら相互に共感・連携して行動できる集団でないと、内部的な成長力を保つことはできない―このようなことが、理論と実践の両面から分かりやすく説かれていました。

 組織学習の理念に啓発された私たちは、仕事の合間をぬって社内対話を開始しました。
 具体的には、一日に何時間もかけて、次のようなテーマでの自問自答を延々と繰り返したのです。

  • 自分たちは何のためにコンサルタントの仕事をしているのか
  • クライアントは私たちに何を期待しているのか
  • クライアントの経営システムとはどんなものか
  • 組織に貢献しようという個人の内発的な動機はどのようにして生まれるか
  • そのとき、人事・賃金・評価はどのような役割を果たすのか
  • これからのコンサルティング・サービスはどのようなものが求められるのか

 結論を出す会議でもなく、議論で勝負するディベートでもなく、参加者全員でお互いに経験を内省し、本音を語り合い、傾聴しながら物事の全体を探求する対話(ダイアログ)を実践し続けました。

 次第に私たちのセミナーや営業方法、コンサルティング、アフターサービス、すべての仕事のやり方がクライアント重視の未来探求型のものに変わりはじめました。

 それまではどちらかというと、自分たちが考えた賃金・評価制度のパッケージ・モデルをクライアントに売り込み、カスタマイズを終えて納品し説明するという「システム」を買ってもらうサービスに近いやり方をしていました。

 しかし、他人が作り込んだシステムを使いこなすことは、誰にとっても容易ではありません。
 私たちが苦労して制度を作り込んでも、クライアントの皆さんが浮かない顔をしていた原因は、まさにこれだったのです。

 いまはむしろ、顧客がやりたいこと、できることを中心に置いて、私たちにできることは何かを見極めることに力を入れています。

 われわれの知識やノウハウを知ってもらい、クライアントが自分たちで使える賃金・評価制度を一緒に作り込み、早めに使ってもらう、「相手の効用」を重視したコーチングに近いやり方に変えて、お互いに仕事が楽しくなってきました。

 社内対話で鍛えたお陰で、依頼先の中でのコミュニケーションもうまくとれるようになりました。
クライアントの間で意見がまとまらないことがあっても、できるだけ本音の対話を促し、実情に寄り添った仕事ができるようになりました。

 最近では、この対話の手法をクライアントの組織開発にも活用し、社員全員が参加して組織の将来ビジョンを共有する大規模な対話集会を開いたりしています。

 いま振り返ると、自分達のコンサルティングのスタイルを確立するうえでも、サービスを改善するうえでも、「顧客の声に耳を傾け、顧客に起きていることの全体に目を向ける」ことにいつも気を使っていました。

 そして自分達の限界に気づき、新たな発想で仕事に取り組んだとき、理論や手法の面でも転機を掴むことができたように思います。
(次回に続く)

プライムコンサルタントの
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