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強みは「ステンレス容器の特注品」。大手が参入しない特異なマーケットで競争優位を築く☆日東金属工業株式会社様ー3ー

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強みは「ステンレス容器の特注品」。大手が参入しない特異なマーケットで競争優位を築く☆日東金属工業株式会社様ー3ー

 前回は、日東金属工業の職人に焦点を当て、同社のモノづくりに対する姿勢やこだわり、技能継承についてお伝えしました。
 今回は、同社の特徴的なプロモーション戦略を紹介するとともに、その実践のきっかけとなった、ある顧客との大切な出会いを紹介します。また、かつて福島県内にあった工場が東日本大震災で被災したときのエピソードを大山氏に語っていただきます。混乱の最中、同社が下した勇気ある決断にぜひご注目ください。(編集部)

日東金属工業株式会社の工夫(3)

長年培ってきた「余裕」でリーマンショックにも耐えた

 大手企業が参入を躊躇する「ステンレス容器の特注品」というニッチなマーケットと、数千社の顧客と取引する超ロングテールのビジネスモデルを武器に、唯一無二のポジションを築いた日東金属工業。おかげでリーマンショックの荒波すら余裕を持って持ちこたえることができたと、大山さんは言います。

 「あの時、同業者のなかには売上が2割、3割まで減ったところもあります。でも当社は8割5分の売上を維持できた。それは特定顧客に依存していなかったからでしょう。業界だって依存していません。メインは製薬業ですが、食品や化学の業界とも取引があります。面白いところでは、間接的ですが、造幣局などでも使われているようです。お札を刷るインクでも入れているのかもしれません。」

 1つ、大きな変化があったとしたら、それはインターネットの活用によるものだとか。大山さんが入社したのは今から18年前。多くの顧客から特注品の依頼が舞い込んでいた点は、今と変わりません。しかし当時は、特注品に型番がついていませんでした。そのために付加価値の高いステンレス容器を作っていても、それをWeb上でアピールすることができなかったのです。

 しかし「1つ、今でも感謝している出会いがあります」と大山さん。
 「工具商社主催の展示会に参加し、自社製品を並べていたときのことです。あるお客さんが我々の製品を気に入ってくれて、値段を聞いてきたんですね。ところが商社の営業マンは質問に答えられなかった。私も、型番を聞かれて答えられませんでした。『単なる特注事例としてカタログに載せているだけです』というと、『いい製品を作っているなら型番は絶対につけなさい』。そうしないと、Web上では製品を特定できないからです。ああそうか!と。それ以降、特注品にも全て型番をつけて、カタログに載せるようになったんです」

震災後、福島県双葉町の工場から従業員を呼び寄せた

 もとより、「健康な会社」を経営理念に掲げている会社でもあります。曰く、会社も人間と一緒で長生きするためには健康であることが大事。そのためには、暴飲暴食せず、節度節制のある生活が大事。会社で言えば、ムダを排し、節約につとめ、過剰な投資は慎む。無理な売上拡大を追求するのではなく、適正な利益を心がける。創業者も現社長も整理整頓を重んじ、また若手社員には財形貯蓄による蓄財を勧めるとか。そこから生まれる余裕が経営にもたらした恩恵は、計り知れません。

 東日本大震災に際しても、こんなことがありました。福島第一原発の隣、福島県双葉町に、日東金属工業の工場が。しかし震災後、工場は立ち入り禁止区域に。この時、工場勤務の希望者全員を埼玉県八潮にある本社工場に呼び寄せ、住まいを手配し家賃を保証することで、従業員とその家族総勢70人の暮らしを守りました。本社工場にも、彼らに仕事を任せられるだけのスペースが空いていたのが幸いしました。

 「それも、余裕があるからできたことなんです。今日日、空いている建屋があるなんて、なかなかないこと。でも、東日本大震災で改めて思ったのは、会社にとって一番大事なのは『人』だということですね。それからお金と、データです。確かに震災で工場と設備を失いましたが、そんなものはお金で借りればいい。会社の資産といえるものは、すべて守ることができたと思っています」

目指すのは利益と「楽しく仕事をする社員」の両立

 いい会社とはどんな会社か。改めてそう尋ねると、大山さんは「従業員に干渉しない会社」と答えてくれました。「個人的には、これからの『働き方改革』に則っていきたい。いつ来てもいい、いつ帰ってもいい会社。自由に、好きにやってほしい。そんな思いがありますね」

 実際、有名大学出身者を含めて、多くの若者が「働きたい」と集まってくるのは、そのためでもあるのでしょう。「例えば、有給休暇をとる時も理由は聞かない。給料はちゃんと支払う。そういう当たり前のところからです。就業時間外に掃除なんかさせない、休日出勤もさせない。ベテラン社員とは意見が異なるかもしれませんが、時代の流れについていかないと若い人たちも来ないでしょう。ですから私、ツイッターをめちゃくちゃ見て、時代の流れを知るようにしています」

 「これも余裕があるからできること。赤字経営になったら、厳しくすると思いますよ」と笑う大山さん。
 「創業者を見ても、特別『これがやりたい』という夢があって始めた会社ではないと思います。それでも『プレスは面倒だからやりたくない』とか、『急に成長すると中小企業は足元をすくわれる、それは面倒だから、徐々に徐々に』とやっていたら、こういう特徴のある会社になったのではないかと。特注品という面倒な製品を扱っているのに、根っこのところには『面倒なく、会社を永続させたい』という思いがあるんですね(笑)。余裕を大事にするのも、そんなところに理由があります。 個人的なことを言えば、社員たちが仕事を楽しんでくれるのが一番いいです。会社に来るのが嫌だと思われるのが一番嫌。それと利益をどう両立させるかが問題ですが、ありがたいことに、今はそれができています」

日東金属工業株式会社様のホームページはこちら


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