「部門の壁」取り払い100年企業を目指すー3ー

前回は、社員同士の仲間意識を高め、グループ内での部門間連携を強化するために行った、様々な全員参加型のプロジェクトを紹介しました。
今回は、大島椿グループの交流を深めるために実践している、「ワールドカフェ」についてお伝えします。オープンな対話により新たな気づきが得られるこのワールドカフェは、ビジネスシーンに限らず、様々な場面で活用されています。
また、取材の最後に「いい会社」とは何かを岡田社長に尋ねました。創業者の精神とともに語られるそのメッセージは、挑戦への勇気を与えてくれます。(編集部)
大島椿株式会社の工夫(3)
「ワールドカフェ」がグループ会社間の交流の場となった
グループの交流を促し、連携をスムーズにする試みは、ほかにもあります。
大島椿が2015年から実施している恒例行事が「ワールドカフェ」です。
ワールドカフェとは、1つのテーマについて参加者が自由に意見を出し、相互理解を深める話し合いのこと。90年代にアメリカで開発されて以降、「意外なアイデアが湧いてくる」と、さまざまな会社で実践されています。
大島椿では、これをグループ社員どうしの交流の場として、活用しているのです。
2017年に開かれた第3回ワールドカフェでは、「大島椿グループの交流を深めるには」をテーマに、社員名鑑づくりや「まだ販売会社を訪れたことがない」という製造会社のパートさんたちを招いての販売会社ツアー、そして「運動会」というアイデアが持ち上がりました。
「下は20代前半から上は60代後半まで、100名弱の社員全員が交流できる機会は案外ないものです。カラオケでもないし、温泉旅行でもない。でも、運動会ならば、と。
実際、開催したのですが、初めてとは思えないぐらい、盛り上がりました。『あの人、意外と足が速いんだね』というのがわかって、びっくりしたりして(笑)。それまで知らなかった社員たちの一面を見ることができ、ぐっと親交が深まりました。
トップダウンで実施するのではなく、現場の社員から声が上がり、グループ全社を巻き込めたことが、またよかったですね」
社長に就任した当初は、「製造会社と販売会社の連携が課題」としていた岡田社長。しかし、こうした地道な取り組みを通じて、大島椿グループの一体化が進んできた手応えを、確かに感じています。
「シンプルなことですが、"仲間意識を持つこと"がいい仕事の始まりだと思います。通常業務をしているだけでは、仲間意識は強くはなりません。ワールドカフェは、そのためのよいきっかけとなりました」
現在は、ノウハウの共有を狙いとしてグループ会社をまたいで仕事を兼務する社員もいるそうです。グループ間の行き来がしやすいようにと、就業規則や給与制度、退職金制度等の人事制度も共通のものを整えました。
大島椿グループの社員たちが、同じルールのなかで、意識も目的も共有できるようになってきたのです。その結果、「グループ会社同士、部署同士の理解を深めることが出来、その後の連携にもつながっていった」と岡田社長は言います。
100年企業に向けて、あらためて創業者のスピリットを振り返る
もとより「大島椿の製品が好き、愛情を持っている」という1点で、固く結ばれた仲間たちです。長年の椿油ユーザーが入社することも、よくある話。「やる気は自分で奮い立たせるもの」と岡田社長が言うまでもなく、どの社員も、仕事に向かうモチベーションが溢れていました。
「扱う製品に自信があり、そこに安定した雇用を約束することで、安心して働けるという面もあると思います。ワークライフバランスを意識しつつも、しっかり自社の製品に意識が向かっている。製品への愛情が高いのもそのためだと思います」
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2017年には創業90周年を迎えた同社。課題だったグループの一体化も果たし、「100年企業」に向けていよいよ盤石の体制が整いつつあると言えます。大島椿のこれからを、岡田社長はどんなふうに思い描いているのでしょう。
「『国内市場がシュリンクしている』という話を聞きますが、その波をかぶっているのは大手企業だけ。市場そのものが縮小していても、市場シェアからみて、大島椿にはまだまだ伸びしろがあると思っています。
ロングセラーとしてご愛顧いただいている一方、まだまだ当社の製品を知らない方、使ったことがない方は多いのです。そういった方々に製品のよさを伝えていく活動を続けていきたいですね」
「海外」も、これからの大島椿を語る1つのキーワードになりそうです。
「創業者は、大島から日本全国へと椿油を広めました。今度は私たちが、日本から海外に向けて椿油を広げていきたい。海外の方々にも、椿油製品をもっと身近に感じてもらえたらと思っています」
岡田社長が再三「創業者のエピソード」を語ることからもわかるように、創業者の精神は、今なお、会社を前に進める原動力です。
「大島椿という会社の歴史は、チャレンジの歴史です。創業者が身寄りのない伊豆大島で創業し、伊豆大島に育てられ、伊豆大島のために挑戦してきた会社です。
その創業の精神は社員たちに受け継がれていると思っています。
言い換えれば、失敗を恐れない精神でもあります。仮に失敗しても、失敗に学び、それを全社で共有し、また新しい発見へとつなげていく。その繰り返しで企業は成長していくのだと思います。失敗の痛みは、上司あるいは社長の私がカバーすればいい話。
失敗を恐れずチャレンジをし続ける会社こそ、私にとっての『いい会社』です」
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