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社員の成長支援で業績も向上。ものづくりは人づくりからー3ー

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社員の成長支援で業績も向上。ものづくりは人づくりからー3ー

 前回は、リーマンショックや東日本大震災などの危機を乗り越え、成長を続ける狭山金型製作所の人材マネジメント観に触れました。  今回は、同社が掲げる「ミッション、ビジョン、バリュー」とそれに根付いた社員教育についてお伝えします。また、取材時に投げかけた「あなたにとっていい会社とは何ですか?」という質問に対する大場社長のこたえも紹介しますので、ぜひご確認ください。 (編集部)

株式会社狭山金型製作所の工夫(3)

上司の育成で若手が辞めなくなった

 変わるべきは制度よりも、制度を運用する人間である。そんな思いから大場社長が各種の研修会をスタートさせたのが2015年のことです。

 現在、毎月1度の「管理者研修」には、社長を含めて7人が参加しています。研修をディレクションしているのはプライムコンサルタント。過去には大手メディアの研修を導入したこともあるそうですが、テキスト一辺倒のカリキュラムには不満があったと大場社長はいいます。

 「今は、様子を見て2回目と3回目の内容を入れ替えるとか、予定になかった内容を加えるとか、毎回カスタマイズしてもらっています」

 管理者研修は企業理念を共に作り上げ、共有する会にもなりました。もともと狭山金型製作所には、「私たちは、価値ある最先端技術に挑戦し続け、人々の夢を実現することで社員の幸せと世界の幸せづくりに貢献します」というミッションと、「常に最先端技術に挑戦し続け、社員とお客様とともに世界の成長をけん引する会社を目指し仕事を通して社会に貢献します」というビジョンがありました。

 管理者研修では、ディスカッションを通じてこれを「バリュー」に落とし込む作業を行いました。それは「狭山イズム『富士山の頂上を目指す』」「全員が主人公『社員と会社の夢を実現する』といった5つの言葉に結実しています。「7人の言葉をストーリーにするには、時間がかかりました。でも参加した人間は『自分が会社の理念を作っていいんだ』と、モチベーションが上がったようです」

 こうして完成した企業理念を、部下も含めて社員全員が共有しようと、2ヶ月に1度の「全員研修」も実施中です。
 全員研修にはもう1つ思惑がありました。「以前は社員2〜3人のグループで、あちこち勉強に行かせていたんです。そこで得た知見を会社に持ち帰ってほしかったから。でも2~3人だと『誰かがやるだろう』という気持ちが生まれて実践が中途半端になってしまう。だったら全員まとめて研修してしまえ、と」

 こうして社員全員が集まり、同じテーマを学ぶ機会を設けたことで、社員間の共通言語が増え、業務においても「一緒に考える」習慣が根付いていきました。

 研修を通じて、狭山金型製作所の姿は、目に見えて変わりました。大きな変化は、若手が辞めなくなったこと。もともと、若手が辞めるのは上司の責任。その上司の教育をするようになってからは、結婚退職を除いて誰も辞めていないのです。

 「以前は、前日夜遅くまで仕事したからといって次の日は電話もせず午後出勤、なんて上司がいたわけです。いくらよそでは作れないものを作る技術があっても、そんな会社は長続きしないし、若者も働きたいとは思わないでしょう。

 仕事が10あるとしたら、技能はせいぜい5。あとは社会人としての基礎力が大切なんだと研修で学んでいったわけです。中小企業だと、中途社員の中には社会人になってから初めて研修を受けるという人間もいます。でも、だからこそ、学べば変わるんです。

 仕事とは何か、上司とは何か、ということをね。たまに『俺にはもう研修で学ぶことはない』という者もいますが(笑)、長く続けているほど、『自分は井の中の蛙だった、まだまだ足りない」ということがわかってきます」

 並行して、財務面や営業面も見直したことで、業績は回復基調にあります。「まだまだ無駄が多い」と大場社長はいいますが、それも「ものづくり」を愛する企業故のようです。

 「例えば、コミュニケーションをとらないまま思い込みで作った金型が間違っていて、作り直し、とか。それでも利益が出ているんですから、うちのポテンシャルはすごいんです。皆、ものづくりが好きだから、土日も休みを惜しんで腕を磨こうと出社してくるんですよ」

5年後の事業承継に向け準備を進める

 大場社長は「5年後、60歳で社長交代」を宣言しています。「老兵はさっさといなくなったほうがいいと思っているんです。継ぐのは息子ですが、そのとき彼は36歳。僕は25歳からやっていますから、全く心配ない。引退したら、シンガポールの子会社の経営を見るつもりです」。とはいえ5年後いきなり辞める、というわけにもいきません。

 実は、企業理念を固めたことも、研修による社員教育も、事業承継の下準備という側面を持っていました。
 「これまでの経営はまるっきりワンマンでした。誰にも相談せず、人を育ててこなかったんです。でも今は、社員に聞くようにしています。『社長、どうします?』と質問されたら、『じゃあ、どうしたいの?』と。現場にも口を出さないようにしています。

 5年後に社長交代と時期を決めたのも、それまでの5年の間に考える力をつけてほしかったからです。まあ、まだワンマンではあるんですが(笑)、そうやって皆で事業承継の準備を進めているところです。自分がいなくなっても、会社を続けていけるように」

 大場社長が考える「いい会社」の条件も、「長く続く会社」だそうです。

 「近江商人のように、『売り手よし、買い手よし、世間よし』の三方よしがあって初めて会社は続くんだと思います。ご存じのように日本は200年以上続いている企業が世界一多い国で、1000年企業も7社もある。これは世界に誇る文化ですよ。

 最近、中国の大きな企業が見学にきてくれるんですが、ある企業は創業10年で上場して、去年の売上400億、今年は800億、来年は1600億だと。『狭山はどうなんだ』と聞くから『今年は3億、来年も3億だ』と答えたら『なんで倍にしないんだ?』と言われました。

 でもうちは売上ではなく理念を追求する会社なんです。常に最先端技術に挑戦をし続けて、社員の幸せを追求して、ものづくりで世界を幸せにする。これも三方よしの考え方。

 今の世界トップにランキングされている企業の何社が100年後にもあるかどうかはわかりません。でもきっと、わが社と日本の会社の多くは100年後も残ってるんじゃないかと思います。そういういい会社であることが、一番の社会貢献だと思っています。そういったら中国の人も『俺もその考えに賛成だよ』と言ってくれました(笑)」

株式会社狭山金型製作所様のホームページはこちら

 


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