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第8回 組織編制(3)

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第8回 組織編制(3)

第7回では、職能別組織とチーム型組織を取り上げ、それぞれの特徴と補強ポイントについての考えを述べました。

第8回は、組織が自分自身の全体性を維持するための評価基準について取り上げます。

組織編制(3)

(1)2つの評価基準

 組織は目的を持ち、その達成のために動いています。目的の達成度合いを知るためには、経営者や従業員にとって分かりやすい評価尺度が不可欠です。組織は自分自身の評価基準を持つことによって、自分自身を管理し、全体を統合していかねばなりません。

 では、組織にはどのような評価尺度が必要なのでしょうか。それを、私たちは成果基準と行動基準の2つだと考えます。

 成果基準とは組織として「達成すべき成果=顧客に提供する価値」がどれだけ達成されているかを測るものです。成果に対する評価尺度がなければ、業務進捗における現在地を確認したり、目的地までの残りの距離を知ったり、振り返って良かった点・悪かった点などを知ることができません。

 それに対して行動基準は、守るべき価値観や理念と実際の行動との差を見るためのものです。

 

 経営者や従業員がまず気にかけるのは、 自分たちの組織がどれだけの成果・アウトプットを達成したのか、業績は改善されたのか悪くなったのかという成果基準での評価でしょう。

 しかし、組織には成果基準だけでは埋められない隙間があります。仕事がうまくいかない時ほど、その隙間は大きく感じ、挫折しそうになることがあります。そういったときに、組織の原点として立ち返ることができる価値観や理念が必要になってきます。

 組織が健全性を保ち、粘り強さ、強靭性を保つためには、メンバーに共有できるわかりやすい行動基準が必要になります。

 

(2)組織の成果基準

 成果基準を使った評価は、組織が自分たちの働きを確認したり、競い合ったりするときに大事な役割を果たします。成果評価は、特に複数の分業制組織がアウトプットをコントロールし、全体を統合・調整するための重要な管理手段にもなります。

 例えば、全国で複数の店舗を展開する小売店などの場合、地域や店舗、あるいは商品分野ごとに並行分業を行っています。どの店舗も売上や粗利益、来店客数など共通の項目を目標とし、同じ評価基準で業績を測定・評価することで、店舗間や担当する商品分野間で競い合います。

 

 そうすると各組織が自律的に目標達成のために行動するようになりますし、それが全体目標の達成にもつながります。このように、成果を評価することが、全体を管理するうえでも大きな意味を持つようになります。

 この方法は、同じ業務を複数のチーム型組織で行う歯科診療所チェーンなどの業態や、商事会社などが事業部制組織を使って別々の市場で自主的に並行分業を行う業態にも有効です。

 ただし、職能別組織のもとで機能別分業を行う製販一体のメーカーなどの場合は、このようにシンプルにはできません。

 

 機能別分業では、仕入物流・製造・販売・出荷物流などの異なる業務が連結して組織全体の成果を追求します。それぞれの組織が追求する部分的な成果は異なります。もちろん、成果評価の基準もそれぞれが別物です。

 この場合、各組織が自分たちの成果だけを追求しても、全体の成果につながるとは限りません。むしろ部分最適を助長するだけです。

 したがって、職能別組織の評価基準は、それぞれが部分的な業務を担いつつも全体目標を達成するものでなければなりません。そのためには、あらかじめ全体成果に向けて各組織が動くように、統合・調整機能を織り込んだ評価基準を作る必要があります。

 その方法は、1つは経営目標管理の中に、全体最適の考えを組み込んだ目標設定を行うことです。もう1つは、組織のメンバー間で価値観を共有することで全体を強化する方法です。

 経営目標管理と目標設定に関しては後日、考えを述べますので、今回は組織メンバー間での価値観の共有について述べたいと思います。

 

(3)組織の行動基準

 組織は目的を持って作られたものですから、目指すべき価値観、物事の視点にも共通のものが存在します。組織人として一緒に仕事をするには、このような価値観や視点を共有するための「行動基準(行動方針)」が必要です。

 行動基準や方針を作成・明文化し、評価尺度として示すことで、社員の行動に方向性・統一性を持たせることができるようになります。役割や専門分野、経歴の違う社員に共通言語を与え、各部門や各個人固有の価値観による判断のズレをある程度防止できるようになります。

 ただし、「行動」という言葉から連想できる範囲は非常に幅広いものです。そこで、私たちの経験から、行動基準の評価項目として最低限押さえるべき5つの視点をまとめました。

 1番目は「顧客」です。何のために、誰のために仕事をしているのか。これによって組織が目的とする成果に対する共通の視点を持ちます。

 2番目は「業務の改善と革新」です。仕事のプロセスをどのように改善し革新をもたらすか。顧客によりよい価値を提供するための努力を促すとともに、その結果として組織・個人の突破力を養います。

 3番目は「人材と学習」です。いかに学習し、どのように成長すべきか。組織人としてお互いに啓発しあい、それぞれの仕事や事業全体を進化させる力につながります。

 4番目はチームワークです。いかに協調し連携を保ち、お互いに尊重すべきか。担当の壁や部門、階層の違いを乗り越えて、成果や課題に対して一致協力する姿勢を持たせます。

 5番目は「規律と秩序」です。組織の結束や社会的な信用のためには何が必要で何をやってはいけないか。組織全体のバランスを保ち、リスク防止の観点からどのようなことが必要かを意識させます。

 これらの行動基準は、外部の人からお仕着せで与えられた言葉や表現では意味がありません。組織メンバーが毎日使うものとして、自分たちの言葉で表現されてこそ意味のあるものです。

 今回述べた組織の評価基準は、従業員の報酬や人事配置を決める人事制度の運用においても重要な役目を果たします。具体的には、役割責任段階=等級ごとに従業員の仕事ぶりを業績評価と行動評価という二つの手法で評価し、その成績を賞与や賃金、退職金などの報酬に連動させます。また昇進・人事配置や昇格・等級異動の判定にも活用します。

 次回からは報酬システムについての考えを述べていきます。

 連載の内容は、『原因×集中×結果の人材マネジメント方程式』(菊谷寛之著)に詳しく書かれています。興味を持たれた方は、当社のホームページからお申込み・ご購入ください。

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