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第7回 組織編制(2)

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第7回 組織編制(2)

第6回では組織編制の原則や組織の行っている基幹業務・サポート業務について見てきました。

今回は、「職能別組織」と「チーム型組織」の例を使い、組織の型という視点で組織マネジメントについての考えを述べたいと思います。

組織編制(2)

(1)職能別組織が行きあたる「部門間の壁」

 「組織は目的を達成するためにある」という点においては、どの組織も共通であるはずです。

 しかし、組織の型にはいくつかのパターンがあります。その中でも、中小企業の多くは、職能別組織(機能別組織)もしくはチーム型組織(プロジェクト型組織)を採用されているのではないでしょうか。

 職能別組織では、仕事を営業や製造、物流などの基本的なプロセス段階に分け、あるいは設計や会計などの専門スキルごとに分け、それぞれの持っている機能別に組織・部門が作られています。

 仕事が各部門間を通過していくに従い、 成果に対する貢献が段階的に積み上がっていき、最後にそれらが統合されて全体的な成果となります。

 個々の部門の仕事は専門分野に分かれ、関与も限定的です。そのため成果も限定的になりますが、その仕事に集中することができ、生産性を大幅に高めることが可能になります。

 ただし、部門間の連携や調和が乱れると、それぞれの部門が自部門の成果を追いかける部分最適に陥る危険性も持っています。

 企業規模が大きくなればなるほど、部分最適の傾向は現れやすく、部門間の壁として会社全体の生産性向上を阻むようになります。

 そのため、大きな企業では全体最適確保のための会議や管理手段、調整機能が必要不可欠になります。

 もともと個人の専門性を高めて生産性をあげ、組織への参画・仕事の動機づけを行う仕組みですから、部分最適になることはある種、必然です。ただし、会社組織は全体の成果を最大化させねばなりません。

 この矛盾は、トヨタのカンバン方式のような強力な管理手段を持ちこみ浸透させない限り、根本的に解決することは難しい性質のものです。

 現実に、管理手段や調整機能を強化しないまま大きくなり、部分最適による組織内の軋轢を高めている職能別組織が多く見受けられます。社長しか全体を見る人がおらず、社長の指示命令で全体を動かそうとしますが、社長一人ではいつか限界がきます。そうなると忙しいだけで一向に成果はあがらないということにもなりかねません。

 この事態を解決するには、後述するようにチーム型組織を上手く組み合わせるという方法があります。実際に経営がうまく行われている企業では、経営トップが経営チームを作り、一体的に成果を追求するマネジメント組織が作られています。

 

(2)チーム型組織の「規模の壁」と解決方法

 チーム型組織では、あるミッションに基づく一つ一つのプロジェクトに対して、それぞれ専門性を持ったメンバーが仕事の段階ごとに、そのつど集まって担当の仕事に取り組みます。職能別組織のように仕事の段階で組織を分けたりはしません。

 チーム型組織では、さまざまな知識やスキル、キャリアを持ったメンバーが、仕事・プロジェクトの目的やそれを達成するための手段、予算や納期を共有し仕事をする必要があります。最終成果をあげることはチームメンバー全員の責任となります。

 チーム内の連携が重要なため、コミュニケーションが活発になりますが、逆に連携をとるために大きなパワーを割くことにもなります。また、仕事の進行管理にも非常にパワーがかかり、1つ1つの仕事を順番にこなしていかなければなりません。取り扱う仕事の規模をあまり大きくできませんし、1つのチームで複数の仕事を掛け持ちすることにも不向きです。

 そのため、チーム型組織では仕事量の増大にはチーム数を増やすか、もしくは各チームの仕事のスピードをあげ、できるだけ数多くの仕事をこなすことで対応することになります。

 ただし、チーム数を増やしたからといって専門的なスキルを持つ人材や必要な装置・設備などが増えるわけではありません。それらは複数チームで共同利用することで対処しなければなりません。

 こうなると、チーム数が増えれば組織全体を管理する機能や手段が必要になります。共同利用する人材や装置・機械は同時刻に使うことはできません。そのためには各チームが競合を起こさないような日程計画が求められます。

 また、1つのチーム内でも、各人がそれぞれ安全余裕を持った計画を作り、それを持ち寄ってチーム計画を作ろうとすると余裕部分が不必要に大きな計画ができあがります。これでは、どのチームの仕事が本当に忙しく、どのチームの仕事が本当に余裕があるのかが見えにくくなってしまいます。

 仕事に対する安全余裕の部分は各人や各工程ごとではなく、チーム全体で計画の最後に思い切って大きく設けたほうが、全体の生産性も上がり、チームごとの状況も管理しやすくなします。

 その上で最後の安全余裕の残り状況をウォッチすることにより、仕事が遅れているチームや障害が発生しそうなチームに対して、チーム間での人員や機械利用の調整を行い、組織全体の成果が最大限に高まるようにコントロールするのです。

 

(3)「チーム型」要素を加え「職能別」組織をより強固に

 チーム型組織は受注生産や企画・開発型の業態、専門知識を組織的に活用する業態に向いています。チーム型組織はもともとチームとして成果を出すために集められたメンバーであり、仕事内容による壁を作らないはずです。

 しかし、職能別組織ほどの生産性はなく、大量生産や大量販売が基幹業務の場合は、適用できません。そのため多くの企業では未だに職能別組織を基盤としています。

 ただし、チーム型組織を活用し、職能別組織を補強することは可能です。

 1つは経営チームを作ることです。また、開発やマーケティングなどのさまざまな経験や専門知識が必要な仕事にもチーム型組織は力を発揮します。

 各部門から代表者を集め全社的な課題に取り組むことにより、企業としての問題意識の共有ができます。社員にとっても自分のやってきたこととは違う視点、多様な経験を持つ人とのコミュニケーションが可能になり、仕事の視野を広げる効果があります。

 社員一人一人が全社的な課題や成果に興味を持ち、そこに焦点をあてることができるように工夫することで、基幹業務を行っている職能別組織にもより良い効果が発揮されるはずです。

 次回は組織の行動基準について考えを述べていきます。

 連載の内容は、『原因×集中×結果の人材マネジメント方程式』(菊谷寛之著)に詳しく書かれています。興味を持たれた方は、当社のホームページからお申込み・ご購入ください。

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