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なぜいま、『人事』が『経営』を考えなければならないのか(ブックレット33号巻頭言)

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なぜいま、『人事』が『経営』を考えなければならないのか(ブックレット33号巻頭言)

株式会社プライムコンサルタント代表 菊谷寛之
(2011年11月2日秋季定例研究会ブックレット「はじめに」より)

人材マネジメントを展望する(1)

 経営の突破力が強く求められる時代にあって、経営が真の実力を発揮するためには、戦闘力のある人事がいまや不可欠のものとなった。

 これまでの人事は、人の採用・配置、評価・育成・処遇、動機づけ、福利厚生など、もっぱら「人の取り扱い」をその業務としてきた。

 よい人材を採用し、能力適性に合った仕事に配置し、仕事のスキルや意欲を評価して人材を育て、役職・肩書きや資格等級、賃金などの処遇を通して人材を動機づける・・・。 これまでの人事の仕事は、いわば「人的資源管理」の枠内で自己完結した調整型の手続的な業務がその中心であった。

 確かに、市場が拡大しているときには仕事のスキル・意欲に代表される人的資源の開発が組織の成長をもたらす原動力となる場合がある。 しかし国内市場が頭打ち、縮小に向かうとき、このような人材ストック論は役に立たない。

 経営の目的は企業自身ではない。 人的資源の管理でもなければ、人材ストックの増大でもない。 経営の目的は組織の外部にある成果である。

 ピーター・ドラッカーは、企業は社会の機関であり、企業の目的は社会にあるといっている。 企業は顧客を創造し、顧客に成果を実現し、社会への貢献の対価として利益を実現する。

 一方、『ザ・ゴール』の著者で、制約条件理論の創始者であるエリヤフ・ゴールドラットは、企業の真の目的は、現在そして将来にわたって、より多くの成果・利益を実現することと定義している。

 二人のいう「目的」は実は一つのものである。 成果とは顧客にもたらす効用・価値、そして会社にとっての利益という二重の意味がある。 そして事業は、将来の投資に必要な資金をまかなえる十分な利益を出すことが存続の条件となる。

 経営とは、社会に価値を提供する(成果をあげる)ために機会を最大化し、自社の強み・卓越性を発揮させることである。 自社の強み・卓越性の源泉は、人・設備・資金・情報を使いこなし、顧客の効用と満足を実現する「知識」である。 知識だけが、自社の商品やサービスに市場の優位性を与えてくれる。

 知識は人間の頭脳と技能の中にだけ存在し、事業の外部すなわち顧客、市場、最終用途に貢献してはじめて有効となる。 したがって事業にとっての最大の課題は、わが社の卓越した知識や技能のどこに焦点をあて、市場での経済価値に転換するプロセスをいかに実現し、効果的に組織化するか、ということになる。

 これからは、経営者も従業員もどのように顧客ニーズをとらえ、組織のいかなる強みを発揮して顧客価値に結びつけるかを、常に仕事の中心に据える必要がある。

 そのために経営者がまずやらねばならないことは、社会にどのような新たな価値を提供するかという事業のミッション・使命を明確に掲げ、組織としての将来ビジョンを共有することである。
 そして事業の具体的な目標を設定し、戦略・方法を組み立て、その達成に向けて経営資源を配分し、成果を生む活動に人材と資金を集中するマネジメントに全力をあげることである。

 組織全体の目標が示され、仕事のプロセスにおける場と役割が与えられ、評価基準が示されることで、人は組織の責任を担い、仕事の課題を理解し、目標を設定し、動機を集中して成果を上げることができる。 組織への貢献を実感し、成長への意欲を持つことができるようになる。

 経営者や管理者は、働く人々一人ひとりを人材として理解し、組織に参画させ、個々の強みを発揮させることでしか、組織の卓越性を実現できない。 外部に対する卓越性を発揮できなければ企業は社会的責任を果たせない。

 人事担当者がなすべきことは、すべての管理者に向かって組織の成果を上げる「目標」と「仕事」を体系的に用意し、その仕事の機会・要求に合わせて人材の強みを発揮させるよう強く働きかけ、マネジメントを支援することである。 このような人と仕事の組織化や人材活用・動機づけを促進し、働きに応じた適正な報酬を用意することこそ、人事管理が果たすべき基本的な機能である。

 人事担当者は、経営目的の成否に大きくかかわる「陰の右腕」として、組織と働く人の現在そして将来について責任を果たさねばならない。

 

「プライムブックレット巻頭言」は、プライムコンサルタントが主宰する「成果人事研究会」の研究会資料「プライムブックレット」の内容の一部をご紹介するものです。

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