ワールド・カフェ(対話集会)で会社の課題を全社員が共有―人事制度改定を士気向上につなげる
ぬるま湯的な組織風土に風穴をあける!
「対話」が会社と社員の関係性によい変化をもたらした
- 会社名
- T社
- 業種
- 特殊金型製造販売
- 社員数
- 正社員20名
- 売上高
- 約1.8億円
概要
T社は1980年創業の従業員20人の特殊金型メーカーです。丁寧な加工技術を売り物に堅実経営を進めてきましたが、リーマンショック以降、取引先の海外移転が加速し、この数年は賃上げの凍結を余儀なくされてきました。
同社は3年前に創業者の子息に事業承継が行われ、新社長が危機感を持って営業活動を進めてきた結果、現場に少しずつ繁忙感が戻ってきました。若手を中心に賃上げの期待感が高まる中で、ぬるま湯的な組織風土に風穴をあける全員参加の対話集会を開催したうえで、評価基準のあいまいな年功賃金の仕組みを改善する作業に着手しました。
背景と課題
新社長は自ら第一線の営業活動や金型設計に関わるだけでなく、厳しい収益の中で設備投資を進め、総務担当取締役とともに現場の士気を高めるための「クレド」づくりや、社員持ちまわりで行う毎朝の3分間スピーチ、5S 等にも積極的に取り組んできました。
ただ社長や取締役に責任が集中する中で、社員のほうは管理職も含めて依存心や受け身な姿勢が目立ち、社長としてはもの足りなさや信頼感の不足を感じていました。 このような偏った組織風土を改善するために、人事制度の改定に先だって社員のヤル気を引き出し、態度変容を促す組織開発の取り組みを進めることになったものです。
コンサルティングの内容
まず、担当コンサルタントが社員に一人ずつヒアリングし、相互の信頼関係を作るところからスタートしました。実際に丁寧に話を聞いてみると、大多数の社員は仕事の働きがいやよりよい人間関係を望んでおり、会社とともに職業人として成長していきたいという真摯で前向きな気持ちを持っていることが分かりました。
さっそく社長・総務部長と相談し、思い切って全員参加の対話集会を開催し、問題意識を共有してみようということになりました。具体的には、「ワールド・カフェ」という手法を使って、半日、ヒアリング内容を報告しながら、社員が望む仕事のあり方や、会社の目指す方向性を小グループに分かれて話し合い、素直に本音で発表・意見交換を繰り返していきました。
対話集会は大いに盛り上がりました。終わってみての感想は「普段話せない人たちと本音で語りあうことができて、とても面白かった」「このような対話が必要だということがよく分かった。これからも是非続けて欲しい」「自分達にも何かできそうだ、やらねばと感じた」というものでした。
成果
対話集会を境に、社員の姿勢に少しずつ変化が起きてきました。これまでのように会社の決めごとや取り組みを「人ごと」のようにとらえる雰囲気から、「自分達のこと」としてとらえようという機運が高まり、会議や打ち合わせでも積極的な発言が増えたように感じられます。
社長と取締役は社員との関係性がよりよい方向に変わりつつあることが実感でき、自信を持って人事制度の改定作業を進めることができました。同社では、これからもさまざまな機会をとらえて、社員とのよりよい対話を実現するように意識的に取り組んでいこうとしています。
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