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実態分析と管理職全員の対話から人事制度改革のビジョンを描く

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実態分析と管理職全員の対話から人事制度改革のビジョンを描く

明治創業老舗メーカーの人材活用ビジョンを描く!
管理職全員が共有化し相互連帯感が生まれる

会社名
I社
業種
塗料製造業
社員数
100名
売上高
約40億円

概要

 I 社は明治初期に創業した塗料の老舗メーカーで、建築外装用から室内調度品用まで多種・多様な製品を製造販売しています。本社(営業、開発を含む)は関西の都市部ですが、製造は流通コストを抑えるために全国3カ所の地方工場に分散させています。 

背景と課題

 同社は、幅広い技術対応力と高品質を強みとして順調に成長してきましたが、近年、安価な輸入品の影響で受注量と利幅が減って業績が低迷してきました。社員の高齢化とともに人件費負担が増してきたため、この数年は意識的に昇給抑制を続けてきました。結果、若手社員は昇給期待が持てずに不安を感じるという問題が起きていました。

 5年前に事業を継いだ現社長は、経営の安全性を確保し、人材の活力を引き出すには人事制度の抜本改革が不可欠だと考えるようになりました。社長自身にも改革ビジョンはありましたが、焦点をはっきりさせるために、当社に現行制度の問題点と改善点の診断報告を依頼されました。また、現場の管理者が共感できる人事制度改革にするために、「人材活用のビジョン」を管理職全員と一緒に検討することにしました。

診断・分析の内容

 まず、現行制度の実態を、資料と関係者ヒアリングで詳しく把握しました。各人別の賃金・賞与データや過去5年間の損益、人員推移のデータも提供してもらい、多角的な分析を行いました。

<分析の観点>
1.収益・費用の傾向
2.人員構成、退職者の傾向
3.賃金・賞与の分布(年齢、役職、部門)
4.賃金・賞与の世間相場比較
5.評価と報酬の関係

 分析の結果、収益・費用面からは、リーマンショック後の付加価値の減少を徹底した経費節減によってしのいできたことが確認できました。ただ、これ以上の業務効率化の余地は乏しく、今後は年功的に上昇する人件費が経営を圧迫しかねない状況であることが浮かび上がりました。人員面からは、部門別人数はほぼ一定ですが、開発部の若手の定着率が他部門より際立って低いことが分かりました。

 賃金・賞与面からは、全社的に人事評価と報酬の関係が薄いことに加え、地方工場の年収額が地域水準よりかなり高いことがわかりました。分析結果を総合すると、限られた人件費原資を有効活用して競争を勝ち抜くには、賃金の地域差を活かすこと、報酬と貢献の関係を明確にして「若手に希望を与え、ベテランに実力発揮を促す」ことが課題であることがわかりました。

 「人材活用のビジョン」の検討にあたっては、全員の思いを引き出すホールシステム・アプローチ※による対話手法を活用しました。ありがちな「トップ案の吟味」という方法では、心の底から共感できるものは得にくいと考えたからです。全国から管理職が集まり、リラックスした会場の雰囲気の中で、「どんな発言も肯定的に受けとめる」という対話のルールを確認し、日頃感じていることを正直に話してもらいました。

 当社がファシリテーターとして対話を進め、みなさんの意見を組み合わせた結果、

 ・各社員の役割責任と期待する働きを明確にした上で人事評価を行い、処遇面での実力反映のウェイトを高める
 ・新たな役割を任せるための教育や、評価時の積極的な承認など、「社員の思い」を尊重してモチベーションとつながる人材マネジメントを行う

 というビジョンが浮かび上がりました。

 このビジョンは、社長が予め描いていたものとほぼ同じで、管理職も同じ考え方をしていることが確認できました。結果としては「トップ案」と同じものが得られましたが、管理職全員が当事者となって自分達で描いた「共有ビジョン」となりました。閉会時、全員が「やってよかった」「楽しかった」「今後もこういう場を持ちたい」と口々に発言されていたことが、対話集会のパワーを物語っていました。

成果

 現状の詳細分析・診断と、管理職全員でビジョンを話し合った結果、貴重な成果が得られました。

 ・I 社固有の問題とその原因がはっきりわかり、制度改革の焦点が明確になったこと。
 ・管理職全員が共有・共感できる人材活用ビジョンが得られ、同時に、人材活用の当事者としての自覚と相互の連帯感が育まれたこと。

 その後、共有したビジョンに基づき、役割責任を軸にした人事制度づくりを当社がお手伝いしました。評価制度は、現場の管理職が普段から「評価したい・評価に値する」と考えていたことを話し合い、肌感覚にあう基準を作って全社員に公開しました。管理職が制度づくりにコミットされた効果もあって、改革の精神を忘れないスムーズな運用が続いています。

 新しい評価基準は、「わが社の望ましい人材像」を表しており、社員の成長の道しるべとして活用されています。

※ホールシステム・アプローチ・・・組織や役職の垣根を越えてできるだけ多くの関係者が一緒になって、直面する課題や望ましい未来について集合的に話し合ったり、行動を起こしたりする手法。 

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