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Unit 12: パートタイム社員の就業実態と課題-駆け出しコンサルタントの学習成長ブログ(人事管理・労働経済編)

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Unit 12: パートタイム社員の就業実態と課題-駆け出しコンサルタントの学習成長ブログ(人事管理・労働経済編)
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みなさんこんにちは。人事コンサルタント(社会保険労務士・中小企業診断士)の古川賢治です。

前回は「労使関係・労使コミュニケーション」について学習しました。
今回は、「パートタイム社員の就業実態と課題」と題し、パートタイム社員として働く人の数やパートタイム労働を選択した理由などについて学習します。また、身近な話題である「103万円の壁」など就業調整にも簡単に触れます。いわゆる非正規社員の中でも最大の数を誇るパートタイム社員。大きく社会全体の労働力にも関わる今回のテーマについて一緒に考えていきましょう。

パートタイム社員の就業実態

パートタイム社員の数

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今回は、パートタイム社員の就業実態と課題について学習します。突然ですが、パートタイム社員として働いている人数はどれくらいか知っていますか?なお、ここで言うパートタイム社員には、いわゆるアルバイトも含みます。

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第8回の図表1で学んだように、いわゆる非正規として働く人たちの約70%をパートタイム社員が占めていることから、1,400万人くらいでしょうか?

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そうですね。総務省が公表している「2017年労働力調査(詳細集計)」によると、パート・アルバイトとして働く人の数は1,414万人となっています。

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同調査によると、役員を除く雇用者は5,460万人となっています。つまり、パートタイム社員は雇用者全体の25.9%を占めているのですね。

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そのとおりです。そして、雇用者に占めるパートタイム社員の比率を産業別に見てみると、産業によってかなり違いがあることが分かります。次の図表1を見てみましょう。

図表1 産業別パートタイム社員数・比率
産業 パートタイム社員数(万人) パートタイム社員比率(%)
卸売・小売業 376 41.1
医療・福祉 224 29.2
宿泊・飲食サービス業 219 67.4
製造業 140 14.7
サービス業 110 30.6
生活関連サービス・娯楽業 77 45.3
教育・学習支援業 56 19.7
運輸・郵便業 54 17.1
建設業 30 8.8
不動産・物品賃貸業 21 23.9

資料:総務省「2017年労働力調査(詳細集計)」より作成

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これを見ると、パートタイム社員の数では、卸売・小売業が376万人と最も多いのですね。また、産業別雇用者総数(役員除く)に占める比率では、宿泊、飲食サービス業が67.4%と最も高いのですね。

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はい。産業によっては、労働力の大部分をパートタイム社員に頼っている場合もあります。例えば、あるファミリーレストランにおいて、パートタイム社員の活用率を調査したことがあるのですが、曜日によっては、正社員が1人もいない中、パートタイム社員だけで店舗を運営しているということもありました。

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確かに、そのようなケースは少なくないと思います。数年前、ある飲食チェーン店で全国的に実施されていた「ワンオペ(ワン・オペレーション)」と呼ばれる店舗運営の手法が話題となりました。時間帯によっては、アルバイト社員1人に店舗運営の全業務を任せていたということですが、これが過重労働の問題につながるという指摘を受けました。

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業態によっては、パート・アルバイト社員がいないと、もはや仕事が回らないという企業もあります。パート・アルバイト社員が雇用者全体の25.9%を占めている、つまり日本の労働力の約4分の1を担っている※と考えると、それは当然のことかもしれません。

※日本の統計では、パートタイム社員比率を算出する際、労働者数だけを見ています。しかし、パートタイム社員の労働力を正確に測定しようとするならば、労働時間を考慮して算出することが望ましいと考えられます。実際に海外の統計では、パートタイム社員の労働時間が短いことを考慮して、「パートタイム社員2人=フルタイム社員1人」などのように計算されています。

労働者数に基づく計算 労働者3人。そのうち、パートタイム社員1人、フルタイム社員2人 →パートタイム比率33.3%(1/3)
労働時間に基づく計算 労働者数は上記と同じ。1日の労働時間は、パートタイム社員は4時間、フルタイム社員は計16時間(8時間×2人)→パートタイム比率20%(4/20)
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パートタイム社員として働く人たちは相当数いるということですね。ところで、パートタイム社員にはどのような人たちが多いのでしょうか?

パートタイム社員として働く人々

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前述のとおり、パートタイム社員として働く人の数は1,414万人ですが、性別で見るとそのうちの324万人が男性、1,090万人が女性となっていて、パートタイム社員には女性が圧倒的に多いことが分かります。

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なるほど。では、働く理由についてはどうでしょうか?パートタイム労働を選択した理由などが分かれば教えてください。

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それについては、次の図表2を見てみましょう。これは、厚生労働省が実施している「パートタイム労働者総合実態調査」により得られた、パートタイム労働を選択した理由に関する個人の回答結果(複数回答)です。

図表2 パートタイム労働を選んだ理由
パートタイム労働を選んだ理由

資料:厚生労働省「2016年パートタイム労働者総合実態調査」より

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これを見ると、全体では「自分の都合の良い時間(日)に働きたいから」が57.0%と最も高い割合となっていて、次いで「勤務時間・日数が短いから」が39.4%、「就業調整(年収や労働時間の調整)ができるから」が20.2%となっています。男女別に見ると、女性では「家庭の事情(育児・介護等)で正社員として働けないから」が21.7%と男性に比べて高い割合となっています。

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最も高い割合の「自分の都合の良い時間(日)に働きたいから」という理由は、逆に言うと、就業時間(日)に制約がある何かしらの事情を抱えているとも読み取れます。また、前述のパートタイム社員には女性が多いという要素と併せて考えると、パートタイム社員として働く人の姿としては、例えば、家庭を抱える主婦パートのような方が多いのではないかと推測されます。

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なるほど。「就業調整(年収や労働時間の調整)ができるから」という理由の「就業調整」とは、一体なんなのでしょうか?

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良い質問ですね。それについては、この後でお伝えするパートタイム労働が抱える課題ととともに説明しますね。

パートタイム労働が抱える課題

就業調整

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日本の税・社会保険制度※においては、所得税の課税/非課税や社会保険料の扶養/非扶養の判定に関して、一定の年収要件が存在します。例えば、年収103万円、106万円、130万円などの基準があり、これらを超えると、所得税や社会保険料の支払いが必要になってきます。

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「103万円の壁」などと言われているものですね、私も聞いたことがあります。

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そうです。逆に言うと、これらの壁を超えない限りは、パートタイムで働いていても、所得税や社会保険料を支払う必要はありません。税や保険料の支払いが必要になると、給与の手取り額が減るということにつながりますので、働く側(生活者)には"手取り額を減らしたくない"という気持ちが当然生まれます。そのため、年収要件の「壁」に到達しないよう働く時間を調整することで、年収を一定金額以内に抑制するという行動が生まれます。これを一般に、就業調整と呼んでいるのです。

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そうだったのですか。制度がそうなっている以上は仕方ないとも思いますが、何か問題等はあるのでしょうか?

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はい。特に最近では、この就業調整に伴う「壁」が女性の労働参加を阻害する要因になっているのではないかという問題が指摘されています。少子高齢・人口減少社会の日本ではこの先、労働力人口が減少していくと予想されていますが、それを少しでも食い止めるためにも、特に女性・高齢者の労働参加が重要だと訴えられています。

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しかし、それを阻む要因の1つとして、「壁」の存在が指摘されているのですね。

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はい。それを受け、税法改正により2018年以降は配偶者控除の壁を103万円から150万円まで拡大するなどの対策が実施されています。しかし、これらの動きが働き手の実際の行動にどのような変化を与えるかについては、これから先になってみないと分かりません。

均衡待遇

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それから、パートタイム労働にまつわる問題として、同じ企業内で働く正社員との賃金格差も指摘されています。これについては、パートタイム社員だけでなく、有期契約社員や派遣社員などを含めたいわゆる非正規社員と正社員との間の賃金格差を是正する目的で、「同一労働同一賃金」が働き方改革関連法の1つとして2020年4月(中小企業は2021年4月)から施行されます。

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現状では、非正規社員と正社員の間で賃金等を含めた労働条件がバランスを欠いているため、これを是正して両者の「均衡待遇」を実現しようという狙いですね。

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はい。パートタイム労働に関する今後の大きな課題は、①税・社会保険制度に存在する壁を克服し、女性のさらなる労働参加を促すこと、②正社員と比較してバランスの取れた均衡待遇を実現すること、の2つだと考えています。

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そのために、パートタイム/フルタイムや有期契約/無期契約などの雇用形態に関わらず、働き手の1人ひとりがどのように行動していくべきかを考えなければいけませんね。法改正や現状の制度の形を変えることも重要かもしれませんが、どのような働き方が社会にとって望ましいかについて、私たち1人ひとりが考えることも大切であるような気がします。教授、本日はありがとうございました。

今回の連載内容は、2017年4月11日の講義を参考に執筆しました。
東京労働大学講座「パート・アルバイト社員の基幹化と均衡待遇」(本田一成 國學院大學経済学部教授)

※東京労働大学講座は、独立行政法人労働政策研究・研修機構が毎年度開催している、労働問題に関する知識の普及や理解の促進を目的とした講座です。今年度で66回目を数え、これまでの修了者は27,000人を超える歴史と伝統を誇る講座です(2018年1月時点)。

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