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ブラック企業問題と企業を取り巻く環境の変化ー2ー

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ブラック企業問題と企業を取り巻く環境の変化ー2ー

ブラック企業問題と企業を取り巻く環境の変化(2)

 皆さんこんにちは。コンサルタント・社会保険労務士の津留慶幸です。

 最近、「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」の話題がマスコミで取り上げられていますが、ご存知でしょうか。
 公表されている内容によると「一定の年収要件を満たし、職務の範囲が明確で高度な能力を有する労働者に限り、働く時間を自己裁量に任せる労働時間の規制を適用しない(残業代は不要)」というものです。

 この「一定の年収要件」について、「少なくとも1千万円以上」とするとの報道がありましたが、労使の意見は対立しているようです。
 具体的にどのような結論になるのかは今後の推移を見守る必要があります。

 また、労働者側は「ホワイトカラー・エグゼンプション」を導入する前に過労死対策をすべきであると主張しています。
 「ホワイトカラー・エグゼンプション」自体は労働時間と残業代の関係を変えるということですが、そこにはどうしても長時間・過重労働や過労(過労死・過労自殺)の問題がついて回ります。

 今回と次回はこの「長時間・過重労働問題」について話していきたいと思います。

2.長時間・過重労働問題

 「長時間労働」とよく言いますが、そもそもいったいどれくらい働いたら「長時間」なのでしょうか。
 実は、労働時間に関する規制、ルール、目安はさまざまなもので定められています。

 長時間労働・過重労働問題とその対策を考えるためには、まず、労働時間が法律や各種ルールでどのように定められているのかを正しく知る必要があります。
 今回は押さえておきたい代表的なものをご紹介します。

(1)労働基準法と36協定

 労働基準法では、労働時間は原則1日8時間・週40時間と定められています。
 ただし、一定の条件を満たせば時間外労働をさせてもよいとされています。

 この一定の条件の代表的なものが「36(サブロク)協定」と呼ばれるものです。
 ご存知の方も多いでしょうし知っている人にとっては当たり前のことですが、36協定という言葉を初めて聞いたとか、言葉は知っているけど詳しいことはわからないという経営者、人事担当者の方は注意が必要です。

 36協定とは簡単に言うと、「労働基準法の原則の労働時間を超えて働いてもらいたい(会社)」→「働いてもいいですよ(従業員の代表者)」という約束を書面で交わし、労働基準監督署に届け出るというものです。

 この36協定を締結し、届け出て初めて残業や休日勤務をさせることができます(この他にも就業規則等に残業や休日勤務があることを記載しておく必要があります)。
 逆に言うと、この36協定がきちんと締結されていなかったり、届け出がされていない場合は残業をさせることはできません。

 また、この36協定の有効期限は原則1年ですので、過去に1回締結して届け出たが、その後は何もしていないという会社は現状を急いで確認してください。

(2)36協定の限度基準と例外

 適切に労使協定が締結・届け出されている会社はひとまず安心ですが、この36協定があれば何時間でも残業させてよいわけではなく、次のように限度基準が定められています。

 このうち、1カ月45時間、1年間360時間という数字を是非覚えておいてください。

 なお、この限度基準には2つの例外があります。
 1つは、そもそも限度基準が適用されない仕事・職種です。
 建設業や自動車の運転業務、新技術の研究開発等には、上のような協定上の時間制限はありません。

 2つめは、「特別条項付き36協定」を締結している場合です。
 通常は上表の時間が限度ですが、この特別条項を付ければ受注が集中してどうしても残業時間が増えるなど、「特別な事情」がある場合は、限度時間を超えて働かせてもよいとされています。

 ただし、特別な事情とは臨時的かつ具体的なものに限られ、適用する期間も1年の半分を超えないようにしなければなりません。

(3)過重労働・健康障害防止に関する基準

 「特別条項」は仕事・職種の制限がないので、「わが社は特別条項付き36協定を締結し届け出ているから、これで従業員を何時間残業させても問題ない!」と思われがちですが、そうではありません。
 度を超えた残業は従業員の健康管理の面で問題になる恐れがありますので安易に考えないでください。

 健康管理に関する問題として昔からよく話題に上るのが「過労(過労死・過労自殺)」です。
 加えて、最近では「メンタルヘス(精神疾患)」に関するトラブルも非常に増えています。

 会社が長時間・過重労働をさせた結果、従業員に健康障害が起きた場合、労災になりますし会社の責任も問われかねません。

 そこで、次に過重労働・健康障害防止のためにどのような基準が定められているのかを確認したいと思います。

 過重労働による健康障害の代表的なものとして、脳梗塞や心筋梗塞などの脳・心疾患があげられます。
 脳・心疾患が加齢や生活環境など業務以外の要因によるものか、「業務による明らかな過重負荷」によるものかを判断し認定するための基準が設けられています。

 この基準の中には「異常なできごと」「短期間の過重業務」「長期間の過重業務」という3つの認定要件がありますが、特に、「長期間の過重業務」について次のような目安が定められています。

 特に覚えておいて欲しいのは、発症前1カ月間に100時間または2~6カ月の平均で月80時間という数字です。

 また、この他に、「精神的負荷による精神障害の認定基準」というものがあり、こちらにも労働時間の目安が示されています。少し複雑な仕組みですので、以下に目安となる時間のみを挙げておきます。

 ここまで、労働時間・残業時間に関する代表的な基準を紹介してきました。
 1カ月の残業時間としては、45時間、80時間、100時間、160時間という数字が出てきましたが、皆さんの会社の残業時間と比べていかがでしょうか。

 冒頭に、『そもそもいったいどれくらい働いたら「長時間」なのでしょうか。』と書きましたが、これらが国が定めている基準です。
 もしかしたら、皆さんが「普通」と思っている残業時間は「長時間」に当たるかもしれませんね。

 この基準を超えたからといって直ちに罰せられるわけではありませんが、万が一事故が起きたり従業員とトラブルになった場合、今回ご紹介した基準をもとに判断されることもありますので注意してください。

 次回も引き続き長時間・過重労働問題について、トラブル・裁判になった事例や会社はどのような対策から取り組めばよいのかをご紹介していきたいと思います。

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