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創業当時から「24時間365日対応」お客様第一を貫き、下請け体質から脱却ー3ー

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創業当時から「24時間365日対応」お客様第一を貫き、下請け体質から脱却ー3ー

 前回は、1990年代から続く「環境整備(徹底した事務所の整理整頓)」とともに、同社の「経営計画書」についてお伝えしました。今回は、細矢社長が大切にしている「もやい精神」と、同社が経営理念に掲げる「人間尊重」の真髄に迫ります。具体的な人材育成プログラムも紹介していますので、ぜひ参考になさってください。(編集部)

フィデス株式会社の工夫(3)

ワーク・ライフ・バランスは生産性向上あってこそ

 「会社の自慢できるところは?」と尋ねると、細矢社長は「まじめなところ」と答えてくれました。創業以来、大きな事故なく、不祥事もなく、お客様第一の精神を片時も忘れることなく邁進してきたフィデス。「たとえクレームを受けることがあっても逃げずに対処してきました。社員も皆、真面目なんです」

 やがて念願だった下請けからの脱却を果たし、社員のモチベーションは一層高まりました。しかし経営改善の余地はまだ残っているといいます。その1つが、ワーク・ライフ・バランスの徹底です。

 「しっかり休みがとれる」「福利厚生が充実している」との評価で採用も順調。それでも、設備工事という業務の性質上、内勤の社員と現場で働く社員とで労働時間の差が大きいと細矢社長。「それでもチャレンジしていかないといけません」。ワーク・ライフ・バランスは会社の安定成長には欠かせないものでもあるからです。

 そこで細矢社長が掲げた方針がユニークでした。「付き合いの悪い現場担当者になる」。いったいどういうことでしょう?
 「この業界の労働時間が長くなる理由の1つに、私たちにとっては無意味な打ち合わせが多いというのがあります。特段われわれが発言を求められない打ち合わせにも参加しなければならず、いつも現場にいないといけない。

 でもこれからは『付き合いの悪い現場担当者』でいいと思っているんです(笑)。昨年は電通の過労死事件もありました。世の中、ワーク・ライフ・バランスを本気で考える時期がきていると思うのです」

 しかし、ただ労働時間を短くするのでは、生産性を落とし、経営を危うくするだけ。また「お客様第一主義」という創業以来の精神も揺らぐ恐れがあります。そこは、社員一人ひとりが成長し、むしろ生産性を向上させる努力が不可欠ではないでしょうか。

 就任当時から細矢社長は「もやいの精神」を掲げています。
 もやいとは、ロープのむすび方の1つ。この言葉には、漁師町育ちの細矢社長ならではの思い入れがあります。漁師たちの絆は非常に強いもの。普段はライバル同士でも、誰かがトラブルに巻き込まれると、操業をやめて救助しにいきます。困ったときには助け合う。それが漁師に伝わる「もやいの精神」であるそうです。

 企業にも「もやいの精神」が必要だと、細矢社長の言葉に力がこもります。

 「ワーク・ライフ・バランスといっても、社員を甘やかすものではありません。生産性向上のためにはお互いの切磋琢磨が絶対に必要で、なおかつ困ったときは皆で助け合わなければならないのです。

 その意味では、ワーク・ライフ・バランスが勘違いされるのは怖いですね。5時になったら帰っていい、という話ではない。そのとき、仕事が残っている社員に『何か手伝うことありませんか』と一言言えるような会社こそ、いい会社であり、ひいてはワーク・ライフ・バランスを実現できる会社になるのだと思います。いい会社とは、社員みんなで作り上げていくことだと思います。」

ドイツでも垣間みた「人間尊重」の経営

 ワーク・ライフ・バランスの実現には、生産性の向上が大前提。それには、人材育成と適正な評価も重要なポイントです。フィデスの経営理念に「人間尊重」という言葉が掲げられているのも、そこに理由がありました。
 「意欲と意志に満ちて働ける社内環境を創り、成果に見合った正当な報酬を配分すること」。そのような環境をつくるため、どんな施策に取り組んでいるのでしょうか。

 人材育成の施策としては、社員1人ひとりのスキルの棚卸しをサポートしながら、資格の取得を支援しています。

 目下の目標は、毎年1人1つの資格取得にチャレンジすること。現在は「施工管理技士」の資格取得を推奨しており、毎年5人前後の合格者を出しています。仕事が忙しくなるとつい勉強が後回しになりそうなものですが、高校を卒業したばかりの若い社員たちが次々資格を取得していく姿を見て、まわりの先輩社員たちも刺激を受けているとか。資格取得に際しての費用は全額会社負担、見事合格すれば、全社員の前で表彰します。

 人事評価においては、目標管理制度を導入しています。社員が掲げた目標に対し、どこまで実現できたか、実現できなかったのはどこか、上司が面談してフィードバックします。「苦い経験を思い出すことあり。『なんでこんな評価なんですか?』と社員に泣かれこともありますし、日が変わるまで5時間も面談したこともあります。厳しいですよね。でもこうしないと生産性向上、労働時間短縮にはつながらない」。

 表彰制度も、社員の頑張りに評価する機会をつくるもの。社員自身の推薦によって、年間200名を表彰するのを目標と定めています。

 こうして社内環境の整備に力を入れていることが、冒頭触れたように、採用面でも好影響をもたらしています。加えると「2年に一度の海外研修」も、入社希望者には魅力的に映っているようです。細矢社長自身にとっても海外研修は思い出深いもの。「1999年にアメリカの同規模の同業者を視察にいったんですね。

 すると工事の仕方から何から、まるきり違いました。特に元請け・下請けの区別がなかったのは、目からウロコ。工事のマネジメントをする人間はいても、それ以外の皆は横並びの関係で上下がありませんでした。そのあと、『こんなふうにしたいな』と会長と語り合ったことが、フィデスの『脱下請け』のきっかけになっています」

 直近の海外研修では、ドイツを訪れました。この国でも、細矢社長は、将来のフィデスを考えるヒントを発見してきたようです。
 「金曜日にエレベーターに乗ったところ、添乗員が『エレベーターの緊急ボタンを押さないでくれ』というんです。なぜかと聞いたら『週末は業者が休み。月曜日まで脱出できなくなりますよ』(笑)。

 確かに週末はスーパーも閉まっていました。つまりドイツでは、消費者の都合より働く側の都合が優先されている。それは視察先の企業でも同様で、残業はほぼしないんです。規定を超えて残業させようものなら、会社が罰されてしまう。そのぐらい、時間に対する意識が日本とは全然違うんですね」

 もう1つの発見は、自分たちのサービスに対する「誇り」でした。
 「ドイツは技術の国。『アウトバーンで急ブレーキをかけたら、世界のトヨタ車だって壊れてしまう。ドイツ車は絶対そんなことはない。決して、ドイツ人は安売りしない、それは自分たちの技術に対する冒涜だ」と言っていました。同じことを全部真似できるとは思いません。

 しかし、少しずつフィデスでも実践していきたいと思っています』。

 ワーク・ライフ・バランスの充実による人間尊重の経営。そして創業以来の伝統であるお客様第一主義の経営。フィデスが追求する「いい会社」は、その2つが重なるところにあるのでしょう。

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