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「ハイパフォーマー」の意味の再定義(ブックレット37号巻頭言)

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「ハイパフォーマー」の意味の再定義(ブックレット37号巻頭言)

株式会社プライムコンサルタント代表  菊谷寛之
(2013年2月19日,21日開催・春季定例研究会ブックレット「はじめに」より)

人材マネジメントを展望する(5)

 欧米企業では従来、「仕事」中心の組織・人材マネジメントが広く行われてきたが、近年は「人」に対する取り組みも大きく進展しているようだ。

 1990年頃から、個人の能力を「コンピテンシー」を使って客観的に評価し、人と仕事のマッチングを高める取り組みが始まった。

 時を同じくして、組織的な知恵(集合知)の力を引きだし、これまで対処することが難しかった組織内の対立や葛藤を克服して、問題を全体的に解決する「組織学習」の実践的な手法が広がってきた。

 経済・社会のグローバル化が加速し、事業活動が複雑化して、一部のマネジメント人材に頼る機械論的な経営が限界に達したことが背景にある。
 知識・サービス労働の比重が高まり、チームやプロジェクトでの仕事が増える中で、変化に適応するためには人々の自発的な意思や創造性、柔軟な連携が大事になってきた。

 コンピテンシーは、安定的に高い業績を上げ続ける人材(ハイパフォーマー)に注目し、仕事や役割に期待される成果を上げるうえで特に重要な決め手となる思考・行動特性を職種や職位ごとに把握するもの。

 採用や人事配置、報酬などの評価にとどまらず、近年は経営人材の能力開発にも活用され始めた。

 そこでは個人の価値観やキャリア意識にまで光を当て、仕事や役割の中で、より高次元の適性を発揮するにはどんな個人の強み(コンピテンス)を伸ばしていけばよいか、そのためにはどんな仕事の経験や育成の機会にチャレンジすべきかが真剣に話し合われる。

 コンピテンシーが「個人」の強みに着目するのに対して、P・センゲの「組織学習」は、人間とその集団が本来持っている本源的な能動(生命力)と、その相乗的なエネルギーの可能性に焦点を当てる。

 組織内のあらゆるレベルで人々の決意や信念、学習する能力を引きだし、システム思考や傾聴と対話の実践を通して、これまでの「ものの見方」を変えていく。
 複雑な現実に対処する新たなビジョンを共有し、組織の目的を達成する能力を効果的に伸ばし続け、人々が心から望む未来を創造する。

 現代は組織の時代である。
 われわれは、一人ひとりの力ではなしえない大きな仕事を達成するために組織を作ってきた。
 知恵を集め、協力して生産的に仕事をすることで、個人の限界を大きく乗り越え、経済的な成功を収めてきた。

 皮肉なことに、組織への依存は人々を無力にもする。
 いったん組織に盲点や亀裂が生じ、停滞や対立が起きると、個々には聡明で善良な人々が烏合の衆と化す。

 小さな物事に執着し、視野狭窄や思考の堂々めぐりに陥り、責任者は苦し紛れに誤った決定を重ねる。
 その結果、行き詰まり、自滅した組織の例は数えきれない。

 複雑化する社会の中で、組織が大きな物事を達成できるかどうかは、全体性を維持しながら現実に適応する組織の学習力に規定される。
 そして組織の学習力は、一人ひとりの志や学習能力に委ねざるを得ない。

 そうであれば、一人ひとりが本当に大切に思うことに真摯に向き合い、お互いを尊重することこそ、組織の最も大事な出発点となる。

 時間はかかっても、真摯な傾聴と対話を深め、ビジョンを共有する中で、複雑な現実に対処できる広い視野を獲得していくこと、組織全体として最適な思考・行動を選択し続けることにエネルギーを集中しなければならない。

 個人ベースで高業績人材を開発しても、所詮は小さな足し算の世界である。
 それよりも「一人ひとりの志と関係の質」を開発し、相互に能力を高めれば、組織独自の中核能力(コア・コンピタンス)は相乗的に強化される。

 それには持続可能な社会のニーズこそ機会ととらえ、人々が心から大切に思えるビジョンを共有することが不可欠だ。
 人々の自発的な思考や行動が自然に連携し、全体の高業績に結びつくハイパフォーマー集団を作るためには、粘り強い組織開発の取り組みが必要になる。

 

「プライムブックレット巻頭言」は、プライムコンサルタントが主宰する「成果人事研究会」の研究会資料「プライムブックレット」の内容の一部をご紹介 するものです。

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