子ども・子育て支援金制度とは
Q
私(単身者)は中小企業で35年働き、今年の4月に60歳の定年を迎えます。ねんきん定期便によると60歳で退職した場合、(年金受給開始は64歳からで)満額になる65歳からの年金見込額が月額約16万円となっていました。
私は今後、現在の会社で65歳さらに70歳まで働きたいと考えていますが、将来もらえる年金は増えるのでしょうか。なお、60歳定年以降の給与は月額24万円(通勤費等込み)で賞与等はありません。
A
政府は「人生100年時代構想」を掲げ70歳まで働ける社会の実現を目指しています。人手不足を補うとともに社会保障の担い手を増やす狙いがあります。
厚生年金は一定の条件の下で70歳まで加入しますが、今後は今回の質問者(以下Aさん)のように60歳、更には65歳を過ぎても働くことが当たり前の社会になりそうです。
Aさんの場合、60歳以降の厚生年金加入継続で年金がどのくらい増えるのか、また保険料負担と年金の増額の関係や繰下げ制度について考えてみましょう。
Aさんは60歳定年以降給与が減額になり、働いても年金は増えないので払った保険料に見合わないと先輩から聞いて心配しているようです。
本当にそうなのかAさんのケースで考えてみましょう。まず、保険料ですが厚生年金の料率は2017年9月に18.3%(労使折半)に固定されました。従って、月額24万円(標準報酬月額)の給与に対して厚生年金保険料は月額(24万円×18.3%=)4万3920円と計算できます。労使折半で負担するので、本人の給与から控除されるのは半額の2万1960円/月となります。
60歳から65歳まで給与が変動しないと仮定すると、5年間に本人が支払う厚生年金保険料の総額は、(21,960円×12ヶ月×5年=)131万7600円となります。
それでは、この保険料を5年間支払った結果、厚生年金はいくら増額になるでしょうか。少々複雑な計算になりますが、結果は次の通りです。
①報酬比例部分:74,585円(月額6,215円増) |
Aさんは60歳以降5年間働くことで、ねんきん定期便の見込み額から月額で約1万4千円増え、65歳から受取れる年金見込み月額は約17万4千円になります。
先ほど計算した5年間に支払った保険料を年金の増額分で割算してみると131万7600円÷(7万4585円+9万7500円)=7.6年。すなわち、年金を65歳から受給した場合72.6歳まで生きれば60歳以降65歳までに支払った本人分保険料の元が取れる計算です。度に加入している場合は、家族分も合算できます。75歳以上(後期高齢者医療制度)は75歳未満の家族との合算はできませんが、75歳以上どうしは合算ができます。

次に、65歳以降の5年間も年金をもらいながら同額の給与(月額24万円)で働いた場合を考えてみます。
実は、上記の年金額の計算で、①報酬比例部分は同様に増えますが、②経過的加算(注:差額加算ともいいます)部分は厚生年金の加入年数が40年(480月)までという条件があります。
例えば、高卒者などで60歳までに40年以上の厚生年金加入期間がある場合、増えるのは①報酬比例部分のみで、60歳以降働いても②経過的加算部分の増額はありません。
Aさんのケースは60歳時点で厚生年金加入35年と仮定して計算しています。Aさんは65歳で厚生年金加入期間が40年になるので、65歳以降に働く5年間については、納める保険料の計算は同じですが、年金の増額は①報酬比例部分の7万4585円(月額6215円増)のみとなり、②経過的加算部分の増額はありません。
従ってAさんが70歳から受け取る年金は65歳時点から月額で約6千円強の増額となり、約18万円程度と見込まれます。
ここまでの結論:60歳以降働く場合
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65歳以降も働いて収入を得る人が増加する中で、年金の繰下げ受給を検討する人が増えています。65歳から受け取る年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金の2階建て年金ですが、65歳から受け取らずに、66歳以降1ヶ月単位で最長70歳まで繰下げることができます。いずれの年金(基礎年金と厚生年金)も受給開始を70歳に遅らせれば、65歳時点の年金額の42%増になります。
Aさんが70歳まで働く場合、65歳から受け取る年金を70歳まで繰下げることで、70歳から受け取る年金額は月額25.4万円(下図)と試算できます。

70歳まで繰下げると、年金額が随分増えてお得な感じがしますが、65歳から70歳までに受け取れるはずだった年金の約1千万円を受給しなかった結果なので、年金の総受給額が逆転する損益分岐点は約82歳となります。
この他、加給年金と振替加算がつくご夫婦の年金繰下げでは注意すべき事項もあるので、年金事務所などでしっかり確認した上で年金を受け取り始める「受給開始年齢」を判断するとよいでしょう。
著者プロフィール
特定社会保険労務士/中小企業診断士。
東京都出身。東京大学理学部卒業後、富士通株式会社に入社。
コンピュータの基本OSの企画・開発に携わったのち、事業改革、人事労務管理、企業年金業務など幅広い分野を担当。平成17年に同社を退職し独立、米田経営労務研究所を開設。
現在は、経営全般・人事賃金制度・退職金制度設計を得意分野とし、「キラリと輝く会社づくり・人づくり」をモットーに中小企業のコンサルティングを中心に活動中。