子ども・子育て支援金制度とは
Q
新年度からパートなどの有期雇用者に対して契約期間の上限を設ける場合には、明示が必要になりました。
当社パートの業務はハードで高齢者には体力的に厳しいため、通算契約期間は5年以内とし、更新上限年齢も60歳までとしましたが、問題はありますか。
また、その上で、有期雇用者を募集する際には60歳未満の人に限定して募集するとした場合、年齢制限に抵触するのでしょうか?
A
法律の改正により、今年4月から有期労働契約を締結する際には、更新の有無とこれまでの判断基準に加え「更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容の明示」が義務化されました。
これまで、契約更新回数の上限を設定していなかった企業でも、更新の上限を設定する例が増えています。相談者の会社では、「通算契約期間は5年以内・・・」としたとのことですが、これは、通算契約期間が5年を超えると、労働者に無期雇用転換の権利が発生するため、これを防止したい意図があると考えられます。
以下では、60歳未満といった年齢を制限することについて、法的に問題があるか否かについて検討します。
まず、無期転換権が発生しないように有期契約期間の上限を通算5年とする件については、裁判でも、「使用者が5年を超えて労働者を雇用する意図がない場合に、当初から雇用上限を定めることが直ちに違法に当たるものではない(日本通運事件:東京地裁R2.10.1)」とした判例があります。更新の通算契約期間を5年と設定すること自体は有効と考えられます。
また、雇用している有期雇用者をいつ雇止めするかは、労働者の募集・採用などとは直接関係がありません。60歳以降は契約更新しない(雇止め)と就業規則等に規定することについても、違法にはならないと考えられます。
一方、高年齢者雇用安定法(以下、「高年法」)では「定年の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、①定年の引き上げ、②継続雇用制度、③定年の廃止、のいずれかを講じなければならない」(同法9条)と規定しています。
60歳を上限として契約更新しないとした場合、高年法の規定に照らして、問題にならないかといった疑問が生じると思います。その点、厚生労働省のQ&Aでは、「高年法9条は主として期間の定めのない労働者に対する継続雇用制度の導入等を求めるもので、有期労働契約のように、本来、年齢とは関係なく、一定の期間の経過により契約終了となるものは、別の問題と考えられる。」としています。
しかし、「有期労働契約であっても反復継続して契約を更新することが前提になっている場合には、期間の定めのない雇用とみなされることがある。これにより、定年の定めをしているものと解されることがあり、その場合には、65歳を下回る年齢に達した日以後は契約しない旨の定めは、高年法9条違反と解される。」とも記載されています。通算契約期間の上限を定めずに、契約更新を繰り返すようなケースでは問題になる場合があるので、契約更新の運用にあたっては注意が必要になります。

一方、新たに労働者を募集・採用する際には、労働施策推進法では「・・・労働者の募集及び採用について・・・、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。」(同法9条)と規定していて、年齢を制限して募集・採用することは原則としてできません。
ただし、これにはいくつかの例外があります。
有期雇用者に対して60歳を更新の上限と設定した上で、募集の際に、上記①の例外を適用して「60歳未満の者」とすることが可能かという点が問題になります。
この点に関して、厚生労働省のQ&Aでは、「高年法9条の例外事項の上記①でいう定年とは、期間の定めのない労働者の雇止め年齢を指すため、有期契約労働者の募集において就業規則に基づく年齢制限を行った場合は、同法違反になります。」と回答しています。
つまり、前述したとおり、有期雇用者の契約更新の上限年齢を60歳とすることは可能ですが、募集・採用の際、60歳未満に限定することは認められないという解釈になります。
実務上は、例えば60歳超の労働者が応募してきた場合、採用した上で、更新年齢の上限に達していることを理由に次回の契約更新は行わないとする扱いは可能と考えられます。さらに、企業には、契約の自由、採用の自由があるとされているので、60歳超で応募してきた者に対し、年齢だけを理由に不採用を決めることには問題が残るでしょうが、総合的に判断して不採用とすることは可能で、不採用の理由を開示する義務もありません。
現行法や厚生労働省のQ&Aの回答内容から、パートなどの有期雇用者について「通算契約期間は5年まで、かつ更新上限は60歳まで」とすることは可能である一方、「60歳未満の人に限定して募集・採用する」といった扱いはできないという結論になります。

著者プロフィール
特定社会保険労務士/中小企業診断士。
東京都出身。東京大学理学部卒業後、富士通株式会社に入社。
コンピュータの基本OSの企画・開発に携わったのち、事業改革、人事労務管理、企業年金業務など幅広い分野を担当。平成17年に同社を退職し独立、米田経営労務研究所を開設。
現在は、経営全般・人事賃金制度・退職金制度設計を得意分野とし、「キラリと輝く会社づくり・人づくり」をモットーに中小企業のコンサルティングを中心に活動中。