子ども・子育て支援金制度とは
Q
会社事業所の移転があり、二名の社員から、通勤することが困難になったとの理由で「退職届」が提出されました。一人(社員A)は通勤時間が片道約100分、もう一人(社員B)は片道約120分かかると言っています。二人とも退職後はハローワークで失業給付を受けたいので離職票の交付を希望していますが退職者二名はどのような扱いになるのでしょうか。何か優遇措置のようなものはありますか?
A
自己の都合で退職した場合、ハローワークで求職の申込みをしてもすぐには失業給付(基本手当)が受給できない給付制限期間が設けられています。この度、この給付制限期間の扱いに変更があったので本稿で後述します。一方、離職の理由によっては待期期間の7日経過後すぐに、失業給付を受給できる場合があります。それは、退職者のうち「特定受給資格者」又は「特定理由離職者」に該当する場合です。以下、冒頭の質問の退職者のケースを例にとって、雇用保険における受給資格の扱いについて解説します。
雇用保険では次表のような離職理由の場合「特定受給資格者」又は「特定理由離職者」となります。
| 離職の理由(一部抜粋) | |
| 特定受給資格者 | ・「解雇(重責解雇は除く)」、「退職勧奨」、「事業所倒産等」で離職
・3年以上雇用された有期社員の契約が更新されなかった ・労働条件に係る問題で離職(賃金減少、時間外労働、採用条件の相違、その他厚生労働省令で定める理由に該当する場合等) ・事業所の移転により通勤が困難になった |
| 特定理由離職者 | ・有期契約の更新を望んだが契約更新されなかった(雇用3年未満)
・正当な理由のある自己都合退職(体力の不足、心身の障害、疾病。妊娠、出産、育児、介護、家族の事情の急変。結婚に伴う住所の変更の理由等により通勤が困難になった、等) |
特定受給資格者又は特定理由離職者に該当する場合、前述のとおり、失業給付の給付制限期間はありません。
そして、通常の離職者の場合には失業給付の給付日数は勤続年数に応じて90日(勤続10年未満)、120日(10年以上20年未満)、150日(20年以上)であるのに対し、「特定受給資格者」又は雇い止めの場合の「特定理由離職者」(「正当な理由のある自己都合退職者」は除く)は次表のように失業給付の給付日数が優遇されることになります。

優遇措置には上記以外に受給要件期間の短縮もあります。失業給付の受給には、原則として離職日以前2年間(算定対象期間)に被保険者期間が通算して12ヶ月以上あることが必要ですが、特定受給資格者と特定理由離職者に該当する場合には離職日以前1年間に被保険者期間が通算6ヶ月以上あれば失業給付の受給要件を満たすことができます。

さて、特定受給資格者と特定理由離職者の判断基準の一つに「通勤困難となったことによる離職」があります。特定受給資格者の要件は、「事業所の移転」により通勤することが困難となったことによる離職、また、特定理由離職者は「結婚に伴う住所の変更の理由等」により通勤不可能又は困難となったことによる離職です。
そして、いずれの場合も通勤困難とは「通常の方法により通勤するための往復所要時間が概ね4時間以上であるとき等」(厚労省リーフレット)とされています。したがって今回の事例では、社員Bは基準に該当しますが、社員Aは残念ながら「通勤困難者」としては非該当と判定される可能性が高いと言えるでしょう。

著者プロフィール
特定社会保険労務士/中小企業診断士。
東京都出身。東京大学理学部卒業後、富士通株式会社に入社。
コンピュータの基本OSの企画・開発に携わったのち、事業改革、人事労務管理、企業年金業務など幅広い分野を担当。平成17年に同社を退職し独立、米田経営労務研究所を開設。
現在は、経営全般・人事賃金制度・退職金制度設計を得意分野とし、「キラリと輝く会社づくり・人づくり」をモットーに中小企業のコンサルティングを中心に活動中。