子ども・子育て支援金制度とは
Q
当社はスーパーマーケット事業を営んでおりますが、近年、顧客からの理不尽な要求や暴言など、いわゆるカスタマーハラスメントへの対応に苦慮しております。
カスハラの防止に向けて、企業としては今後、どのように取り組んでいくべきでしょうか?
A
近年、カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」)の防止をめざす条例の施行や検討が、全国の自治体で相次いでおり、東京都でも「カスハラ防止条例」が4月1日に施行されました。
また、厚生労働省は、スーパーマーケット業界における代表的なカスハラの行為類型とその対応例をまとめた「業種別カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(スーパーマーケット業編)」を作成・公表しています(詳細は後述)。
カスハラに対し企業が放置することは許されず、被害が深刻化して手遅れとなるケースも少なくありません。実際、2024年度に精神疾患で労災認定された1,055人(前年度比172人増)のうち、108人はカスハラが原因とされており、カスハラの被害は深刻な状況といえます。
一例として、住宅メーカー「ポラス」(埼玉県越谷市)の男性社員=当時(24)=が2020年に自殺したのは、客からの繰り返しの叱責(カスハラ)による精神疾患が原因として、柏労働基準監督署(千葉県柏市)が労災認定していたことが報道されています。
社外の人との間で生じるカスハラは、従業員間で生じるパワハラやセクハラ、マタハラなどと異なり、これまで事業主に防止措置を講じる法的義務が課されていませんでした。しかし政府は今年3月に、「カスハラ」対策を企業に義務付ける労働施策総合推進法の改正案を国会に提出し、6月4日に参議院本会議で可決・成立しました。
改正法では企業に対し、カスハラに対する対応方針の明確化や周知、カスハラがあった場合の迅速な対応などを求めています。この法律は公布から1年半以内に施行され、企業が講ずべき具体的な措置の内容は、今後、労使の代表が参加する審議会で議論し、ガイドライン(指針)として公表される予定です。
改正法では、以下の3要素をすべて満たすものをカスハラと定義しています(改正法第33条)。
| ① 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行う、 ② 社会通念上許容される範囲を超えた言動により、 ③ 労働者の就業環境を害すること。 |
日本では、「お客様は神様」といった価値観が根強く、カスハラが発生しやすい風土があるといわれています。一方、欧米では人権意識が高く、「契約にないサービスは提供しない」といった考え方が一般的です。さらに、英国の「平等法」やドイツの「一般平等取扱法」では、ハラスメントを広く禁止しており、法的な枠組みが整備されています。
今回の改正法には、パワハラやセクハラ、カスハラにとどまらず、職場におけるあらゆるハラスメントの防止に向けて、国が啓発活動に取り組むことが盛り込まれました。これにより、従来の積み上げ型の対策に終止符を打ち、包括的な対応を目指す狙いがあります。
もっとも、カスハラに関する法的義務の対象は企業であり、加害者である顧客や取引先を直接的に規制することはできません。そのため、いかに実効性を確保するかが今後の課題といえるでしょう。

今回、厚生労働省が公表した「業種別カスタマーハラスメント対策 企業マニュアル」【スーパーマーケット業編】は、顧客からの不当な要求や暴言などのカスハラから従業員を守り、健全な職場環境を維持するための具体的な対策を示しています。

マニュアルは以下の章構成になっています(A4で27頁)。
| 「1.はじめに」 「2.カスタマーハラスメント対策に取り組む意義」 「3.カスタマーハラスメントとは」 「4. スーパーマーケット業界におけるカスタマーハラスメントの実態」 「5. スーパーマーケット業界共通の方針」 「6. 企業が具体的に取り組むべきカスタマーハラスメント対策」 |
このマニュアルは、スーパーマーケット業界におけるカスハラ対策の基本的な枠組みを示すとともに、企業が従業員を守りつつ、適切な顧客対応を行うための指針となることを目的としています。
本マニュアルの内容なども参考にしつつ、自社の業種・実情に即したカスハラ対策を進めてください。
著者プロフィール
特定社会保険労務士/中小企業診断士。
東京都出身。東京大学理学部卒業後、富士通株式会社に入社。
コンピュータの基本OSの企画・開発に携わったのち、事業改革、人事労務管理、企業年金業務など幅広い分野を担当。平成17年に同社を退職し独立、米田経営労務研究所を開設。
現在は、経営全般・人事賃金制度・退職金制度設計を得意分野とし、「キラリと輝く会社づくり・人づくり」をモットーに中小企業のコンサルティングを中心に活動中。