子ども・子育て支援金制度とは
Q
当社では、以前から半日単位での年休の取得を認めておりますが、最近比較的頻繁に半日単位の年休を取得する者が増えてきており、半日単位の取得がしばしばあったのでは業務進行の体制にも支障を来すため、この制度を廃止しようと考えています。
労働基準法では半日単位の年休制度の採用は義務付けられていないと思いますが、廃止しても問題はないでしょうか?
A
労働基準法は、半日単位の年休制度の採用を義務付けてはいませんが、現に採用している以上、それを廃止する場合は、その必要性、理由等について理解が得られるよう十分な説明が必要です。また、労働時間の適正な管理等について配慮が必要です。
労働基準法は、使用者に対し、
| 雇入れから6カ月間の出勤率が8割以上の労働者に10労働日の年次有給休暇を与え、以後1年継続勤務するごとに休暇日数を加算し、20日に達した年以降は毎年20日の年次有給休暇を付与すること |
を義務付けています(第39条第1項および第2項)。
「10労働日」とありますから、年次有給休暇は基本的には「労働日単位」すなわち1日単位です(平成20年から導入された「時間単位の年休」については後述します。)。
半日単位の年休については、労働基準法に明文の規定はありませんが、通達は、
| 法第39条に規定する年次有給休暇は、1労働日を単位とするものであるから、使 用者は労働者に半日単位で付与する義務はない。 (昭和24.7.7 基収第1428号、昭和63.3.14 基発第150号) |
といっています。
ちょっと意味がわかりにくいかもしれませんが、かみくだいて説明すると次のような意味です。
すなわち、労働者が半日単位で年次有給休暇を請求してきた場合、これを拒否することもできますが、これに応じて半日単位で付与することも認められます。
しかし、「請求に応じて半日単位で与えてもよい」だけですから、事業場側から半日単位の取得を強制することはできません。
通達の考え方は、たとえば子供の授業参観などのように半日単位で年次有給休暇を請求しなければならないような、あるいは半日単位で年次有給休暇を請求したほうが都合がいいというような労働者の個人的な事情を考慮したものと考えられますので、1日単位の年次有給休暇の請求に対し、半日だけ時季変更権を行使することもできません。

半日単位で与える義務はないわけですから、半日年休制度を導入する義務もありません。では、現在ある半日年休制度をすぐに廃止できるかというと、一概にそうも行きません。
貴社の半日年休制度がどのような形で実施されているか(たとえば就業規則で規定されているとか、覚書に基づき実施されているとか、慣行で実施されているとか)わかりませんが、どういう形にせよ相当期間実施され、半日年休制度が定着しているとすれば、就業規則で規定されているのとほぼ同様に考えた方が無難でしょうから、就業規則で規定されているものとして考えてみます。
労働基準法上義務付けられていなくても、いったん労働条件として就業規則によって定めた以上、その労働条件を廃止ないし不利益に変更する場合には、労働契約法第10条により、変更の必要性、労働者への丁寧な説明等合理的な理由が必要とされます。
たとえば、結婚休暇は労働基準法上義務付けられていませんが、いったん「5日付与する」と定めた以上これを「3日」にすることは不利益変更に該当します。
半日単位の年休の廃止が不利益変更に該当するかは若干議論の余地がありますが、半日年休制度を便利に使ってきた労働者にとっては不利益な面もあるでしょうから、一応不利益変更に該当するとすれば、労働者に対し変更の必要性、年休日数を減少させるわけではないこと等を説明し、理解させる(できる限り合意を得る)必要があるでしょう。
その上で、就業規則の改正等を行えば、半日年休制度を廃止することができます。
著者プロフィール
昭和43年(1968年)、労働基準監督官、以降、労働省労働基準局監督課中央労働基準監察監督官、同賃金課主任中央賃金指導官、静岡労働基準局次長、滋賀労働基準局長などを歴任し、平成10年(1998年)6月退職。
その後も、主に労働法制を中心とした労働問題の第一人者として活躍。