子ども・子育て支援金制度とは
Q
当社は従業員数約80名の情報通信サービス企業です。現在、子育てや親の介護、心身の健康不全などにより、フルタイムで働くことが困難な社員が数名います。
こうした社員の離職を防止し、また新たな有能な人材を獲得するために、短時間勤務の制度導入を検討したいと考えていますが、どのような点に留意して進めたら良いでしょうか。
A
新卒や若手社員が戦力となって活躍するのは入社3~5年以降という場合が多いと考えられます。しかし、この時期は結婚・出産・育児期とも重なるため、時間の制約を受ける場合が多く、優秀な人材の離職を防止し維持・定着を目的として短時間で働ける制度を導入することの意義は大きいといえます。
この他にも多様な働き方に注目が集まる中で、自らのライフスタイルやライフステージに応じた働き方を実現する制度として短時間勤務制度は有用です。
以下では、会社の中核的な業務を担う正社員が短時間で勤務することができる制度の導入について検討します。
本稿で対象にする短時間勤務の社員は、以下に該当する社員をいいます(以下、「短時間正社員」と呼ぶ)。
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実は、上記の短時間正社員は今回相談者の会社を含め、ほとんどすべての企業で既に設置されている勤務形態といえます。
その理由は、育児介護休業法では、「3歳に満たない子を養育する労働者には、労働者の申し出に基づいて育児のための所定労働時間の短縮措置を講じなければならない。」とする義務規定があるからです。そして、短時間勤務では所定労働時間を一日6時間とするものを含まなければならないとされています。
育児介護休業法では、育児・介護のための短時間勤務の申出をした労働者に対して、解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないと規定しています。これは、短縮になった時間以上に減給したり、賞与等において不利益な算定を行うことが認められないことを意味し「短時間正社員」として処遇する必要があることになります。
したがって短時間勤務制度が利用できる正社員の適用範囲の拡大を検討する場合、既存の育児介護休業規程に定められた制度の内容(報酬の取扱い等)を確認することが制度拡大への第一歩となります。

短時間勤務制度を拡大する際には、導入の目的を明確にし、どのような場合に制度を適用するかを検討する必要があります。一般的に短時間正社員制度の対象となる社員や、制度を設ける主な目的やメリットについて以下に整理してみます。
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短時間正社員制度を導入する際、就業規則にその労働条件を明文化することが重要です。短時間正社員の待遇は基本的に正社員と同等なので、正社員用の就業規則の中に短時間勤務の規定を追加することが考えられます。また、短時間正社員用の就業規則を別途作成することも可能です。
いずれの場合でも適用範囲、労働時間、休憩時間、休日及び休暇、給与、賞与、退職金等についての取扱いを明確にする必要があります。
例えば、所定労働時間については1日7時間、6時間、又は5時間の選択制にすることや、給与については、正社員の所定労働時間に対する、短時間正社員の所定労働時間に応じて、基本給や諸手当を支給すること等を規定し、詳細については個別の契約で定めることも可能です。
社会保険(厚生年金・健康保険)の適用についてですが、原則として正社員のおおむね3/4以上の労働時間であることが必要とされています。したがって、1日の所定労働時間が5時間などを選択した場合、この条件を満たさず、社会保険の適用から外れるのではないかとの疑問が生じます。
この点に関して、短時間正社員については、以下の3点を満たせば社会保険を適用させることができるとされています(庁保険発第 0630001 号:H21.6.30)。
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短時間正社員用の就業規定を定め就労実態もそれに則していれば、所定労働時間の長短に関係なく、社会保険の適用対象になります。

著者プロフィール
特定社会保険労務士/中小企業診断士。
東京都出身。東京大学理学部卒業後、富士通株式会社に入社。
コンピュータの基本OSの企画・開発に携わったのち、事業改革、人事労務管理、企業年金業務など幅広い分野を担当。平成17年に同社を退職し独立、米田経営労務研究所を開設。
現在は、経営全般・人事賃金制度・退職金制度設計を得意分野とし、「キラリと輝く会社づくり・人づくり」をモットーに中小企業のコンサルティングを中心に活動中。