定年後再雇用者の賃金制度整備
概要
・同一労働同一賃金ガイドラインも意識して、正社員の賃金との整合性をはっきり示せる定年後再雇用者の賃金制度を整備した
・定年後再雇用に向けた本人の意思確認や雇用条件交渉などの手順をマニュアル化して、必要となる書類のフォーマットも作成した
依頼の背景
K社では創業初期に採用したベテラン社員が徐々に定年を迎えて継続再雇用に移行し始めていましたが、再雇用後の賃金は本人の過去の功績も踏まえて、社長が独断で決めている状態でした。また60歳超の雇用条件についても書面での明確な提示がなされておらず、継続雇用による再雇用者と定年の特別延長で正社員のまま雇用される者が混在していました。
今後は定年に達する者が断続的に発生する見込みであり、再雇用者の賃金決定にも一定のルールが必要と考えて、同社の賃金制度を設計したプライムコンサルタントに定年後再雇用者の賃金制度整備のご依頼がありました。
コンサルティングの内容・結果
賃金制度の整備にあたっては、2021年から中小企業にも適用が開始された同一労働同一賃金ガイドラインも意識して、正社員の賃金と比較した時に金額面の整合性をはっきり示せるように設計しました。所要期間は約4ヵ月間でコンサルティングの大まかな流れは下記のとおりです。

正社員の賃金は、等級別の号俸制賃金表と評価に応じた号俸改定ルールを定めた基本給に管理職手当、家族手当などの最小限の手当を付けたシンプルな体系です。正社員の賃金とバランスが取れる金額決定という原則は守りつつ、経営者がある程度の裁量を持てるように次のような方法をご提案しました。
➀担当してもらう仕事の役割貢献に見合った賃金とするために、正社員の等級区分に準じて再雇用時に等級を格付けし直す。
➁基本給の金額は再格付けされた等級のレンジ内で任意に決定する。
(ただし、該当する等級の最低額を下回る基本給とはしない等、いくつかの条件を設定)
➂従来は再雇用終了まで賃金は据え置きが原則であったが、新制度では基本給の改定を毎年実施する。
➃人事評価を正社員の評価制度に準じて行い、下表のように現行の賃金以上の働きがあったと評価された者は昇給させ、働きが現行賃金に見合わなければ減給もありうる。

また、本コンサルティングでは賃金制度を整備したうえで、1~2年以内に定年を迎える社員を取り上げて、「具体的にいくらで賃金を提示する見込みか」をお客様と一緒に検討して実際の運用感覚をつかんでいただきました。併せて、定年後再雇用に向けた本人の意思確認や雇用条件交渉などの手順をマニュアル化して、下記のような必要書類のフォーマットも作成・提供いたしました
・定年退職通知書
・定年退職後の本人意向確認書
・労働条件通知書(定年後再雇用者用) など
今後の課題
同社では賃金だけでなく、昇格や再雇用などの従業員の人事処遇は基本的に社長が1人で決められていました。それでも創業以来、順調に業績を伸ばし、毎年、新卒採用者を確保できている等、長年に渡って安定した経営を続けて来られたのは、社長のカリスマと人間的な魅力によるところが大きいと思われます。
一連のコンサルティングにより、正社員と再雇用者の賃金・評価制度は整備されましたが、今後の事業承継も考えて、制度運用の権限移譲を見据えた幹部社員の教育や退職金制度の見直し等が今後の課題として当社にご相談をいただいています。