株式会社プライムコンサルタント

限られた原資の中で、全社の賃金水準・賃金表を見直し、持続可能な賃金に

概要

採用力維持を目的とした新卒初任給の引き上げで生じた「既存社員の賃金フラット化・賃金表の老朽化」という問題解決を当社が担当しました。
本事例では、限られた原資の中で賃金水準および賃金表を見直し、持続可能な賃金制度への移行を当社でご支援しました。新賃金表への移行にあたっては、独自の調整ロジックと複数年シミュレーションを活用し、既存社員の納得性と将来の運用性を両立させています。

依頼の背景

S社では近年の賃金相場上昇の中で、採用力を維持すべく、新卒初任給の引き上げを段階的に進めてきました。一方で、既存社員に対しては初任給と逆転しない範囲で最小限の調整を行ってきた結果、若手層を中心に賃金の差が無くなるフラット化が進み、従来のやり方に限界が見えてきていました。
この問題の解決には全社一律の賃金アップが理想ですが、使える原資は限られており、現実的な手段ではありません。さらに、S社の賃金表は10年以上見直しがされておらず、このまま水準を引き上げても、この先の昇給が見込めなくなる社員が増えることも想定され、賃金表の見直しもあわせて行うことが求められていました。

コンサルティングの内容・結果

賃金表見直しのコンサルティングは次の手順で進めていきました。

現実的かつ持続可能な水準の設定

まず当社刊行の「都道府県版・等級別賃金表」に掲載している都道府県別・企業規模別のモデル賃金表をベースに、S社の実態に合わせた新たな賃金表の水準を検討しました。検討のポイントは、世間水準だけでなく、社内の等級バランスや今後の昇給運用も見据えながら、現実的かつ持続可能な水準の設定です。

既存社員の水準調整

新賃金表への移行にあたり、既存社員の基本給に一定の水準調整(加算)を実施しました。ただし、単純に定額または定率で引き上げる方法では原資が大きくなり、予算上の負担が過大となるため、そのままでは採用できません。
そこで、社員それぞれの基本給に応じて、更なる重み付けをする調整ロジック(下表イメージ)を作成しました。モデル社員3名の水準調整額を設定することで、全体の調整パラメータを変更することができ、既存社員の給与の並びを崩すことなく、予算内での制度移行を実現しました。

見直し後の運用まで見据えた、緻密なシミュレーション

新賃金表および各社員の水準調整額の妥当性については、単年度の移行額だけで判断せず、
• 翌年の昇給額試算(必要人件費の試算)
• 標準昇給モデルにおける賃金カーブの変化
といった複数の観点からの検証も実施しました。このような事前シミュレーションは賃金制度の見直しでは欠かせない作業です。

賞与配分ロジックの見直し

また、基本給の調整額を抑えた上位役職者については、賞与の配分ロジックを見直し、業績に連動した報酬配分の割合を高める設計としました。これにより、役割と貢献度に応じた処遇に対する納得性を維持しながら、総報酬全体でのバランス調整を図りました。

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