株式会社プライムコンサルタント

役割貢献基準の賃金・評価制度へ見直し 【関東商事株式会社様】

概要

先代社長のカリスマ人事から脱却して、管理職がきちんと部下を評価して賃金に反映させるしくみを作るために、次の3点を中心に人事制度の見直しを行いました。

  1. 曖昧な役職と等級の対応関係を整理し、それぞれの役職者に求める役割と成果責任をはっきりさせる
  2. 「等級・評価・基本給の高さ」の3点で給与を改定していくルールを定め、給与決定の原則を明文化して社内に公開する
  3. 等級ごとの役割責任と評価基準を明確にする

 

ご依頼の背景

同社には以前から使い慣れてきた賃金・評価制度がありましたが、次のような問題を抱えていらっしゃいました。

  1.  昇格運用が年功的になっており、「その等級として求められる仕事のレベル」と「実際にやっている仕事」が合致していない社員が増えていた
  2.  その結果として、「総額人件費の増大」「古参社員に厚く、中堅以下には薄い賃金配分」「判断の根拠があいまいな人事評価」が起きていた
  3.  賃金管理は先代社長の専決事項であり、賃金制度はあるものの、200人の社員全員の働きぶりや個々の事情を社長が細かく把握したうえで、最終的な判断がなされていた。

このような状況下で事業承継を受けた現社長は、「自分が先代と同じやり方をするのは不可能である。会社も大きくなって、年功的な定期昇給にも限界がきており、新しい人事システムへのリフレッシュが必要」との思いを強く持っていらっしゃいました。
そうした時期に、現社長が先代社長とともに当社のセミナーを受講され、人事制度見直しのご相談にいらっしゃったのが本事例のきっかけです。

コンサルティングの内容・結果

人事制度の再構築にあたって、お客様と定めた基本コンセプトは次のとおりです。
・すべての社員が力を発揮できる組織を創っていく
・年功要素を一掃して、「役割と貢献度」で人事・処遇を決める制度とする

役割と責任の明確化

最初に取り組んだことは、人事制度の基軸となる等級制度の整備です。
まず、各組織の機能を棚卸する作業から始めて、会社組織の見直しをお客様と一緒に行いました。これにより同社のバリューチェーン(付加価値を生み出していく流れ)に沿った組織構造が整理され、これを土台にした「役割責任区分制度(※)」で組織における役割責任の段階に応じた等級区分を新たに構築していったわけです。
結果として、等級そのものは従来と同じ6段階となりましたが、明確に整理された各等級の役割と成果責任に沿ってすべての社員を再格付けしたところ、それぞれの等級の人数比は従前から大きく変わりました。当然ながら、等級が上がった者、下がった者も出ましたが、給与面では不利益が発生しないように配慮することで、スムーズな等級制度の再編を実行することができました。

こうした一連のコンサルティングにより、「何をすれば評価されるのか分からない」という状態を解消し、組織として目指す方向に対して、全員が同じ基準で動ける土台が整いました。また、等級の検討を通じて、自社が目指す組織の姿が言語化されるなど、制度設計そのものが経営の方向性を整理する良い機会にもなりました。

(※)同社では、従来の等級区分の延長ではなく、組織にとって重要な役割を全員で分担し、力を合わせて成果を生み出すという考え方を込めて、「等級」ではなく「役割責任区分制度」という名称を採用していますが、本事例では一般的な呼称として「等級」で表記します。

月例賃金体系の整理

月例賃金については、処遇に対する納得感の向上と運用の一貫性を確保することが重要な課題でした。そこで、「なぜこの給与なのか」を社員にきちんと説明できることを意識しながらコンサルティングを進め、次のような見直しを行いました。
・基本給は「役割と貢献度の受け皿」と位置づけ、役割給の考え方を導入
・諸手当は、時間外関連の手当を中心に整理を行って、根拠のある金額に見直し

例えば、管理監督者には従来の時間外手当を廃止し、その役割と責任の大きさに見合う管理職手当を支給することに決定されました。

基本給決定ロジックの刷新(年功から役割・貢献へ)

従来の賃金制度にも等級別に設定された賃金表があり、一定のルールに基づいて毎年の評価に応じた基本給の改定が行われていました。しかしながら、

◆年齢が昇給額を決める重要な要素となっている制度上の特性
◆一定基準を超えたら自動的に昇格させる同社独自の年功的な運用

の2つが相まって、賃金と貢献度のミスマッチや人件費の肥大化を招きやすい側面がありました。

そこで、新制度では、「基本給は役割と貢献度に応じて決定する」という方針を明確にして、次のように仕組みを刷新しました。

  1.  賃金表は、プライムコンサルタントが開発した「ランク型賃金表®」を採用してすべての等級を一体的に管理する
  2.  「等級・評価・基本給の高さ」の3点のバランスで昇給額を決定する「段階接近法®」を導入し、経営者による個別調整ではなく、制度運用のなかで実力と処遇のバランスを確保できる仕組みを整える
  3.  年齢や勤続など属人的な要素は基本給を決める基準とはしない。

これにより、「長く在籍しているから賃金が上がる」という構造から、「役割と貢献に応じて適正に処遇される」構造へと転換し、人件費配分の適正化とモチベーション向上の両立が可能となりました。

なお、仕組みの大幅な見直しには、将来の人件費に対する影響額の検証や社員一人ひとりの賃金をスムーズに移行させるための個別試算が欠かせませんが、そうした試算結果もコンサルティングの一部としてお客様に提供し、確認を得たうえで制度刷新を進めていきました。

評価制度の刷新(査定から成長支援へ)

従来の評価基準は、一般職・監督職・管理職の3種類だけが用意されており、評価もその大まかな基準に対して点数を付け、その合計でSABCDを決定する仕組みでした。そのため、処遇の査定としては機能するものの、社員に求める姿や期待される成果に関するフィードバックは難しく、面談も十分には行われていませんでした。

そこで新制度では、「査定のための評価」から「成長と成果につなげる評価」への転換を図りました。

◆行動面では、「役割行動評価」を導入し、「お客様志向」や「継続的改善・改革」など会社が大切にする価値行動について、各等級に求める行動を具体化し、6段階の基準として示しました。これにより、社員に期待する行動が明確になりました。

◆業績面では、管理職および営業職に目標管理を導入し、達成してほしい成果を具体的に示しました。また、目標設定が難しい営業以外の非管理職については、「業務活動評価」を導入し、職種ごとに習得・向上してほしい重要な活動(コンピテンシー)を明確にしました。

さらに、これらの評価を実際の成長につなげるため、期初・中間・期末の面談を制度として位置づけ、上司と部下が対話を通じて目標設定や振り返りを行う運用を定着させました。これにより、評価が単なる査定ではなく、「成長を促す対話の場」として機能するようになり、上司と部下が仕事について真剣に向き合う文化が醸成されていきました。

導入効果(制度から組織風土へ)

このように、人事制度を「役割と貢献度」に基づく体系へと再構築した結果、評価の精度と納得感が向上し、上司と部下の面談は成長支援の場として定着。社員が自分の挑戦や成長が会社の成長に繋がっている実感を持ち始め、若手から自発的な提案が生まれる文化へと変貌しました。

お客様の声

役割責任や評価基準を明確にし、評価者研修を継続すると、評価の精度が格段に向上しました。新人事制度に勇気を得て、組織づくり、働き方、社風づくりの施策を進めたところ、面談が会社の文化となり、「対話」をとおして部下の成長・活躍を支援する管理職が増えました。それとともに、業務改善や長時間労働の是正が進み、休日増加も実現しました。現在は、チームで成果を上げる行動を拡げるために非管理職の研修をお願いしています。

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