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「身の丈を越えた人材を採用する」2代目社長の英断でリーマンショックから立ち直った☆株式会社日本パープル様ー2ー

【人と組織の元気を探る「教えて!御社の工夫」】(連載第11回)

 

(2018年6月)

 前回は、株式会社日本パープルの歴史を振り返りながら、売上30%ダウンという危機を乗り越え、日本パープルの改革が始まるまでの経緯を紹介しました。
 今回は、組織に変化をもたらすために採用した優秀な2名のマネージャーが、実際に大きな変化を起こしていく様子を具体的にお伝えしていきます。日本パープルという組織が学習・成長し、変革していくプロセスは、まさに組織のダイナミズムを感じさせてくれます。(編集部)

●全ての個人がスポットライトを浴びられる職場へ

 「身の丈を越えた人材を探す」。日本パープル・林社長による経営改革は、そんな割り切りから始まりました。では、どんな人材を採用することになったのか。新たに会社を変化させたい人材と、会社を守ってきたメンバー、両者の間には衝突や対立がつきものです。ただ優秀な人材を採用すればいいというものでは決してなく、半ば「バクチみたいなもの」と林社長も覚悟していました。しかしタイミングよく、非常に優秀な2名をGM(ゼネラルマネジャー)として採用できたのです。

 GMの1人は、それまで営業パーソンとして証券、不動産、教育、医療など複数の業界を渡り歩き、個人としてもチームとしても実績を残してきた人材。「40歳手前で、聞く力、伝える力が異常に長けていました」。もう1人のGMは、新規事業の立ち上げに精通し、実績を残してきた人材。結論からいえば、GM2人がもたらした変化は、林社長の期待以上のものでした。
 その変化の1つが、情報基盤の強化。狙いは、従業員100名から300名規模の会社と同等の管理手法を手にすることでした。「各部の売り上げや利益などを含め、業務内に蓄積している事実情報をいつでも吸い上げられる状態にしようと。具体的にはビジネスインテリジェントツール(BIツール)に全データを流し込んで分析、加工し、意思決定に生かしています。
 BIツールを通じて各部の責任者が課題を把握し、打ち手も検討した上で経営会議に臨む。そこですぐに決議し、動き出す。意思決定が早い上に、しかも事実に基づいているので即効性が高い。これは以前とは大きく変わったところですね」

 BIツール導入の成果は、売り上げ向上のみではありません。林社長曰く「全ての個人がスポットを浴びやすい環境」づくりにも生かされているというのです。数字として成果が見えやすい営業部隊のみならず、サービスやバックオフィスのメンバーにもスポットを当てる。どういうことでしょうか。

 「1つ1つは、とても日常的な取り組みです。GMが、普段から従業員たちのところに足を運び、話を聞いてくれているんです。そこで従業員の頑張りをしっかり評価すると同時に、今、経営上課題になっていることを伝えてくれています。
 というのも私たちは、BIツールで得た情報をもとに経営計画を立案し、それをブレイクダウンし、マネジャーやメンバーのタスクへと落とし込んでいます。すると1人のメンバーの悩みがどのタスクに関係していて、自分がどんな努力をするとどんな経営課題に貢献することになるのか、明確に把握できる。メンバー皆の頑張りに、報いることができる。このサイクルをGMが中心となってずっと繰り返してくれているのです」


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 林社長によると、こうした体制を整える以前は、従業員満足度も芳しくなかったそうです。そのため、「新規事業をやらなければ」という危機感から林社長が数々の施策を講じても、実行に移すことはかないませんでした。
 「あるとき、私たちの存在意義を固めようと『あなたの大切なものをまもり続けます』というミッションを掲げました。守るのは情報だけではなく物品・家財道具など、お客様が大切にするものすべて。それが私たちの存在意義であると。しかし従業員満足度が低い状態では、ただ『ミッションを掲げただけ』に終わっていました。
 しかし情報基盤を強化してから、的を得た意思決定ができるようになり、収益が向上し、そしてメンバー1人ひとりにスポットがあたるような環境が整うと、ようやくミッションに向かって進める体制ができたように思います。第三者による従業員満足度調査も、ありがたいことに高得点をいただけるようになりました」

●GM、マネジャーが「モノ売りからコト売りへ」を主導

 リーマンショック後の不況にさらされ在庫の山と化した「保護(まもる)くん)」を稼働させるためにやむなく選んだ低価格路線からも、やがて脱却しました。その背景には、「モノ売りからコト売りへ」という変化があります。
 「以前は、お客様から問い合わせがあったら『分かりました、すぐに行きます』と駆けつけていました。それを、お客様がどんな課題を抱えていて、どうしたら解消できるのか、しっかり仮説を立てるようにしたのです。そこからお客様との関係性が変わっていきました。
 それまで日本パープルといったら『文書廃棄の会社』というイメージだったのが、『情報セキュリティの会社』のイメージに。私たちが提供するのは商品ではなく、課題解決。すると、いただける対価も自然と高いものになっていきました」

 以前はアウトバウンドが主で飛び込み営業も行っていたそうですが、現在はインバウンドのみ、飛び込み営業は一切禁止としています。「新GMの発案でした。飛び込み営業をして、そこで初めて会うお客様を相手に果たしてどれだけの課題解決を提案できるのか、ということです。そんな時間を無駄にするぐらいなら、お客様のお問い合わせに対して根本的なところから応えていこう、お客様の課題解決のためにしっかり準備をしよう、という方針です」

 モノ売りからコト売りへ。商品ではなく、その商品を通じた問題解決などの体験を売ることで、付加価値を生み出す。そのようなマーケティングが浸透して久しいですが、それを会社ぐるみで実践できている企業は多いとはいえないはず。なぜ、日本パープルは実践できたのでしょうか。

 「理由は明確にわかっています。GMがコト売りを実践したからです。GMからマネジャー、マネジャーから営業メンバーへと、営業現場に同行し、メンバーの前でコト売りを実践したことです。『モノ売りからコト売りへ』という変化は以前から試みていたことです。しかし、それまでは『意味は分かった』で終わっていました。
 実際、コト売りといわれても具体的に何をすればいいのか、メンバーはまったくイメージが湧いていなかったはず。なぜなら、お客様は文書廃棄を私たちに期待していますし、私たちもまた安全に文書を廃棄することが責務だと思い込んでいたからです。
 しかしGMとマネジャーが同行し、面談を始めから終わりまで、そのときのお客様の反応も含めて営業メンバーに見せ、時にはやらせてみることで、営業メンバーも『なるほど、こういうことか』と気がつくわけです。
 お客様ご自身も認識していなかった課題も発見できる。お客様に感謝していただける。そうして、次からは営業メンバー自身がコト売りを実践していくわけです。加えて課題解決のために、教育サービスを展開するなど、提供コンテンツも拡充してきました。かつてはコト売りについてコンサルタントに教えを請うたこともあります。しかし、教えるだけでは足りないのです。当事者としてやってみせる人材がいたからこそ、メンバー皆が変わっていったのだと思います」

(次回へ続く)


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