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メンバー全員が評価者であり、被評価者。「マネジャーのいない組織」が目指すものとは?☆株式会社ネットプロテクションズ様-1-

【人と組織の元気を探る「教えて!御社の工夫」】(連載第16回)

 

(2018年9月)

 人と組織が自然とイキイキしてくる独自の取り組みや人事施策について紹介する本連載第16回からは、シリーズ第6社目となる株式会社ネットプロテクションズについてお伝えしていきます。
 今回は、2000年の設立以来、右肩上がりで成長を続ける同社の秋山氏を取材してきました。秋山氏のお話をもとに、同社のユニークな社内制度や2018年に導入した新人事制度についてお伝えしていきます。(編集部)

 コンビニ後払い決済「NP後払い」などを提供している株式会社ネットプロテクションズ。
 与信や請求書の発行、入金の確認、督促回収、未回収リスク保証など決済業務をフルアウトソースできるサービスとして、導入企業は1万7000社以上、累計ユーザーは1.4億人、流通総額は2300億円に達しています。

 同社はまた、ユニークな社内制度で知られる企業でもあります。主業務とは別に人事や経営企画の仕事を手を挙げたメンバーに任せる「ワーキング・グループ制度」はその一例。
 そして2018年春、マネジャー職を廃止するという新しい人事制度「ナチュラ」を発表し、話題となりました。同年4月から運用が始まり、10月から本格稼働される予定とのこと。

 「ナチュラ」の特徴を端的に挙げるなら、(1)マネジャー職の廃止、(2)新たな役割「カタリスト」の設置、(3)ディベロップメント・サポート面談、(4)360度評価、(5)5段階のグレード(バンド)制などです。

 今回は、同社執行役員を務める秋山瞬さんに「ナチュラ」の全容や、導入の背景を伺いました。マネジャーのいない職場というアイデアは、どこから生まれたものなのでしょうか?

●マネジャーを廃し、新たな役割「カタリスト」を導入


 秋山さんによれば、「ナチュラ」以前の人事制度が作られたのは2010年のこと。当時のメンバーは50名足らずでした。
 しかし事業が急成長するにつれて、メンバーも100名を超える規模に。この時、ある課題が発生しました。入社1~3年の若手メンバーが半数を占めるようになり、マネジャーが不足し始めたのです。若手をマネジャーに抜擢するものの、「十分なトレーニングを積む時間のないまま、いきなり『やってください』と言ってもできるものではないなあ、と痛感しました」と秋山さんは述懐します。

 「それなら最初から『全員がマネジャーになる』ものとしてトレーニングができないか、と考えるようになったのです」
 マネジャー職を廃止する真意は、ここにあります。マネジャー職を廃する=全員がマネジャー職を目指すこと。
 もとより同社には、一人ひとりが意思決定をしながら協調しあえる組織、すなわち「自律・分散・協調」という理想像がありました。しかし一足飛びに理想像へたどり着くのは難しいものです。

 そこで、「ナチュラ」を通じて「全員がマネジャー」型の組織を養成する。これによりマネジャー、リーダー、メンバーといったピラミッド型の組織構造が不要になり、メンバーみながフラットな立場で成長を支援しあえるようになるはず。
 「ナチュラ」には、新たな組織運営の形であると同時に、人材の成長を支援するための制度という側面があったのです。

 マネジャー職の廃止により特定のメンバーに権限や責任が集中することはなくなります。
 かわって新たに登場するのが「カタリスト」という耳慣れない役割です。「カタリストのミッションは権限行使ではなく、権限を極限まで移譲・共有することです。マネジャーからメンバーへどうしても移譲できない権限だけカタリストに残しました」と秋山さん。カタリストが担うのは各部署の情報、人材、予算の采配権限のみ。人材の評価や育成もカタリストの仕事ではありません。

 また、従来のマネジャーが固定的なものであるのに対し、カタリストは流動的なものである、という違いもあります。一定の職務グレード以上のメンバーであれば誰もがカタリスト候補。それも部署ごとにメンバーの話し合いにより決まります。人数も「チーム人数の10%程度」という目安があるのみです。

いい会社秋山氏インタビューフォト.png

●面談相手が毎回変わる「ディベロップメント・サポート面談」


(1)マネジャー職の廃止と(2)カタリストの導入は、2018年の10月から。現在すでに運用が始まっているのは、(3)ディベロップメント・サポート面談、(4)360度評価、(5)5段階のグレード(バンド)制の3施策です。

 前述の通り、「ナチュラ」には「全員がマネジャー」型の組織を育成するという狙いがあります。そしてマネジャー職の廃止により、特定のマネジャーが評価や育成を担うことがなくなります。「かわって、全員が評価者であり被評価者でもある状態を作りたいと思いました」。そのための施策が、(3)ディベロップメント・サポート面談と、(4)360度評価という位置づけです。

 では、全員が評価者であり被評価者でもある状態とは、どのようなものでしょう?
 ディベロップメント・サポート面談は、同じ部署のメンバーとの間で定期的に行われる面談です。業績の振り返りや、活動方針について話し合います。
 上司-部下間で行われる一般的なキャリア面談と異なるのは、面談相手が毎回変わる点です。これがもたらすメリットは、被評価者にとっては多面的な視点からのフィードバックが期待できるということ。
 加えて注目するべきは、評価者側のメリットです。ここでは全てのメンバーが評価者としての役割を持ちます。定期的に評価する・評価される機会を持つことで、日常から他のメンバーの仕事ぶりを意識するようになり、評価のスキルも身につく、というわけです。

 360度評価は、ともに業務を行うメンバーが、業務に求められる11項目のコンピテンシーについて4〜5段階で評価するというもの。360度評価自体は以前から実施されていましたが、当時は「あくまで参考指標」、昇格/昇給を左右するものではなかったそうです。
 それが今回の制度変更により、昇格/昇給に直結するかたちに。あわせて、昇格/昇給にひもづいた職務グレードを5つの「バンド」からなるグレードに統合しました。
 グレードは全社員に向けて開示されているので、誰がどのバンドに属しているのか、衆知されている状態で360度評価を行うことになります。
 「その結果、評価の目線が揃ってくるんですね。このぐらいのアウトプットをしている人はバンド4と評価されて、このぐらいの年収をもらっている。こうした基準が明らかになっていれば、『じゃあ、あの人も同じような活躍をしているから、バンド4にしようか』と、意見が揃いやすい。
 逆に、自分が『バンド4』と評価したメンバーが、最終的に『バンド2』と評価されたら、『自分の評価には何が足りなかったんだろう?』といった振り返りが生じます。これも評価者としての成長を促すことになるでしょう」
 以上が、ネットプロテクションズの新しい人事制度「ナチュラ」の概要です。

 しかし、「マネジャーのいない職場」とは、本当に実現できるものなのでしょうか? マネジャーによる指示や管理がない組織が動いている様を思い描ける人は、そう多くないはずです。従来型のピラミッド型組織が、ある日突然マネジャーを廃止したら大混乱が起こることも想像に難くありません。
 次回は「ナチュラ」という制度が生まれる土壌となったユニークな企業文化や、「ナチュラ」導入以前の取り組みについて、ご紹介します。

(次回へ続く)


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