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「身の丈を越えた人材を採用する」2代目社長の英断でリーマンショックから立ち直った☆株式会社日本パープル様ー3ー

【人と組織の元気を探る「教えて!御社の工夫」】(連載第12回)

 

(2018年6月)

 前回は、外部から獲得した優秀人材が組織にもたらした変化や、日本パープルという組織が学習・成長し、変革していくプロセスを紹介しました。
 今回は、経営理念に基づいて同社が推進する「残業ゼロ」や、林社長が考える「従業員のやりがい創出」についてお伝えします。ここ10年の同社の成長を支えてきた林社長のメッセージは、「経営者の役割と会社の成長」に関して改めて考えさせてくれます。(編集部)

●「社員の時間を作るために」残業ゼロを目指す

 現在、日本パープルは「残業ゼロ」を推進しています。これには、同社が掲げている「3つの理念」が関わっています。

 林社長によれば、それは「先代が経営難からのV字回復を成し遂げたとき、この経験を2度と繰り返さないよう自省を込めて作り上げたもの」だとか。
 1つめは「永続的マラソンランナーであれ」。一過性の利益は追求しないということです。
 2つめは、「良心が痛むことをしない」。いかに儲かるビジネスであっても、良心が痛むならやらない。

 そして3つめが「第三の空間を持て」です。

 1に家族、2に仕事、3に自分だけの時間という優先順位です。「私はこの"自分だけの時間"を『会社でも家族でもない、自分への投資の時間を持つように』という意味だと捉えています。これを実践するためには、少なくとも1日の1/3、8時間以内に業務を終わらせないといけない、というわけです」

 「会社の業績と自分の時間」。経営者としてどちらを優先するのか難しい判断を迫られる場面があるのでは?

 「確かにそうです。残業ゼロを実現していく難しさは、『売り上げも利益もダウンするけど、それでもいいか?』という問いに、"Yes"と答えるところにあります。しかしそれが先代の決めた会社の優先順位であり、それこそ仕事が終わってなくても、『帰っていいよ』というのが当社の目指すやり方。
 実際、本社勤務の従業員については「ほぼ残業ゼロ」を達成しているといいます。これからの課題は、有事の際や繁忙期を迎える現場の残業を減らすこと。例えば、顧客先を回って「保護(まもる)くん」ボックスを回収する業務において、繁忙期はどうしても残業が生じます。しかし林社長はこの状況を良しとはしていません。

 「今のところは、本社の従業員が現場に応援にかけつけ、繁忙期を凌いでいます。並行して、『保護(まもる)くん』にセンサーを取り付けて、利用状況を監視して効率化できる仕組みを作り上げようとしている。残業ゼロを諦めず、鋭意努力中です」

●従業員のやりがいは「ビジネスモデルから生まれる」

 林社長の念願だった、新規事業開発も軌道に乗りつつあります。2013年にスタートさせた「フューチャープロジェクト」は、全社員からアイデアを募り、新規事業の芽を探るというもの。現在は、毎年1〜2個のペースで新規事業が立ち上がり、売上比率でみると全体の20%を新規事業が占めるに至っています。
 なかでも林社長が「いま一番注目している事業」と推しているのが、女性社員の1人が提案したという個人向け収納サービス「AZUKERU」です。
 既存のトランクルームサービスの多くが「自分で倉庫に物を預け、自分で取り出す」ものであるのに対し、「AZUKERU」はスマホ1つで集荷や取り出しの依頼が可能。一品一品撮影され、預けた荷物の写真をスマホで確認できます。段ボール1つから大型家具まで預けられる利便性も喜ばれ、驚異的に成長しています。

 「あなたの大切なものをまもり続けます」というミッションのもと、日本パープルの事業領域は今後も広がっていくことでしょう。あらためて「いい会社とは何か」林社長に尋ねると、こんな答えが返ってきました。

 「お客様のニーズに近いところでビジネスをしている会社、だと私は思います。困っているお客様のそばにいて、お客様の課題を解決して差し上げて、目の前でお客様に喜んでもらえる。そういったビジネスモデルを作りさえすれば、従業員たちのやりがいもおのずと生まれるのではないか、と」

 一方で、「保護(まもる)くん」をはじめとする文書・物品の保管や、電子化、ファイル管理サービスは、「セキュリティが守られて当たり前」の世界。面と向かって顧客から感謝される機会が多いとは言えません。
 「その意味では、事業内容を含めて会社をブラッシュアップしていく必要があると考えています。お客様の大切なものとは何か。その範囲はまだまだ広げられるはずです。まずは物やデータの保護を積極的に進めていく予定ですが、その先には、人々の命や健康だって含まれます。
 災害や事件のニュースを目にするたび、『あなたの大切なものをまもり続けます』というミッションを掲げていながら何もできないことに、もどかしい気持ちになるんです。もし、非常時に我々のサービスによって被災された方々の助けになれたら。そんなビジネスを作りたいですね」

●AI時代における経営者の役割は「会社をデザインする」こと

 社長に就任して11年目。「自分より優秀な人材に任せる」という大胆な割り切りによって、会社を成長させてきた林社長です。

 「私自身は、まずビジネスモデルを考えることが第一。そして今後も、『自分より優秀な人材を見つけて任せる』というコンセプトは変えるつもりはありません。こうしてビジネスモデルがうまく回りだせば、自然と人が集まり、やりがいも大きくなっていくと思うのです」

 「あまり自分にとらわれないように生きているつもりなんです」と林社長は続けます。

 「今、AIがもてはやされている時代ですよね。まだまだ『AIが人にとってかわる』範囲は狭いですが、これが2030年になったらどこまでAIが浸透していることか。そのなかには、いま『経営者の仕事』だと考えられている『意思決定』、も含まれかもしれません。そんな時代でも経営者に求められるものは何か。
 私は『会社をデザインすること』だと思っているんです。『あなたの大切なものをまもり続けます』というミッションのもと会社をどうしていきたいのかというビジョンですね。ビジョンに至るまでの細かい意思決定は、優秀な人材や、AIに任せて、ビジョンそのものは経営者がきちんと指し示す。それすらも AIにお任せできる時代になったらもうお手上げですが(笑)。
 いまの私は、会社をデザインすること以外は自分の領域ではないと、そこまで割り切っているんですよ」


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