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株式会社アオバヤ様☆顧客満足は社員満足から。100年続くと確信できる会社を目指しー3ー

【人と組織の元気を探る「教えて!御社の工夫」】(連載第3回)

 

(2017年12月)

 前回は、株式会社アオバヤが「会社の永続」と「社員満足の経営」を目指して実践している取り組みを紹介し、中には一風変わったユニークな制度も多く登場しました。
 今回は、同社が「3年間収入がなくても社員を守り続けられる会社にする」をミッションとして掲げる理由となった、ある重要なきっかけを紹介します。また社長自身、特別な思い入れがあるという今年の経営目標の作成プロセスには、素敵なストーリーがありますのでお楽しみください。(編集部)

●「3年間収入がなくても社員を守り続けられる会社」に

 高橋社長の就任と同時に、「愛して巌」という経営理念が掲げられました。これはもともと、創業者である会長が合言葉にしていたもの。
 会長自身は、「うちにはダスキンの経営理念があるからいらない」と最後まで抵抗していたといいますが、最後は会長も理解してこれを経営理念に据えました。

アオバヤ 愛して巌.JPG

「昭和45年ごろだと聞いていますが、ノンフィクション作家の上坂冬子さんがダスキン本部で講演をされたことがあります。それを聞きに行った母親が『愛して巌』という言葉が大変に印象に残ったと父に話したのです。以来、父親はこれをアオバヤの合言葉にして、朝礼で唱和していたのです。もともと注釈として「人間関係は愛情を持って 仕事には厳しさを追求して」添えていましたが『そして人間主役の経営を目指します』という一文を加えて、改めて経営理念としたわけです」

 そして「3年間収入がなくても社員を守り続けられる会社にする」という言葉を社員に約束したのは2016年6月。会社が60周年を迎えた年のことでした。

「社員満足があってのお客様満足。この考え方はアオバヤのDNAであり、私にとってもごく自然なもの」。それをあえて「3年間収入がなくても」と宣言したのは訳があります。それは東日本大震災での経験。東北を拠点に事業を展開しているアオバヤのこと、従業員が直接の被害を被ることはなかったといいますが、従業員の家族や在宅スタッフを含めると被災者数は2025名にのぼりました。

「私の友人のなかには、亡くなった者もいます。毎日電話をかけても繋がらず、4日目に繋がったと思ったら電話に出たのは奥さんだった。『主人は、ダメだったんです』。亡くなった友人を偲ぶような気持ちもあって、毎年1回、震災の復興支援イベントとしてチャリティウォークを開催しているんです」

●東日本大震災を機に「何のための会社か」考えた

 アオバヤにもっとも大きな被害をもたらしたのは、福島第一原発でした。大熊店があったエリアは今なお立ち入り禁止区域とされ、許可なく立ち入ることができません。大熊店は市内でも最も成長していたダスキン拠点として期待されていましたが、止むを得ず、店舗を畳み、正社員は転勤扱いに。現地で暮らすパート社員にはそれから半年間、給与を払い続けました。しかし言うまでもなく、被災者の生活を立て直すのは、並大抵のことではありません。

「半年がたち、『大変申し訳ないですが、来月いっぱいで支払いを終了いたします』という連絡をしたとき、お1人から、大変厳しい意見をいただきました。パートタイマーとして働いておられた女性のご主人でした。何回もお詫びして電話を置いたのですが、その方が置かれた状況からすると、お怒りはごもっとも。よくわかるのです。私だって被災者の1人なのですから」

 東日本大震災によって思い知らされた、「いつどんなことが起きるかわからない」という厳しい現実。社員第一を掲げる会社は、2525名の安否確認ができない状況のなか、何をなすべきなのでしょう。高橋社長は考えました。

「うちの従業員は、人の役に立ちたい気持ちが強い人たちだと思うんです。震災直後から、水や掃除用品をもって避難所に駆けつけた人もいます。でも一番大切なのは、私にとっては従業員たちです。だったら、被災した2525人のためにできることを考えよう、まずは安否確認からだと。全員の安否確認ができるまで、2週間かかりました。2525人めは、大熊で働いていたパートのかた。息子さんがさいたまスーパーアリーナに避難していることがわかり、彼に電話をして『母は東京の親戚のところに避難しています』と聞いたのが最後です」

「もちろん、最終的に従業員を守るのは、本当はご家族なのだと思います」と高橋社長。しかし、従業員を経済的な側面から支えるのは、やはり会社の存在であり、盤石な経営体制基盤であるに違いありません。「会社は社員のためにあると語る以上は、私に出来うる限り最大のことをしようと思うのです。『3年間収入がなくても社員を守り続けられる会社にする』と宣言したのは、それを従業員に約束するため。現在の費用を合計すると36億円ぐらいかかるのですが、やらなければならない、と思っています」

●創業61年目の今年、「with&happiness」の経営を目指す

 人間主役の経営を続けて61年目の今年、高橋社長はどのような経営を目指しているのでしょうか。出来たて、また発表前の段階にある、新しい経営目標を聞かせてもらいました。どうやら、今年の目標は例年にも増して特別な思い入れがあるようです。語っていただきましょう。

「我ながら、目標にたどり着くまでのプロセスがカッコいいんです(笑)。9月に仕事でニューヨークに行く機会がありまして、これは絶対にニューヨークのグランドセントラル駅で作ろうと思い立ったのです」

グランドセントラル駅 文中.JPG

 というのも、ニューヨークのグランドセントラル駅は、ダスキンの創業物語と縁があるのです。ダスキンの創業者である鈴木清一氏は、それ以前はケントクというワックスメーカーの社長でした。ケントクは日米の民間企業による業務提携を初めて行った会社で、今でいうジョンソン&ジョンソンと提携。そのケントク時代、ダスキン創業にも関わりの深いエバンス博士の講演が奈良ホテルで催されたとき、鈴木清一氏は「42番の赤帽さん」の話を聞いたそうです。「42番の赤帽さん」とはグランドセントラル駅でポーターをしていた黒人のラルストン・C・ヤングさんのこと。今でもダスキンで語り継がれている有名なエピソードです。興味のあるかたはお調べください。

「それで2日間ずっと、グランドセントラル駅に滞在していたんです。特に『42番の赤帽さん』ゆかりのものが駅にあるわけではなく、現地のみなさんに聞いてもラルストン・C・ヤングさんを「知らない」というんですが(笑)、せっかくなので、それまでに書き溜めたキーワードとともにアメリカと駅にちなんだ目標を考えることにしました」

 電車の行き先を示す前置詞は「for」。また社員のため、お客様のためといった「〜のために」を表すときも「for」を使います。

「しかしこれからの時代、『お客様のために』と自己犠牲的な思いで仕事をすることが果たしてよいのだろうかと。むしろ、お客様と『共に』に、としたほうが、これからの方向性として正しいのではないでしょうか。ならば、for(お客様のために)ではなく、with(お客様と共に、社員とともに)。そして目指すものは、幸せ、happinessである。そんな思いから「with&happiness』という目標を掲げることにしました。私たちはお客様と従業員が共に喜び、共に幸せになる会社。それこそが『いい会社』であると、私は思うのです」

 

 

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