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メンバー全員が評価者であり、被評価者。「マネジャーのいない組織」が目指すものとは?☆株式会社ネットプロテクションズ様-3-

【人と組織の元気を探る「教えて!御社の工夫」】(連載第18回)

 

(2018年11月)

 前回は、新たな組織モデルへの挑戦ともいうべき「マネジャー職の廃止」を実施するにあたって、それを可能にした同社の独自の歴史や企業文化についてお伝えしました。
 今回は、業務時間の20%を主業務とは異なるプロジェクトに活用できる制度など、多様な人事施策についてお伝えします。
 また、取材の最後に同社のビジョンについて伺いました。「つぎのアタリマエをつくる」を経営理念に掲げる同社のビジョンは、日本企業の組織づくりに新たな価値観を持ち込むことにつながるかもしれません。 (編集部)

●若手のリーダーシップを養成するワーキング・グループ制度


 「メンバーのウィルを実現すること」を大事にしているネットプロテクションズ。社風も至ってオープン。若手社員のチャレンジを後押しする空気があります。

 それを象徴する制度が、2012年に始まったワーキング・グループ制度です。これは、業務時間の20%を使って、主業務とは異なる部署横断的なプロジェクトに参加できるというもの。現在は、新卒採用や予算策定、海外展開、ビジョン浸透など10のプロジェクトが動いているといいます。

 ワーキング・グループ制度立ち上げの背景にあったのは、「Natura(ナチュラ)」と同様、「若手のリーダーシップ養成」という問題意識です。
 それ以前からウィルを持った新卒を採用していた同社。しかし「決済」「インフラビジネス」という事業の性質が彼らの成長を妨げていることに気が付きました。「『信用』をベースにした事業のため、権限移譲が難しく、失敗前提でトライさせるというわけにもいかないのです」と苦笑する秋山さん。

 「若手が『これやりたい!』と自発的に手をあげてくれているのに、『それはちょっと...』と会社がストップをかけないといけない。これは心苦しいですし、何より若手の成長機会が作れません。でも人事総務や経営企画などコーポレート部門の業務であれば、多少失敗してもリカバリが効きます。
 そこで、ワーキング・グループ制度を活用し、新卒採用や予算策定など一部のプロジェクトについて若手に権限を移譲したのです」

 ちょうど、同社の企業理念が明文化された頃であったことも後押しに。
 「『みんなで会社をつくる』や『志を尊重する』というビジョンが浸透していくなかで、若手のなかに当事者意識が芽生えていきました。その結果、視座が上がり、会社の課題が自分ごと化していったのです」

 プロジェクトのリーダーは、会社が指名することもあれば、本人の立候補で決まることもあります。自主性を重んじる制度とあって、会社の指名に対して「ノー」を突きつけるのも自由です。
 それでも現在は、ワーキング・グループ制度によって入社3〜5年目の若手の多くがリーダーを経験し、「会社づくり」にコミットしているとか。こうした取り組みが、「全員がマネジャー」を謳う人事制度『Natura』を導入するための土壌づくりとなったことは、明らかです。

●出産・育児に関わる全員をハッピーにする「ココット」


 2018年8月には、また新たな制度が誕生しました。「ココット」という、出産・育児期の社員を対象にした福利厚生制度です。

 一般的な育休・産休制度は以前から存在していました。しかし、妊娠・出産を迎えるはじめての女性社員が現れたことで、あらためて、本当に必要とされる制度をつくろうというワーキング・グループ「ダイバーシティ&インクルージョン」が発足。
 「育休・産休はもちろん喜ばしいこと。しかしその喜びは産む人だけのものではありません。まわりのメンバーを含めた、妊娠・育児に関わる全てのステークホルダーをハッピーにできる制度にしようと考えました」

 例えば、妊娠した社員が産休に入るにあたって、チームは抜けた人員を埋めるための「サポーター社員」を1人雇用できることにしました。これにより、特定のメンバーの業務負担が過度に増える事態を避けられます。

 妊娠・出産の当事者にたいするサポートも手厚いものです。「出産準備期」においては時差勤務や遅刻・早退、オフィスワークへの異動を配慮。「育休・産休中」は、会社から離れることで疎外感を覚えないよう社内ネットワークにアクセスできる端末を支給したり、人事との定期的なオンライン面談を実施したりして、復職に向けサポートします。
 「復職後」も、認可外保育園に子供を預ける場合の補助や病児保育への補助を用意。会議室を利用できる場合は子連れ勤務もOKとしました。

 「他社の取り組みも参考にして"いいとこどり"したら19もの施策になりました(笑)。現状ではまだまだケースは少ないですが、リモートワークも導入するなど、さらに働き続けたい人すべてを尊重できる制度に整えていきたいと考えています」

●「ネットプロテクションズだからできた」とは言われたくない


 マネジャー職を廃止する「Natura」、主業務とは異なるプロジェクトに参加できる「ワーキング・グループ制度」、そして「産む人」のみならず出産・育児に関わる人すべてをハッピーにする「ココット」。従来の組織にはない取り組みばかりです。
 しかし、同社が目指す「会社の成果と個人のウィルの両立」は、ほかの会社にとっても1つの理想像であるはず。「これはネットプロテクションズだからできたことだろう、とは言われたくないんです」と秋山さん。

 「私たちが目指しているのは、ビジネスにおいても組織づくりにおいても『つぎのアタリマエをつくる』ことです。もし『ネットプロテクションズだからできた』と言われてしまうなら、『いまのトクベツ』でしかないため、達成度はまだ半分ですね。
 これからは、私たちの考え方や取り組みを社会に浸透させ、他の会社でもできる状態にしていきたいと考えています」

 もちろん、ネットプロテクションズにとっての最適が、社会全体の最適になるかというと、それは違うはず。

 「でも、こうして私たちも情報発信を続けているうちに、同じことを考えている企業や人が自然と引き寄せ合っています。私たちが1つのコミュニティをつくり、そこからまた広く情報発信を続け、またロールモデルを示していくことで。その結果、『ネットプロテクションズがやっていること、いいよね』という反響を社会全体に広げていきたい。
 『そんなのきれいごとだろう』と言われるかもしれませんが、実は私たちのビジネスそのものが、同じ歴史をたどってきました。後払いの決済サービスなんて不可能だと言われ続けた。
 でも、信じて継続してきたことで、ここまでやってこられたのです。だからこそ、組織づくりにおいても同様に、小さいところからでもトライ&エラーをしながら信じて継続し『つぎのアタリマエ』を目指していきたいですね」


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