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メンバー全員が評価者であり、被評価者。「マネジャーのいない組織」が目指すものとは?☆株式会社ネットプロテクションズ様-2-

【人と組織の元気を探る「教えて!御社の工夫」】(連載第17回)

 

(2018年10月)

 前回は、株式会社ネットプロテクションズのユニークな社内制度や2018年に導入した新人事制度「ナチュラ」の概要についてお伝えしました。
 今回は、新たな組織モデルへの挑戦ともいうべき「マネジャー職の廃止」を実施するにあたって、それを可能にした同社の独自の歴史や企業文化についてお伝えしていきます。
 また、"社員の自己実現と社会発展の両立を目指す"と公言している同社が積み重ねてきた具体的な取り組みについても紹介します。(編集部)

●「マネージャー廃止」をスムーズにした独自の社内文化


 2018年春から、マネージャー職を廃したフラットな人事制度「Natura(ナチュラ)」を導入したネットプロテクションズ。本格稼働は18年秋からですが、すでに運用がスタートしているいくつかの施策については、メンバーからのフィードバックが集まっています。

 例えば、同じ部署のメンバーとの間で定期的に業績の振り返りや活動方針について話し合う「ディベロップメント・サポート面談」や、ともに業務を行うメンバーが、業務に求められる11項目のコンピテンシーについて評価し合う「360度評価」。「社員アンケートを見る限り、『思った以上に実行できている』といっていいと思います」と秋山さんはいいます。
 「もちろん賛否両論あります。『これまで面談をしたことがないメンバーからフィードバックをもらうことで、違う視点での気付きや学びがあった』という声がある一方で、『業務関連度が深くないメンバーからのフィードバックでは"浅い"』という声も」

 しかしいずれにせよ、「全てのメンバーが定期的に評価する・評価される」という施策そのものは、自然に受け入れられている様子。これは、上司ー部下の関係が強いピラミッド型組織で働いている読者には、にわかに想像しがたいかもしれません。「いきなり、この施策だけ打ち出したらどんな会社でもハレーションが起こるでしょう」とは、秋山さんも同意するところ。

 「当社にも、そこに至るまでの"前段"があります」。つまり「Natura」導入がスムーズに進んでいる背景には、ネットプロテクションズ独自の歴史や企業文化がある、ということです。
 例えば、部署横断、年齢横断、役職の横断の取り組みが以前から行われていたことが挙げられます。主業務とは別に一般的に人事や経営企画がする仕事を若手メンバーに任せることで彼らの成長機会をつくる「ワーキング・グループ制度」にしても、部署を越えて働く文化を醸成することに貢献していました。

 「『ファミリー制度』もそうです。いわゆる『メンター制度』ですが、当社においては、新卒メンバー一人ひとりに対し、部署横断、年齢横断、役職横断で集められた5〜6人のメンバーが総合的なメンタリングを相互に行っています」

●会社としての成果と個人の「ウィル」を両立させたい


 上司やマネージャーといった役職に対する認識もほかの会社とは異なりました。端的にいえば「マネージャーは特別偉いものではない」。
 「むしろマネージャーは、メンバー1人ひとりが自走し、自分のウィル(想い)を実現するためのサポート役。メンバーの上から指示命令するというより、下から支えるような存在だったのです」。
 加えていうなら、5年前に役職手当も廃止されていました。今回マネージャーという肩書が外れたメンバーも給与が下がらず、そのため「Natura」導入に大きな反対の声は上がらなかったとか。

 こうしたマネージャーのあり方が志向された理由は、どこにあるのでしょうか。

 「1つには当社代表の柴田の経歴が強く影響していると思います。柴田は就職して3年間『こんな仕事がしたい』と思ってもできない、意欲と能力があってもやらせてもらえないという体験をしています。自分と同じ経験をさせたくないという思いから、メンバーのウィルを尊重する文化が生まれたのでしょう。

 ただ創業当初からそうだったかというと違います。会社が成長するにつれ、私たちが大事にしたいものを考えるうちに『志を尊重する』『わくわく感を大切にする』といったビジョンが明文化され、メンバーの間で共有できるようになってきたということだと思います。今では、採用の段階から『自走したい、自分のウィルを実現したい』というメンバーを選んでいます」

 興味深いのは、そこで自分のウィルを実現するのみにとどまらず、他人のウィルの実現をサポートすることができている、という点です。

 「当社では半期に一度、全員が"ビジョンシート"を書いて提出します。『将来こんなことをしたい、こんなふうになりたい』と書き、それが全社に開示される。部署異動の希望であれば、8〜9割は叶う仕組みです。ですから誰がどんなウィルを持っているか全員が知っていて、その実現方法を全員で考えている感覚があります。
 新卒で就職活動するときって、自分が何をしたいか、青臭いことを語るじゃないですか。当社は全員ずっと、その青臭い部分を語り続けているとも言える。その意味では、超ウェットな会社なんです(笑)」

 マネージャーによる監視がない。メンバーそれぞれのウィルが尊重される。そのような組織からイメージされるのは、個人の「わがまま」によって組織としてのパフォーマンスが毀損されるリスクではないでしょうか。
 しかし実態は、組織全体のために「個」を犠牲にするのでもなく、個のために組織に負荷をかけるわけでもないようです。「個と組織どちらも尊重できる"最適解"を探っている段階」だと秋山さんはいいます。

 「例えば自分が異動を希望すると他のメンバーに迷惑になってしまうという状況では『じゃあ今はやめておこう』という判断ができる。それは『みんなで会社をつくる』ことや『全体最適』を重視するよう繰り返し語っているからだと思います。

 もっというと、私たちは基本的に"性善説"に立っています。そもそも当社の事業は、未回収リスクを100%保証する後払い決済というサービス。お客様に対する信用・信頼があって成り立つものです。組織運営も実は同様で『メンバーを信用する』という前提があります。うまくいけば、メンバーは自己実現でき、組織としても成果が上がる。悪用するメンバーが出てくるかもしれませんが、だからといってルールでガチガチに縛るよりは、一定までは許容する。そうすることで、性善説の大切さを伝え続け、また性善説に立てる人が活躍できる組織にしていっていますし、今後も強化していきたいと考えています」

ティール組織 書籍カバー.jpg

 こうした組織のあり方は、今話題になっている「ティール型組織」に重なります。すなわち、ティール型組織とは、役職による上下関係を排し、メンバーが自律・分散・協調的に動くことを目指す組織のことです。フレデリック・ラルー氏の著書『ティール組織』(英治出版)で注目を集めました。

 「正直にお話をすると、『ティール組織』が出たのは『Natura』を作ったあとのことです。確かに私たちの人事制度は自律・分散・協調を理想にしています。ですがそれは、会社の成果や社会への貢献と、個人の幸せを両立させたいという思いから。それを突き詰めて考えると『Natura』ができ、本を読んだらティール型組織に酷似していた、というわけです(笑)。もともと『Natura』の特徴を説明するのはなかなか難しいと感じていたのですが、以降は『Natura』によってティール型組織の実現を目指している、と謳っています」

(次回へ続く)


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