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社会保険・労働保険の届出様式変更について -2018年6月号-

【ホワイト企業の人事労務ワンポイント解説】第10回

米田徹先生のプロフィールはこちら

(2018年6月)

Q 私は中小企業の人事総務担当者ですが最近、厚生年金・健康保険や雇用保険の届出様式や提出方法が変更されたようで少々戸惑っています。
 変更のポイントや会社が提出する際の留意事項について教えてください。

A 厚生年金保険法や雇用保険法の施行規則の改正等に伴い、行政への届出や申請手続きに変更がありました。マイナンバー(以下、「個人番号」)の記入や届出様式に種々の変更があるので、以下、改定の要点を整理してみることにします。

◆厚生年金・健康保険の届出様式の大幅変更

 今年3月5日から年金関係の各種届出書(厚生年金と一体的に日本年金機構に提出する健康保険関係の届書を含む)の様式が変更されました。主な変更点をまとめると以下のようになります。

①【個人番号欄の新設】従来の「基礎年金番号」欄が「個人番号(基礎年金番号)」欄に変わっています。
②【A4縦型に統一】主要な届出はA4縦型に統一されます。
③扶養者(異動)届と3号届が1枚の届書に統一されました(複写様式から単票様式)。また、被保険者に関する届出と70歳以上被用者に関する届出の様式が統一されました。

 ①の個人番号欄の新設ですが、これまで基礎年金番号の記入を求められていた届書はすべて個人番号欄が新設されています。
 しかし記入する番号は個人番号又は基礎年金番号のいずれでもよく個人番号記入が義務化されたわけではありません(資格取得届に個人番号を記載した場合、住所記入欄の記載は不要になる等の利便有)。日本年金機構では「原則、個人番号で提出いただくが、個人番号の提供が困難な場合は引続き基礎年金番号を用いてもよい」としていて、個人番号の記入を求めるニュアンスが強いようです。
 個人番号は社員から提供を受けた会社としては機密保持に新たな事務負担が発生しますが日本年金機構では個人番号で年金相談が受けられる他、以下のようなメリットがあるとしています。

・住所・氏名変更時の届出省略
社員の最新の住所情報等を住基ネットから個人番号をもとに取得し更新処理を行うので、社員が住所や氏名を変更しても会社は手続きが不要
・採用時の基礎年金番号確認が不要
これまでは社員採用時に年金手帳を提出させて手続きしていましたが、今後は、個人番号だけで手続きが可能。(日本年金機構からは基礎年金番号が通知されるので、以後は基礎年金番号を使うことも可)

 次の②の「A4縦型に統一」の変更ですが、これまでは縦型、横型が混在したり、用紙の大きさが統一されていませんでしたが、今後は主要な届出はA4縦型に統一されます。
 ③の変更については、被扶養者(異動)届と第3号届が統一されて1枚の届書になりました。なお第3号被保険者関係届については、第3号被保険者欄の委任欄にチェック(配偶者に委任)を入れることで委任状の添付が不要になります。
 これまでは70歳以上の被用者に関して「資格取得・喪失届」「算定基礎届」「月額変更届」「賞与支払届」などが別の届書になっていましたが新届書では通常被用者の届書と兼用になりました。また、従来は被保険者が70歳に到達すると厚生年金のみ終了(資格喪失)となるため「資格喪失届(厚生年金)」と「70歳以上被用者該当届」を届け出ていましたが、新様式では「70歳到達届」一本になり手続きが多少簡略化されました。

◆雇用保険の届出・申請手続きの変更

 雇用保険でも施行規則の改正に伴い種々の変更がありました。雇用保険の届出様式では既に平成28年1月から個人番号欄が設けられていました。が、これまでは、この欄が空欄のままでであってもハローワークで受け付けていましたが、今年5月以降は個人番号の届出が必須とになり、届出がない場合には返戻となるので注意が必要です。
 具体的には以下の手続きで個人番号記載が必須になりました。

・被保険者資格取得届・資格喪失届
・高年齢雇用継続給付支給申請(初回)
・育児又は介護休業給付金支給申請(初回)

 なお重複を避けるため当該従業員が従前に個人番号を届け出ている場合には、欄外等に「マイナンバー届出済」と記載すれば個人番号記載は省略できます。
 その他の変更としては、会社が雇用継続給付(高年齢雇用継続・育児休業・介護休業)の支給申請書や60歳到達時等賃金証明書について手続きする際、これまでは所定欄に本人の署名・押印等が必要でしたが、これが原則不要になります(本年10月から実施予定)。

◆まとめ

 以上、説明したとおり、今後の社会保険・労働保険の手続きでは個人番号を扱うことが重要になります。
 新規採用時にはもちろんですが、既存の従業員についても個人番号を早急に収集・管理しておきましょう。なお、会社が社員から個人番号の提供を受ける際には番号利用法(第16条)に基づいて、本人確認の措置(番号確認と身元(実存)確認)が義務付けられているので誤りのないように確認を徹底してください(①「個人番号カード」又は②「番号通知カードと運転免許証等」で確認)。
 行政への各種手続きの際には郵便を利用しで行っている会社も多いと思いますが、個人番号の漏えい等の事故を防止するために原則として書留等の記録付き郵便で行うことが求められています。そのため行政ではできるだけ電子申請を利用して欲しいとしており、まだオンライン対応していない会社はこれを機会に電子申請での対応を検討するとよいでしょう。

★補足:「行政手続コスト」削減のための基本計画
「規制改革実施計画」が2016年6月に閣議決定され、この中で行政手続コストを2020年までに20%削減することが盛り込まれました。この実現のために次の「行政手続簡素化の3原則」に沿って見直しがされることになります。
① 行政手続きの電子化の徹底
② 同じ情報は一度だけの原則
③ 書式・様式の統一
 今回の健康保険・厚生年金及び雇用保険の届出様式等の変更も、この3原則に基づいた見直しの一環であると考えられます。

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