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第78回 中堅・中小企業におけるこれからの管理職のあり方-11-

【強い組織を作る!人材活用・評価・報酬の勘どころ】

 

(2016年10月)

【第11回 『マネジャーに必要な素養とは?』(2)】

 こんにちは。人事コンサルタント・CDA・中小企業診断士の渡辺俊です。
 前回は、マネジャーの役割・仕事を遂行するために必要な素養について考えました。そして、カッツの提唱する3つのスキルのうち、特に「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」について、学ぶことの必要性をお伝えしました。
 では、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルとは、具体的にどのようなものなのでしょうか。そしてまた、それらを身に着けていくためには、どのような育成のプログラムやプロセスを用意すればよいのでしょうか。
 まずはヒューマンスキルについて、考えてみましょう。

1.ヒューマンスキルとは具体的にどういうものか?

 ヒューマンスキルとは、対人関係に必要な能力です。であるならば、職場や仕事関係だけでなく、家族、友人、地域社会との関係など、私たちが社会生活を営む上でも欠かせない能力だと言えそうです。
 ただ、本稿では、組織の管理者として必要な能力を取り上げていますので、管理者の役割である「メンバー個々の知識や能力、意欲を統合して、組織としてのパフォーマンスを最大化し、求められる成果を出す」ための、さまざまな対人関係に役立つ能力ということになります。
 具体的には、下記のような「対人関係」のビジネスシーンが思い浮かびます。

強い文中表1011号①.jpg

 では、それぞれのシーンにおいて、具体的にどんな能力が必要なのでしょうか?
 プライムコンサルタントのコンピテンシーリスト(全部で108項目あります)から抽出してみると、次のように整理することができます。

強い文中表1011号②.jpg

 こうしてみると、確かに管理者にどんな能力要素が必要かは理解できます。
 しかしこのような分析的なとらえ方を出発点として、一つひとつの要素を取り上げて能力開発するというのは、現実的ではありません。なぜなら実際の職務遂行は、これらを複合的に使って行われるからです。
 そこで、これらの要素を大ぐくりにとらえなおしてみることにします。
 以下は、私たちのパートナーである現代マネジメント研究会 菅野篤二先生が提唱している「管理者に必要な5つの技法」です。
 ヒューマンスキルを要するビジネスシーンで必要な各コンピテンシーは、おおむね以下のように集約することができそうです。

強い文中表1011号③.jpg

 管理者として必要な「ヒューマンスキル」の習得とは、これら5つの技法を身に着けることであるととらえた方が、実践的なアプローチがとりやすいと思います。
 次回からは、この5つの技法を順番に詳しくご紹介し、ヒューマンスキルを身に着けてもらうための管理者教育のあり方を一緒に考えていきたいと思います。

2.ヒューマンスキル発揮の大前提=管理者としての基礎スタンス

 ところで、プライムコンサルタントのコンピテンシーリストから抽出した要素のうち、5つの技法にうまく区分できなかったものが5つあります。それは、

親しみやすさ~.jpg

です。私は、この5つのコンピテンシーを見て連載5回目で取り上げた、「真摯さ」(ドラッカーが著書『マネジメント』の中で述べている概念)を思い出しました。
 ドラッカーは、「真摯さ」について下記のように述べています。

 「無知や無能、態度の悪さや頼りなさには、寛大たりうる。だが、真摯さの欠如は許さない。決して許さない。彼らはそのようなものをマネジャーに選ぶことを許さない。」
 「知識もさしてなく、仕事ぶりもお粗末であって判断力や行動力が欠如していても、マネジャーとして無害なことがある。
 しかし、いかに知識があり、聡明であって上手に仕事をこなしても、真摯さに欠けていては組織を破壊する。組織にとってもっとも重要な資源である人間を破壊する。組織の精神を損ない、業績を低下させる。」

 先ほどの5つのコンピテンシーは、この「真摯さ」に根差したものだと感じます。
 管理者となった者ならだれでも、おなかの底に据えておくべき態度・姿勢だと言えるのではないでしょうか。
 営業成績がいいから、ユニークな企画を立てられるから、優れた技術者だから、その道のベテランだからという理由で、管理者に「登用」することがあってもよいと思います。
 しかし、仮にその人達に、真摯さに根差した5つのコンピテンシーが欠如していたならば、決してメンバーがついていくことはないでしょう。
 組織はいずれ必ず崩壊し、会社にとって大きなダメージとなるに違いありません。
 したがって、このような態度・姿勢を身に着けた本物の管理者になってもらうために、会社として、さまざまな手立てを尽くすことがどうしても必要なのです。
 では、何がその「手立て」なのでしょうか?
 これも、連載5回目のまとめでお伝えしたことですが、管理者のための「組織的内省の場」、すなわち、管理者の人達が日々の悩みを吐露し合い、自分たちの姿勢・あり方を共に振り返る機会を定常的に持ち続けることこそが、最も有効な手立てでだと私は思っています。
 実際、いくつかのクライアント企業でそのような取り組みをお手伝いしてきていますので、別の機会に具体的にご紹介してみたいと思います。

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