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第2回「多様な働き方の展開と課題」~駆け出し人事コンサルタントの学習・成長ブログ~

【強い組織を作る!人材活用・評価・報酬の勘どころ】通算第99回

(2018年2月)

こんにちは。人事コンサルタント(社会保険労務士・中小企業診断士)の古川賢治です。



 前回は、「人事管理の役割と課題」について学習しました。
 今回は、「多様な働き方の展開と課題」と題し、多様な働き方を実現する企業が増えている経緯と、その際の注意点について学習していきます。また、政府が推進しようとしている「多様な働き方・生き方ができる社会」についてもふれます。

1. 多様な働き方の展開


今回は「多様な働き方の展開と課題」について学習します。突然ですが、多様な働き方と言うと、何をイメージしますか?


例えば、フレックスタイム制、短時間勤務、在宅勤務、テレワーク、地域限定社員などが思い浮かびます。


いま挙げられたものは、働く時間と場所が自由に選べる勤務制度ですね。最近、多様な働き方という言葉をよく見かけますが、実はいまのところ、明確な言葉の定義はありません。


そうなのですね。では、どのような状態であれば、多様な働き方が実現できていると言えるのでしょうか?


一般に、働く時間や場所の選択肢が多い場合、その企業では多様な働き方が実現できていると言えます。さらに最近では、政府が主導する複業解禁の動きを受け、複業制度を導入する企業も増えています。これにより、働き手が企業とのつながりの度合いを選択できるようになってきています。


確かに、これまで主流だった「長時間労働・全国転勤を受容する仕事一辺倒な働き方」から「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)を重視した柔軟な働き方」へと、社会全体がシフトしていっているような気がします。しかし、そもそもなぜ、このような動きが活発化しているのでしょうか?


それは、働き手の就業ニーズが多様化しているためです。加えて、人手不足の現在、企業が労働市場で競争力を保つために、働き手の声にしっかりと耳を傾ける必要があるからです。


多様な働き方が実現すると、働き手にとっては就業の選択肢が増えるというメリットがあることは分かりますが、企業にとって何かメリットはあるのでしょうか?


確かに、働き手の利点の一方で、企業にとっては新たなルールを整備・運用するために業務負担が増えるという面がありますね。それにもかかわらず、企業が多様な働き方を展開するのは、優秀な人材の確保・定着につながるメリットを得たいからです。


なるほど。そういえば先日、託児スペース付きのオフィスを設けることで、子連れ出勤が可能な就業スタイルを提唱している企業代表者の講演を聴いたのですが、その企業では、パートタイム社員を募集したところ、300人以上のママから応募が殺到したと言っていました。


求人難の時代に驚くべき採用競争力ですね。「子育てしながら仕事もしたい」という働き手のニーズに正面から応えることで魅力ある職場づくりを実現し、多くの働き手を惹きつけている好事例と言えそうです。


しかし、その裏には、女性が出産や育児を機に職場を離れざるを得ない現実もまたあると考えられますが、どうでしょうか?


そのとおりです。国立社会保障・人口問題研究所が2015年に実施した「第15回出生動向基本調査」によると、第1子出産前後の女性の継続就業率は53.1%であり、残りの46.9%は出産を機に退職しているのです。


出産前から働いている女性の約半数が、出産後に退職してしまうのですか! これからさらに、政府・企業・働き手が一体となって多様な働き方を推進していかなければならないですね。


ここで、政府が推進しようとしている多様な働き方について見てみましょう。下表の①から⑦は、「多様な働き方・生き方が選択できる社会」が実現できているかをはかるバロメーターであり、各指標の現状の値と2020年目標値が示されています。



古川第2回図表.JPG


多様な働き方を実現するために、政府は様々な取り組みを考えているのですね。次に、企業がこのような取り組みを実施していくうえでの課題があれば教えてください。



2. 今後の課題


多様な働き方を実現するためのルールを設けても、企業はその効果を十分に発揮できていない問題があります。例えば、短時間勤務制度を導入する企業は増えていますが、「働き手が利用をためらい、制度がなかなか普及しない」との声も聞かれます。


なぜ、そのような事態が起きてしまうのでしょうか?


それは、制度利用者が限定されていたり、もともとの就業形態に復帰することが容易でなかったりして、働き手が長期のキャリア形成に関する不安を抱くからです。これは、短時間勤務制度だけについて言えることではなく、テレワーク等その他の制度にも共通して言えることです。


これまでは補助的な業務に限定されがちだった短時間勤務ですが、最近では、職務を限定せずに誰でも利用できるルールにする企業も出てきていますね。


はい。短時間勤務のベストプラクティスとも言われる、ある神戸市の洋菓子メーカーでは、フルタイム社員と短時間勤務社員の間の転換が事由を問わず何回でも可能です。このような柔軟な仕組みが、優秀な人材の発掘や流出防止に役立っているとのことです。


労働市場が売り手市場のいま、多様な働き方を実現し、優秀な人材を惹きつけようと考えている企業は多いと思います。その点で、何か気を付けるべきことはあるでしょうか?


フルタイム正社員という働き方が「主」で、その他の働き方は「補助」であるという考えを持たないようにすることです。同じ個人であっても、一生涯で働き方へのニーズが変化しますので、その時々のライフステージに応じて実践したい働き方が、いずれも「主」になり得るのです。そのような観点から、働き手の長期的なキャリア形成を支援する「多様な働き方」を推進していくとよいのではないでしょうか。


ライフステージの変化にあわせて仕事と生活の調和がとれれば、多くの人が満足いく職業人生を送れそうですね。教授、本日はありがとうございました。



※今回の連載内容は、2017年4月10日の講義を参考に執筆しました。
東京労働大学講座「多様な働き方の展開と課題」(脇坂明 学習院大学経済学部教授)

*東京労働大学講座は、独立行政法人労働政策研究・研修機構が毎年度開催している、労働問題に関する知識の普及や理解の促進を目的とした講座です。今年度で66回目を数え、これまでの修了者は27,000人を超える歴史と伝統を誇る講座です(2018年1月時点)。


本連載は、下記の当社コンサルタントが順次、執筆いたします。
菊谷寛之(代表)
渡辺俊(中小企業診断士)
田中博志(中小企業診断士)
津留慶幸(特定社会保険労務士)
古川賢治(社会保険労務士・中小企業診断士)

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